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28 ザイル殿下にぶつかりました。


朝食を食べ終えると、朝食を運んでくれたメイドさんたちがやってきて、着替えをするように言った。


メイドさんが持ってきたのはドレス。


それも私がクローゼットから勝手に着たシンプルなものではなく、フリルがたくさんついたいかにもお姫様って感じのやつだ。


「こ、これを着るんですか?あの、勝手に借りてなんですが、この服じゃだめですか?」


私が着ている服を示す。


だが、メイドさんは首を横に振った。


「そちらのドレスも大変お似合いですが、これから国王陛下への正式な謁見の予定がございます。公の場ですので、正装の方がよろしいかと」


公、正装、謁見。


異世界というか、貴族文化の知識が全くない私には判断がつかない。


これはメイドさんの言う通りにして間違いないだろう。


「わかりました」


「では、お着替えをさせていただきます」


「え?自分で……ちょ、自分で着替えられます!脱がさないで!」


メイドさんたちの手は私が着ているドレスをひんむいていく。


「これは仕事ですので。さぁ、胸元の手をおろしていただけますか?」


「い、いやぁああぁぁぁ………」


明るい部屋で大勢に裸を見られるのは、さすがに辛かった。




くたびれた顔でカルラと一緒に部屋を出ると、廊下の先に私より数倍フリルと繊細なレースのついた純白のドレスを着た有紗がいた。


「恵梨香ちゃん!」


小さく手を振りながら私に気付いた有紗が歩いてくる。


私も手を振り替えして有紗の方に歩いてゆく。


「?恵梨香、止まれ」


「え?」


少し後ろをついてきていたカルラが急に私の隣へ走ってきた。


すると、横からドンと衝撃がはしった。


何かが勢い良くぶつかったような衝撃。


見ると、私の横にはもうひとつ廊下があり、そっちから何かが来たようだった。


前ばかり見て気が付かなかった。


カルラが間に入ってくれなければきっとぶつかっていた。


私はとっさにカルラに声をかけてしまった。


「カルラ!大丈夫?」


「我は直接ぶつかってない。壁をつくってはじいてやった」


「そっか、良かった。で、何が飛んできたの?」


私がカルラに聞いた次の瞬間。


「いってぇぇ!誰が僕にぶつかった!?貴様か!?貴様!僕にぶつかって来て謝りもしないのか!!」


カルラにぶつかった物体が飛んでいった方向から大きな声がしたので、そっちを向くと、なにやら丸っこいものがモゾモゾと動いた。


「うわっ、何あれ?」


「恵梨香、近づくな。あれは人間ではない」


「え!?」


人間じゃない。


もしかしてあれが魔物?


赤と金のフリフリの服を着た肥ってる人間みたいだけど……。


カルラに隠れるようにして身構えていると、魔物?の両脇から手足のようなものがニョキっと出てきた。


「おい!早く起こせ!」


「は、はい!!」


気が付かなかったが、魔物がとんできた方の廊下から揃いの服を着た男性たちがぞろぞろと出てきた。


屈強な体の男性たちはその手をつかんで起こそうとするが、あのムキムキの筋肉でも5人がかりでやっと起き上がった。


起き上がると、やはり球体の上に顔がある。


「カルラ、あれほんとに魔物?人間に見えるんだけど」


「ああ、魂は人間だ。だが人間があんな姿になるとは思えん。何かが体内に入り込んでいるのかもしれない。我が見えんほど巧妙に隠れるとは、かなり厄介だな。恵梨香、絶対に近づくなよ」


「え?魔物じゃなくて人間なの?」


私とカルラが小さい声でしゃべっていると、肉ダルマが私を指差した。


「貴様だ!そしてひそひそしゃべっているようだが全部聞こえているぞ!僕が魔物だって?無礼な!おい、あいつを捕らえろ!」


結構距離があるのに、聞こえていたのかと感心していると、捕らえろと言われた男性たちがこっちに向かってくる。


筋肉が迫り来るのは、かなり怖い。


「カ、カルラ。ヤバくない?」


「ふん。人間など何人来ようが我の敵ではない」


カルラが低く唸り、牙を剥き出した。


「お待ちくださいませ!彼女をお許しください。全ては私が悪いのです」


そこに有紗が両手を広げ、私とカルラを背に割って入ってきた。


「なんだ貴様は!僕に逆らうのか!?」


筋肉の壁の後ろで肉ダルマの声がする。


筋肉の壁は、真ん中から二手にわかれて壁による。


その間から肉ダルマが近づいてきた。


「勝手に城をうろつく怪しい奴らめ。僕に怪我まで負わせてただですむと思うなよ!」


唾を飛ばしながら叫ぶ肉ダルマに、有紗が片膝をおりドレスのすそを持ち上げるようにして頭を下げた。


「大変失礼をいたしました。私は有紗と申します。こちらは私の友の恵梨香です。本日はヴァンクリール国、国王陛下のお声により参りました。数々のご無礼をお許しください」


頭を下げたまま流れるように言った。


「父……陛下に呼ばれただと?貴様、どこの家のものだ?」


「私はこの国の貴族ではございません」


「何?怪しすぎる。おい、こいつらを捕らえて尋問しろ!陛下に近づく暗殺者かもしれん!」


肉ダルマの言葉に男性たちがざわつく。


「何をしている!さっさと捕らえろ!」


「し、しかし殿下。これから陛下の謁見の儀が行われます。この方々は本当に陛下が御呼びになられたのでは?」


「それなら世話がかりのひとりもつけているだろう!客だけが城内をうろつくなどあり得ん!さっさとしろ!」


「お待ちください、殿下。アディック卿に確認してからでも遅くないのでは?」


「ええい、そんなもの待ってはおれん!もうよい!僕が自ら捕らえて見せる!」


自分の指示に従わない彼らにシビレを切らして肉ダルマがこちらに近づいてきた。


その肉ダルマに飛びかかろうとするカルラを私は必死で止めた。


「放せ恵梨香。大丈夫だ、なにもしない」


「本当に?」


「ああ、ちょっと腹周りの肉を削いで動きやすくしてやるだけだ」


「めっちゃやる気じゃん!だめだよ!」


「大丈夫だ。あれだけの脂肪だ。内蔵には一切傷をつけない」


「そういうもんだいじゃない!」


いよいよ手が触れそうなところまで近づいた肉ダルマ。


私の前に立つ有紗に手を伸ばした。



「何事ですか?」



肉ダルマの後ろからした声に、有紗の方へ伸ばした手を瞬時に引っ込めて肉ダルマはそこを飛び退いて一番近くにいた筋肉男性の背に隠れた。


全く隠れられてはいないが。


「ア、アディック……。なぜ……」


「城の中の出来事を私が知らないわけないでしょう。ザイル殿下、そろそろ時間ですよ。支度をしなくてよいのですか?」


燕尾服を着たアディック卿が微笑みながら近づく。


ザイル殿下と呼ばれた肉ダルマはその足音が近づくにつれて一層縮み上がっていく。


アディック卿は笑顔で目の前まで行くと、筋肉男性ごとザイル殿下を睨み付けた。




アディック卿にびびりまくりのザイル殿下。


次回、キュウソネコカミ!出きるかな?


ブクマ、評価ありがとうございます!

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