ちょっと旅に出てくる
かつてこの世界には絶対に破ってはならないルールがあった
そのルールを人々は世界とかわした禁忌の盟約と呼んだ
1つ 人の死を覆すことを禁ずる(要約すると、死んだ人間の蘇りや延々の命を手に入れることはしてはならない)
2つ 人間同士の結合を禁ずる
3つ ある種を作り出すことを禁ずる
4つ 神域に踏み込むことを禁ずる
5つ 神の眷属に危害を加えることを禁ずる
6つ 世界の理を無視することをを禁じる
7つ 世界の理を作り替えることを禁ずる
8つ 上記その他の多数なる禁忌の盟約を破ることを禁じる
この禁忌の盟約は神々が世界や人々を守り均衡を保つために作った盟約
これを破りしものは神直々に罰を下す
かつての人々はこれを忠実に守り平和に暮らしていた
だが人々は時が経つにつれその盟約を忘れていき、今では両手で数える程がいればいいと言うほどの人しか覚えてはいない
そんな中でも禁忌をおかしたものを神々が動かなくてもいいよう作られた、執行部は罰班と暗殺班に別れている
たとえ執行部でも活動が出来ないのが禁忌の盟約を違反したもの、そのものは神が直接手を下すことが決まっている
そんな平和であり、常に命の危機に晒される世界に1人の少女がいた
紫のような金の髪をした神ですらひれ伏すだろう整った顔をもった少女は、その艶々とした瑞々しい唇で飴を加えて見た人がいれば早まるなと騒ぐだろう高さの塔で手すりの端に腰掛け街並みを見下ろしていた
そんな中少女はおもむろに口を開いた
「つまらない」
「はい?」
それは誰にとも言った訳では無い完全な独り言と思われる言葉、それに言葉を返したのは気だるそうに腕を組みつまらない顔をして同じように街並みを見る美丈夫
その顔には呆れとまたかというこの言葉がいつもの事だとわかる顔をしていた
「急にどうしたのですか」
「あきた!最近はずっと仕事仕事仕事!休暇になってもやりたいことが無いせいでやることが無い!この世界は進歩がないし同じことばかりでつまらない!!!」
心底つまらなそうに心から訴えるその少女は正しく全身でつまらないと言っていた
「今更ですね、人とはそういうものでしょう」
その事に負けじと男は同じくつまらないと言いたげに言い返す
それはそうだろう2人は見た目は若いが実際は人ではありえないほどの長い年月を生きた存在、長年見てきた2人には飽きた景色でしたなかった
男にとってもこの世界には飽きたし楽しいことはないかと常々思っている
そんな中男の内心もまったく知らないとも言いたげに突如その少女は突拍子もないことを言い出した
「つまらない!というわけでしばらく私行方くらませるから!」
「はっ?何を急に」
「もう決めたから!じゃ!またいつか会おうね!数百年か数十年したら帰ると思うし、たまには顔にせに帰るから」
「はぁぁぁ??何言ってんですか」
「もう決めたの!!じゃね!」
「はっ!?ちょっまっ⋯⋯⋯」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ???!?!!?!?!いつもいつも突然思った本能のままに行動するの控えてください〜〜!!!」
そんな男の魂の叫びもその少女に届くことなく闇夜に木霊して消えていく
少女が飛び降りた先には人の影すらなく、そこに少女がいたのが幻だったのではと思うほど影も形もなかった
男は諦めたようにガックリしてほかのもの達に少女が行方をくらましたのを伝えに向かうのだった