目覚め
初めての戦闘パートです。
想像を膨らませて読んでください。
そしてこれからこの下にキャラの小さな紹介を
加えたいと思います。
それでは2話をどうぞ。
リーティア・ライデ 第1部隊第5位
身長:157cm
髪型:ボブショート
好きな色:白
今年から魔導騎士隊に入隊した新人魔導騎士。
元々普通の騎士団に入るつもりだったが
アイシアから魔導騎士隊に入ることを告げられた。
ひし形のペンダントを首に下げており、その贈り主は分かっておらず、母だという話もあるがその詳細は不明である。
模擬戦会場にやってきたリーティア達。
そこには既にリーティアと同期のマーガレットの姿があった。
「アイシア様…とスズカ隊長も来たんですね。」
「もう来てたのか…それと隊長呼びはなぁ…ここの人間は皆肩書きで呼ばれるの嫌うから、名前にさん付けくらいが丁度良いと思うから覚えおいた方がいいよ」
「分かりました…スズカさん…」
模擬戦を前に思わぬ指摘に戸惑うマーガレット。
それを見て、リーティアもあわあわしている。
お互い初めての模擬戦に緊張しているのだろう。
それだけではない、副隊長1人と隊長格2人、その内1人は国を治めるトップなのだ。緊張しない訳が無い。
そんな緊張を解しながらアイシアはルールを説明していく。
「時間無制限、戦闘不能を確認した時点で終了、くらいか。スズカ他にある?」
「まあ、下手にルール増やしても不安の種になるだけだし、シンプルで丁度いいんじゃない?」
「なら、今のルールで始めるけど問題無いわね?」
アイシアの問いに2人は声を揃えて返事をする。
そうしてお互いは間合いを取り、準備に取りかかった。
会場の2階からアイシア達3人は見下ろしている。
「私はマーガレット。マーガレット・ピスカ。これからよろしく。」
「私はリーティア・ライデ。よろしくお願いします。」
お互いの自己紹介を終え、開始の合図が鳴った。
「双方、構えて」
マーガレットは刃渡り1m超の大剣を召喚し、
リーティアは腰から70cmほどの剣を抜いた。
そして、試合開始のゴングが鳴り響いた─────
会場内を一定の不規則なリズムで金属音が跳ねる。
お互い間合いを詰めては離れ、また詰める。
どちらも譲らぬ鬩ぎ合いが続いていた。
しかし、リーティアはこれに激しい違和感を覚えていた。
おかしい、明らかにおかしいのだ。
その違和感は2階にいたスズカも感じていた。
「噛み合わなくてモヤモヤしてる顔ね。」
アイシアに突っ込まれたスズカは言い返す。
「そりゃそうよ。なんで大剣のマーガレットが片手半剣のリーティアと同じテンポで剣を振れてるんだよ。違和感しかないでしょ。」
「そうね。普通の騎士ならね。」
「そんなことは分かってる。待って、考えさせてよ。答え合わせ早いと怒るから。」
「それも全部分かってるわ。貴方も経験積まないといけないからね。」
そう話しながら、目線はしっかりと戦場を見ていた。
おかしい。速い。大剣のテンポではない。
一歩も譲らぬ展開の中でリーティアは焦っていた。
片手剣、あるいは片手半剣の速さで大剣の威力で斬りかかるマーガレットに対し、防御体制で何とか凌いではいるが、攻めに転じることが出来ていない。
しかし、リーティアとマーガレットに体格差は無い。
何故これほどの大剣を速く振れるのかが謎のままだった。
マーガレットが大きく振りかぶった時、リーティアは大きく間合いを離れ体制を立て直した。
空振りになるが、直後にある大剣特有の隙が一切無かった。すぐに体制を整え次の攻撃へ…
と、ここでマーガレットの動きが止まった。
息切れ…をしているのはリーティアの方だった。
「なんでこんなに速いんだ。っていう顔してるな。」
「……っ!!」
「私の能力さえ分かれば答えは導けるんだけど、答え合わせはいつになるかな?」
「まだ…まだ終わらない…!」
「ならもっと楽しまなきゃ!!」
マーガレットは10mはあるであろう間合いを一瞬で詰め斬りかかる。リーティアもこれに対応しながら凌ぐ。
そしてまた一定の不規則な金属音が響く。
そしてそのカラクリに気付いたのはスズカだった。
「あれは…加速…」
「あら、案外早かったのね。」
「今、間合い詰める時に明らかに身体がブレた。どれだけ距離があっても無くても、自在に加速できるマーガレットには意味無いのか…」
「本題はそこじゃ無いでしょ。」
「剣の速さ…あれは剣自体に加速をかけることで速度を上げられるし、逆に振ったあとは速度を急激に落とすことも出来る。それで片手半剣相手にも負けない速さで振れてたのか。」
「ご名答。あとはあの子がどこで気づいてどこまで粘れるか。」
「軍配はもう上がってそうだけどね。」
息が上がり、ギリギリの間合いで防ぐのがやっとのリーティア、一方的に攻め立てるマーガレット。
勝敗はほぼ決まっていた。
そして再び間合いを大きく取った時、マーガレットの動きが止まった。
「そろそろ分かったんじゃない?」
「はぁ…っ…はぁ…っ…」
「まあ、どっちでもいいんだけど。じゃあ、終わりにしようかなぁ!!」
「《大剣アクセレイト》!!!」
「……っ!!」
高速で交差に跳ねながら一気に間合いを詰め、振りかぶった。その大剣はリーティアをしっかりと捕らえていた。確実に逃がさないと。今まで凌ぎきっていたリーティアもこれは避けられない。彼女は察した。死ぬ。神様、せめて命は助けて。
刹那、彼女のペンダントが光り出し、リーティアがベールのようなもので覆われた。
最後の一撃を加えようとしていたマーガレットも斬りかかる直前に大きく間合いを取った。
何かを感じた。何かは分からないが、圧倒的な強大な力を。
スズカは2階から身を乗り出すほど前屈みになり驚きの表情で現場を見つめる。
「あれは…!?」
「おお…面白いもの見れたねぇ。」
アイシアはこの突然のことにも動じない真面目な表情をしていたが、どこか嬉しそうだった。
自分の見込んだだけはある、と。
やがてベールは溶け、リーティアはそこに立っていた。先程とは違う、力強く、マーガレットを睨みつけるように。プレッシャーを放っていた。まるで別人のように、何かに取り憑かれたように。
その圧力はマーガレットにしっかりと伝わっていた。
そして怯えていた。今までとは違う、目の前の敵の変化に。
マーガレットは頭を抱えたくなるような感情に駆られた。彼女はいつでも最後の一撃を決めることは容易に出来た。
何故、決めることが出来なかったのか。
それは彼女が『決めようとしなかったから』だ。
圧倒的な実力差で攻め立てていたマーガレットは、ほぼ勝ちを確信していた。あと一歩踏み込めば終わる。
しかし彼女はそれをしなかった。それはこの状況を楽しんでいたから。
これなら、いつでも勝てる。いつでも決められる。
そんな慢心が彼女をそうさせた。
今目の前にしている相手は、自分の慢心が導いた結果だ。今からどう足掻いたって、この状況を変えられる訳では無い。
でも、ここまでやったからには勝たなければいけない。勝たなければ報われない。
「うあぁぁぁぁぁ!!!!」
全てが嫌になって叫びながらリーティアに全速力で飛び込んだ。リーティアも間合いを詰める。
リーティアの異変前とは全く違う、力強い音、当たり、響き。お互い一歩も引かない攻防が続く。
マーガレットが後ろに体制を崩したその隙を見逃さず、リーティアは飛び込み剣を高く上げ、振り下ろす。
マーガレットは踏み込んで大剣を振り上げて対応する。
宙にいたリーティアは後方へと飛ばされる。
大剣の先をリーティアに向け、全速力で突っ込む。
風を切る音が響く。
リーティアは体制を整えることも無く、その突進を右に避ける。
急停止し、踏み込んで大剣を右に大きく振るう。
これには何とか対応するが、体制が大きく崩れた。
マーガレットが引き寄せた、相手の最大の隙。
それを一瞬も見逃さず、大剣を構え全力で振りかぶる。
「落ちろぉぉぉ!!!《大剣アクセレイト》!!!」
まさに斬りかかろうとした時、マーガレットは目を疑った。
目の前に体制を整え崩しているはずのリーティアが、
こちらをしっかりと見て構えている。
避けようとしていない、むしろ『踏み込んできた』のだ。
一瞬の隙を作り、それを見逃さずに仕留めにかかる。
焦っていた。それこそマーガレット最大の隙だった。
「や゛め゛ろ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!」
そんな声にも見向きもせず、リーティアは表情一つ変えずにそのままマーガレットの身体を斬りつけた─────
どうも、氷の姫です。
戦闘パートのみの構成の2話でした。
初戦闘にしてはうまく終われたのかな、とは思ってます。
読み応えのある話に出来ればな、と願うばかりですが、頑張っていきます。
コメントなども待ってます!!
それでは3話で会いましょう。