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星に願いは届くのか  作者: 三毛猫迷子
第一章
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第六話 出会い

「おまえを見ているとムカつくんだよ!」

 男子生徒は僕の胸倉をつかむと地面に突き飛ばした。

 僕は召喚獣を守るように抱え込んで倒れる。

「大丈夫?けがしなかった?」

 僕が心配して召喚獣に声をかけると元気な鳴き声をあげて返事をしてくれた。

 反応が返ってきた事が嬉しかった。


 僕たちを見て男子生徒はイライラしたのか片手で頭をかきむしった。いったい僕たちの何が彼をそんなにイライラさせるのだろう。

「くそっ、ディスニウス!やつらを攻撃しろ」

「ピィィィィィ」

 男子生徒が何かを呼ぶとけたたましい鳴き声が辺りに響き渡る。

 地面に大きな黒い影ができ、見上げると巨大な鳥が僕たちを狙っていた。

 狙いを定めたのか、五メートルほどのワシの召喚獣が襲い掛かってきた。


 とても怖い、だけど僕の召喚獣に嫌われる方がもっと怖い。それを最近身をもって知った。

 僕は召喚獣を攻撃から守るために丸くなる。


 痛みを覚悟して身を固くしていると、抱え込んでいる召喚獣がもぞもぞ動き始めた。と思った瞬間、一気に飛び出していった。

「ダメだ!」

 叫んで手を伸ばすけどもう届かないところまで飛んで僕の召喚獣は、敵の召喚獣の顔に思いっきりタックルをかました。

 タックルされた召喚獣はひるみ、顔を横に振りじたばたと羽ばたいている。

 一方、タックルをした僕の召喚獣は落ちている。

 今度は勝手に体が動く。頭からスライディングをして見事召喚獣をキャッチした。


「あのさー、人がせっかく気持ちよく昼寝しているのにさ。邪魔しないでくれる?一年生」

 男子生徒が再び攻撃を指示しようとしていた時にどこからか声が聞こえた。


 そのけだるげな低い声に男子生徒は誰だと大声で問う。

 僕はその間に起き上がって召喚獣を抱える。

「なに、君は先輩に対して失礼じゃないの?」

 近くの木の上から人が飛び降りてきた。

 アイスブルーの瞳にグレーのあごまで伸びている前髪を左に流し、後ろ髪を一つにヒモでまとめている男子生徒がけだるそうにこちらを見ている。


 突然、風が強く周囲が暗くなり上を見上げると8メートルくらいの薄い水色に薄っすらと虹がかった巨大な鳥が空から降りてきていた。

 その大きな鳥の召喚獣は美しい思わずうっとりとしてしまう弦楽器のような音色の鳴き声を響かせた。

 僕はその召喚獣に見覚えがあった。あれは確か――新入生に向けてのショーで上を飛んでいたうちの一体だ。

 という事は。

「もしかして三年生ですか?」

 僕が聞くとその人はけだるげにうなずいた。

 僕をなぜか毛嫌いしている男子生徒は苦い顔になった。

「ちっ、運がいいやつめ」

 そう吐き捨てて僕をにらみつけながら男子生徒は去っていった。

 ひとまず危機は去った。ホッと息をなでおろす。

「あの、助かりました。ありがとうございます」

 あくびをしている先輩に向かって頭を下げる。

「んあ?まあいいよ。それより面倒なやつが来るから押し付けさせてもらうよ 」

 面倒なやつ?一体なんだろう。


「ここに隠れていたのか兄貴!」

 面倒なやつについて詳細を聞こうとしたら、その面倒なやつがもう来たらしい。

 声のした方を振り返ると、そこにいたのは入学式の日の朝食で目が合ってしまった人であり同じクラスのクラスメイトだった。








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