表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/45

1 異世界に行った日。


あの日。


気が付いたら私たちは知らない所にいた。


見渡す限り深緑の草原。切り立った山々。


これから一体どうすればいいのだろうか。


見覚えのない景色を呆然と見つめながら私はそう思った。






いつもの帰り道。


ヒグラシがカナカナと鳴いている夕暮れ時。


高校の校舎にメンテナンスが入るらしく、その日、午後の部活が無くなった。


いつもは部活があり、一緒には帰れない有紗と珍しく一緒に帰っていた。


夕日に染まった田舎の景色は、すべてが琥珀色に輝いている。


こういう夕暮れの後は決まって夜空の星がきれいに見える。


途中でコンビニによってアイスを買って、食べながらまだまだ明るい中、田んぼの間のあぜ道を並んで歩く。


生まれた時から隣の家同士。


あまり話すことはないけど、一緒に帰るのが楽しかった。


有紗は私と違って本を読むのが好き。


私は苦手。


有紗は人付き合いが苦手。


私は友人がとても多い。


有紗はスポーツが苦手。


私は得意。


有紗は勉強が得意。


私は勉強、嫌い。



全く正反対な2人だけど、一緒にいる。


何となくだけど、それが普通で、日常。


これからもずっと変わらないって思っていた。




けれど、それは突然のことだった。


「あ、そうだ。恵梨香ちゃん、これ知ってる?」


そう言いながら、有紗は肩にかけていたカバンの中から1冊の本を取り出した。


「何それ?漫画?」


そうだ、ちょうど漫画と同じくらいの大きさだ。


「ううん。今日ね、学校行ったら机の中に入ってたの」


「へー。誰かの忘れ物?」


「わからないの。ちょっとだけ中見たんだけど、名前は無いし、何か書いてあるんだけどちょっと読めなくて」


「何それ。英語とか?」


「ううん。見たことない文字だったの。ちょっと気味が悪くて」


「じゃあ先生に渡すとか、落とし物入れに入れるとかすればよかったのに。なんで持って帰ってんの?」


「そうしようと思ってたんだけど、うっかり持ってきちゃって。どうしよう?」


「さあ。ちょっと見せて?」


私は有紗が開いた本を覗き込んだ。


本当に見たこともない文字が並んでいる。


有紗がぱらぱらとページをめくっていく。


それを目で追っていたが、途中、文字が動いたように見えた。


違和感程度に感じたそれは、ページがめくられるにつれてはっきりと見えてきた。


書かれている文字がページを離れ、ウゾウゾと動いている。


やがて文字はすべてが本から出て、私たちの周りを取り囲むようにぐるぐると廻りだした。


「何?」


これが見えてるのは私だけ?有紗は?


「恵梨香ちゃん。これって?」


有紗も見えている。現実なのか?


「有紗、何か、マズイかも」


「ど、どうしよう?」


文字の廻るスピードが速くなる。


もう、目では追えない。


文字が高速で廻り続け、視界が奪われる。


真っ暗な空間に押し込められるような錯覚をおこした。


「恵梨香ちゃん!」


「有紗!」


私たちは急な浮遊感を感じ、とっさに互いの手を取って握りしめた。


目を閉じてしまったので、そこからはよく見えていないが、急に辺りが明るくなったのを感じ、目を開けた。




気が付いたら、私たちは大草原の真ん中にいた。


更新不定期ですが、ぼちぼち書きます!


評価いただけると、調子にのって更新速度が上がります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ