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20 帰って来たら夜になってた。


「またね」


といって女神たちと別れた私は、気が付いたら試験を行っていた部屋へ帰っていた。




「あ、戻った……」


目の前に有紗とダチェット、シャロッツ、何故かアンバーくんと国王陛下とアディック卿が立っている。


みんな私をみて心配そうな顔をしたあと、急に緊張の糸が解けたようなため息をついた。


「え、なになに?」


私がビックリしていると、アンバーくんが私に近づいて手を取った。


「恵梨香、やっと帰ってきたんだな……。怪我……怪我は無いか!?」


そういって手を取っていた私の腕を見て叫んだ。


「う、腕に血が着いて……服がボロボロじゃないか!!大丈夫か!?すぐ止血しないと!怪我の具合は……!」


「え……恵梨香ちゃん!怪我したの!?」


「アディック!!すぐに医師を!」


「は、はい!!」


「恵梨香様!!」


「怪我だと!これで怪我したなんて話聞いたことねぇぞ!恵梨香、傷、傷見せろ!」


一瞬にして皆が私の方へやってくる。


そうだった。


カルラに噛まれた傷は治ってたんだけど、服はそのままだった。


私は慌てて否定する。


「だ、大丈夫。怪我はしてないから……」


「こんなに出血してるのに大丈夫なはずがないだろう!」


アンバーくんが騒ぎながら服の裾をめくった。


「怪我が……ない?」


「うん、ちょっと怪我はしたけど、大丈夫。女神様が治してくれたから」


その言葉にみんなポカンとした顔をしている。


「恵梨香、今女神といったか?」


国王陛下が私に聞いた。


「は、はい。向こうで女神様たちに会いました。ちょっと怪我をしてしまったんですが、治しても…ら……って……」


話をしている途中なのに、なぜか頭が重くフラフラしてきた。


立っていられなくなったとき、アンバーくんが私の体を支えてくれた。


「恵梨香!大丈夫か?」


「ア、アンバーくん……。ありがとう、なんか、フラフラして……」


それを聞いたダチェットが呆れたように言う。


「そりゃフラフラにもなるだろう。ただでさえこの判別法方は受ける人の負担がでかいのに、10時間も向こうにいたんだからなぁ。今日は解散にして恵梨香を休ませてやれよ」


10時間?


私は部屋の窓の方へ視線を向ける。


なんと、まだ昼前くらいだったはずの外は真っ暗になっていた。


「そうだな。みな、恵梨香は無事だった。城に部屋を用意している。ひとまず今日は休め」


国王陛下の言葉にみなうなずき、私はアンバーくんに支えられながら、アディック今日が呼んできた医師が持ってきた担架に乗せられる。


「恵梨香、辛いだろうが1つ聞かせてくれ。そこの黒いのはなんだ?」


国王陛下が指を指す方をみると、カルラが私の隣にチョコンと座っている。


「あー。この子は女神様の眷族です……」


「な!!」


みんなが驚がくの顔をして、なにやら私に言っているようだが、もう意識を保っていられなかった。






恵梨香を部屋に運ばせた後、一緒にいたいと言った有紗を治療の妨げになるからと自室へ案内させた。


他の者は国王陛下の自室へ向かう。


陛下の部屋につくと人払いをしてから、話を始めた。


「ダチェット、恵梨香の容態は?」


陛下がダチェットにたずねる。


「大丈夫だ。来る前に確認したが、ただの疲れによるもんだ。一晩寝れば回復する。危険はない」


その答えを聞いて、みなほっとする。


「そうか。しかし、どうしたものか……。向こうで何があったのか。とりあえず有紗とは接触せぬように見張りをたてたが、場合によっては……」


陛下が考え込む。


「女神様、たち、と恵梨香様は申されていました。まさか、複数の女神様にお会いになられた、ということでしょうか?」


そうなると……と、アディック卿まで陛下の隣で考え込む。


「それに恵梨香から離れずついていってしまったあの黒い獣だが、あれは魔獣か?」


「いや、あれは魔獣じゃない。恵梨香は女神の眷族だっていってたが……いや、そもそも恵梨香があったのが、女神とは限らねぇ。治ってはいたが、怪我をしたようだったし、あれも魔獣の可能性もあるのか?」


ダチェットの言葉に皆が反応する。


ベルモア卿がダッと扉の方へ走り出した。


ベルモア卿が開けようとした扉は、ベルモア卿がふれる前にひとりでに開いた。


それを見てベルモア卿が警戒して立ち止まる。


部屋にいた全員が扉の方へ警戒心を向けた。


そこには、先ほどはなしていた黒い獣が座っている。


「なっ!」


ベルモア卿が驚きの声をあげると、獣はスッと腰を上げて中へ入ってきた。


「失礼する」


獣はそういってベルモア卿の前まで歩いてきた。


「しゃべった……」


ベルモア卿が驚いていると、獣はベルモア卿に話しかける。


「驚かせてしまったか?我は闇の女神が眷族、人には黒狼と呼ばれている」


「黒狼?……まさか、冥界の番人か!冥界の番人がなぜ恵梨香と共に……恵梨香、恵梨香になにか!?」


「おい、ベルモア卿!やめろ!」


恵梨香の身になにか不吉なことが、とベルモア卿は目の前の黒狼に食いかかる。


だが、ダチェットがそれを止めた。


ダチェットには、いやこの場にいるダチェットだけが、目の前にいるのが冥界の番人と呼ばれる女神の眷族、黒狼が本物であると直感していた。


魔力の扱いに長けているダチェットだからこそ、目の前にとてつもない魔力をもった、恐ろしいものがいるということが分かったのだ。


だが、これだけの力を持っているというのに陛下の護衛まで勤めているアディック卿までもがそれに気が付いていないということは、おそらく黒狼にはこちらを害するつもりはないということだろう。


冷や汗が頬を伝う。


「案ずるな。我は恵梨香と契約している」


「どういう、ことですか?契約とは……」


「我は恵梨香の守護獣となった。そういう契約をしたということだ」


「なっ……」


ダチェットが驚いていると、背後にいた陛下がたずねる。


「ダチェット、どういうことだ?」


「陛下、この方は女神の眷族に間違いない。契約は……よくわからない。女神の眷族と人が契約するなんて、今までに前例がない」


「いや、前例はあるぞ?救国の聖女と呼ばれていた女は光の眷族と契約していた」


「「はぁ!?」」


あまりのことに、全員思考が止まる。


「と、とりあえず。黒狼様、色々とお話しをお聞かせくださいませんか?こちらにお茶でもご用意いたしますので……」


「我もそなたらに話がありここに来た。恵梨香のそばを離れるのは嫌だったのだが、そうも言っておられんかったからな。手短にさせてもらうがいいか?」


狼相手にお茶と言うのはどうかと思うが、珍しくテンパっているアディック卿の提案に黒狼は乗った。


恵梨香ちゃんお疲れ様!


今日はゆっくり休んでください。


起きるまでにカルラが皆に状況説明してくれるからね!


ブクマ、評価ありがとうございます!

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