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15 有紗の魔力と恵梨香の魔力。下 その1

※流血、怪我などの少しグロ表現があります。


苦手な人はご注意ください。



黒い狼は痛いのだろう、後ろ足の方を体をひねって見ている。


私は傷口をもう一度よく確認する。


矢の刺さった部分からは血がほとんど出ていない。


だが昔、医療ドラマで見たことがある。


こういう何かが刺さっているようなとき、こういう時は急に刺さっているものを抜いてはいけなかったはずだ。


刺さっているものを引き抜くと傷口の血管を圧迫しているものがなくなって、大量出血を起こすことがある。


たしかそんなことがあるといっていた気がする。


このまま引き抜いていいのか……。


どうしようかと迷っていると、黒い犬が見かねたのかと私の手を鼻先で押し上げた。


私が犬の顔を見ると、犬はペットボトルの方を向き、中にはいってる水をじっと見つめている。


「この矢、抜けってこと?……でも、抜いたら血が……」


まだ私がためらっていると、さっさと抜けと言わんばかりにフンっと鼻をならして地面に伏せた。


その姿を見て、私も覚悟を決めた。


きっと刺さっているだけでも痛いのだろう。


早く楽にしてやりたいと思う。


大量出血を避けるために、傷口より胴体に近い位置を持っていたタオルで縛る。


タオルは少し短かったので、2つに裂いてから縛った。


そして矢を抜くと同時にすぐ抑えられるように、手にハンドタオルを持つ。


万全、とはいえないかもしれないが出きる準備は全てやった。


「ごめん、すごく痛いと思うけど、頑張って……」


体から出ている短い矢の部分に手をかける。


矢の部分は本当に短く、指が3本くらいしかからない。


さらに血がついているのでとても滑る。


きっと体の中に刺さっている矢じりにはかえしがついているだろう。


かえしは刺さった矢が簡単に抜けないようにするものだ。


それを引き抜くのだ。


じわじわ抜けばきっとすさまじい痛みと、大量に出血するだろう。


ゆっくりやれば、より苦しませることになる。


矢を握る手に力を込めた。


「痛いよ。じゃあ、抜くよ!」


覚悟を決めて一気に引き抜く。


矢は体の中をかなり抵抗しながら引き抜けた。


黒い犬は大きく目を見開き、苦しそうに大きく吠えた。


矢が抜けた瞬間、大量の血が噴水のように傷口から吹き出した。


あわてて持っていたハンドタオルで傷口を強く圧迫する。


傷口を抑えたその時、黒い犬はグルンと体をひねってこちらを向く。


あっ、と思った時。


犬の傷口を抑えていた私の右腕に衝撃が走った。


見ると、犬が腕に噛みついていた。


牙がめり込み、腕の骨がきしむ感触がある。


突然の痛みに傷口を抑える手が緩んでしまった。


止まっていた血が、また傷口から溢れ出す。


私は犬に腕を噛まれたまま、ハンドタオルを傷口に当て直す。


だが痛みで全身の力が抜けてしまい、うまく抑えることができない。


次第にハンドタオルはグッショリと血を吸って重くなり、吸いきれない血が指の間からこぼれ落ちる。


このままでは出血が止まらない。


もっと強く抑えなければならないが、手に力を入れようとすると犬は私の腕を噛むアゴの力を強める。


「ごめん……痛いよね……。これ、人間がやったんでしょ……。なんで撃たれたのか、分からないけど……、きっと、君は悪くないと思う。……ごめんね。……あのね、血が止まんないんだ。だから……腕を離してくれると助かるな。痛いよね。でも、痛いけど、抑えて血を止めないと君が死んじゃう。だから……お願い、放して……」


私は黒い犬に話しかけた。


人の言葉を犬が理解できるとはおもっていない。


けれど、私の真剣な気持ちと助けたいという気持ちはきっと伝わると思った。


黒い犬は低くうめいたいたが、私の言葉を聞いた後、ハッとした様子ですぐに腕を放してくれた。


犬が噛んでいた腕は、歯の形に肉がえぐれ、かなり血は出ていたがすぐに死ぬような出血量ではなかった。


ものすごく痛かったが、犬の方が傷の具合は悪い。


私は犬の方を優先し、手当てをした。


手当てといっても、本当に手を当てているしかできていない。


とりあえず腕を放してくれたのでもう一度傷口を抑え直す。


犬は痛そうに目をつぶって耐えている。


これからどうすればいいのか……。


腕の痛みが激しく、まともに思考が働かない。


すると、さっきまで目をつぶって伏せていた犬が頭を浮かせてペットボトルを見つめていた。


それに気づいた私の方を向くと、小さく吠えた。


「この水を……かけるの?……傷口に……」


「ヴォン」


私が聞くと、犬はそうだと言うように吠えた。


私は傷口を抑えていたハンドタオルを少しずらし、ペットボトルの水を少しずつかけた。


水をかけると、かけた部分が洗い流されて傷口があらわになった。


透明な水に血液が絵の具のように筋になって混ざり流れる。


しばらく流していると、混ざる血の量が急に減った。


抑えていたハンドタオルを退かし、水をかけ続ける。


ペットボトルの水が3分の1ほどになったとき、出血は完全に止まった。


そのまますべての水をかけ終えると、傷口も完全に塞がっていた。



ワンちゃんはなんとか無事っぽい!


だけど恵梨香ちゃんは大丈夫!?


次話までもつの!?


頑張って、恵梨香ちゃん!!



ブクマ、評価ありがとうございます!

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