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14 有紗の魔力と恵梨香の魔力。中


最初はわりとバラバラだった光の群れ。


それをたどっていくうちに段々と1本の帯のようにきれいにまとまって私の頭上、洞窟の天井付近からまっすぐにのびている。


意外と広いこの洞窟の先に何があるのか。


足元に咲き乱れる花のいい臭いに混じっている鉄の臭い。


あまりいい予感はしないが、先へと進むしかなかった。





恵梨香は魔方陣に入った途端に姿を消した。


驚いた有紗はダチェットにつめよった。


「え、恵梨香ちゃん?!ダチェット、恵梨香ちゃんが!」


「大丈夫だ。恵梨香は精霊の(こみち)に入っただけだ。すぐには戻らねぇとは思うが、2、3時間もすりゃ戻って来るだろ」


茶でもいれるわ、と言いながら円卓の周りにいすをならべだした。


「危険は?危なくはないの?」


「精霊の径は危なくはない。径っつっても、ちょっと広い何もない空間で、そこを歩いてると自分の持ってる魔力属性の精霊が寄ってくるだけだ。ほら、茶でも飲んで待ってようぜ」


いつの間にいれたのか、湯気の立ち上るティーカップを差し出す。


有紗はシャロッツと目をあわせると、しょうがないといった表情でそれを受け取って円卓の席へと座った。






私は、光を追って随分と歩いた。


奥に進むにつれて鉄の臭いが濃くなっている。


多分、血の臭いだと思う。


何かが怪我をしているのか、それとも人間が獣に襲われたとか。


不安を感じながら肩にかけていたスクールバッグのヒモを握りしめる。


そのまま歩いていると、道の先でなにやら行われているようだ。


よく見ると、テーブルがあって何人かの人が座って何かしているように見える。


1人で心細かったので、人の姿が見えると急に安心感が溢れてきた。


急いで近寄ってみると、薄い天女の羽衣の様なドレスをまとった6人の女性が座っていた。


「あの、すみません。私……」


「やぁっと来たわねぇ。待ちくたびれちゃったわぁ」


黒く艶めくまっすぐ延びた髪を持つ女性が私の方を向いた。


それにならい、他の女性たちも私の方を向く。


みんなほっとした様な表情だ。


「5分の遅刻よぉ、アリス」


「遅刻?なんのことですか?」


私が聞き返すと、黒髪の女性は残念そうな顔をした。


「イカれたティーパーティーを知らないのぉ?有名な文学作品でしょお?」


「おい、カラネミ。ふざけてる場合か。もう時間がない」


真っ赤なウェーブがかかった豊かな髪の女性が、黒髪の女性をたしなめる。


他の女性たちもそれに賛同しているようだ。


黒髪の女性はしぶしぶ立ち上がると、私の方を向いた。


「冗談はこのくらいにしてぇ。恵梨香。貴女に来てもらったのはぁ、やってほしいことがあるのよぉ」


「やってほしいこと?」


「そお。貴女なら出来るわぁ。そこにはいっているものを使ったらねぇ」


そう言って私のスクールバッグを指差す。


「カバン?これが何か……」


「ごめんなさいねぇ。もう時間がないのぉ。後はがんばってぇ」


黒髪の女性はそう言うと笑顔で手を振った。


私もつられて手を振り返すと、体がふわりと浮かぶような感覚を覚える。


ちょうどエレベーターに乗ったような不思議な感覚だった。


「ちょ、カラネミ!説明もなにもしねえで飛ばすなよ!」


「そうですよ!ちゃんと事情を……」


「恵梨香……お願い……」


「あのこを………たす………から…………」


「まだ……………………にあう…………はや………して…………………」


女性たちが何か言っていたがよく聞き取れないままに、私はその場から消え去った。


恵梨香が消えた場所を眺めながらカラネミは呟いた。


「恵梨香……頼んだわよぉ」







私は気がつくと洞窟の最奥にいた。


そこは今までの場所とは違い、かなり広い空洞が広がっていた。


天井の一部が崩れたのか、日の光が差し込むそこは、どこか神秘的な空間のように感じた。


その差し込む光のなかに、何かのかたまりがポツンとあった。


そばに寄ってみると、それは大きな黒い犬のようだった。


黒い犬はぐるりと丸まって、苦しそうに息をしている。


私は呼吸を楽にしてやろうと犬の方へ手を伸ばした。


すると急に黒い犬は上半身を起こし、こちらを睨み付けた。


その目には白濁が見てとれる。


きっとその目はもう見えていない。


「ごめんね。急に手を出してビックリさせちゃったね。大丈夫よ、なにもしない。ゆっくりやすんで」


私は静かに犬へ話しかける。


犬は警戒していたが、崩れ落ちるように地面に伏せった。


さっきのでだいぶ体力を使ってしまったのだろう。


息がより苦しそうに、世話しないものへと変わった。


私にはなにもしてあげられることがない。


死にゆく命を前に、私は無力を感じていた。


「ごめんね。なにもしてあげられない。なにも持ってないから」


と言って、はっとした。


先ほどの女性のことだ。


やってほしいこととは、この子を救うことだろうか。


だとしたら、カバンのなかに何か使える物があるかもしれない。


黒髪の女性が何か使えといっていたし。


私はカバンのなかを探った。


だが、中には教科書や筆記具など命を助けられるようなものは何一つ入っていない。


どうしようかと思っていると、ペットボトルを見つけた。


中には水がなみなみと入っている。


「水、あの時汲んだやつだよね。これ、飲めるかな……」


そう呟くと、犬はのみたいという意思表示からか、口を薄く開けた。


私は犬に水をやった。


一気には飲めそうになかったので、一滴ずつ舌の上に垂らしてやった。


ペットボトルの3分の1ほど与えた頃、犬は急に元気になり、上半身を起こせるようになった。


だが、よく犬を見てみると後ろ足の付け根に矢が刺さり、血が流れていた。


矢は折れてしまったのか刺さっているところ以外はほとんどなかった。


この矢のせいで立てないらしい。


痛そうに見えたので抜いてやろうと思って矢に手を添えた。


犬は助けようとしているのが分かったのか、大人しくしている。


手を掛けて引き抜こうとした瞬間、ふとあることを思い出して手を止めた。

恵梨香が鑑定のためにいったところは、どうも鑑定するためのところじゃないみたいです。


しかし、全く気づいてない恵梨香。


そして新たに現れる新キャラたち。


次話ではアンバーくんがおろおろする予定です!


ブクマ、評価ありがとうございます!

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