Chapter1 五年後 響生 独立潜航艦ディズィール 物理エリア
後書きに用語説明を追記してあります。宜しければご活用下さい。
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『当艦は、後、一時間ほどで地球周回軌道に入ります。減速は七Gで十八秒間を予定しています。物理エリアに滞在している乗員は、三十分以内に理論エリアに退避してください』
艦内に響き渡るアナウンスにこみ上げてくるものを感じ、響生は足を止めた。
「ようやくか......」
そして額に滲む汗を腕で拭いながら呟く。
地球。その響きだけでも懐かしい。艦の外には絶景とも言える光景が広がっているのだろう。
響生は青い光を放ちながら、美しい孤を描く地平線を想像する。だがそれを見る事は叶わない。
生憎この艦には窓と言う物が存在しない。それどころか、全長一二〇〇メートルを誇るこの艦には、人の滞在に適したスペースは殆ど存在しない。
延々と一時間以上見つめ続けた金属製の壁に向かってため息を吐く。
壁際に置かれたウォーキングマシンで一時間三〇分走るのは乗艦して以来の日課だ。身体を鍛える趣味は無いが、健康を維持するためにはどうしても必要不可欠に思えてしまう。身体を動かすことで精神的な安定を図っているのかもしれない。
「そんな顔をするな。ジムと食堂があるだけでも奇跡的なんだぞ。この船は快適なほうだ。身体を動かしたがる少数派の意見が組み込まれてる。設計者はこんな空間作るぐらいなら、動力炉をもう一機増やすか兵器庫にしたかっただろうよ」
隣から聞こえてきた太いシャガレ声。
この艦の運用に『人』は必要ない。だから本来『人』のためのスペースも必要ない。戦艦であるなら当然あるはずの艦橋すらも。この艦は『人々が死霊と呼ぶ存在』によって創造され、彼等が運用するために作られた。
この船は彼等の意思が宿った量子コンピューターの集合体によって航行している。
声の主がバーベルを持ち上げるたびに、はち切れんばかりに膨らんだ筋肉が躍動し、太い血管が浮き上がる。
身長は一八〇センチを優に超えており、絵に描いたようなプロレスラー体系のオッサン。おまけに顔もイカツイときてる。これで職業が医者だと言うのだから驚きだ。
「分かってるよ。でも俺をその少数派にしたのドグだろ? もともと俺は身体動かすの好きじゃないんだ」
通称ドグの愛称で親しまれる彼は妹、穂乃果を担当した医者であり技術者だ。そしてそれ以上に自分とは深い関わりがある。
「一日一回は自分の意思で身体を動かすってのは大事なことだぞ? マイクロ波を使った強制運動でも身体は維持できるが、それを動かす神経が死んでいきやがる」
「けど、それも体に細い電極ぶっ刺して、維持できんでしょ? ドグが自分で言ってたじゃん。俺が考案したんだ! ってドヤ顔で」
「バカ! 俺がどんな思いでその装置作ったと思ってんだ!」
「はいはい、一日の大半を寝て過ごすしかない人々が、健康でいられるように。だったね」
「まったく何でそんな口の利き方をするようになったんだ。俺の所にお前が来た頃は、そりゃーもう、純粋な子供だった気がしたんだがな。澄んだ黒い目で見つめられて、俺はときめいたぜ? これは運命だ! この子達を見殺しにできないって」
何度も繰り返し聞かされた話にため息を吐く。
「じゃぁ、その後の育て方が悪かったんだろ?」
「てめぇコノヤロ! 何てこと言いやがる!」
声量が増したドグに流石に『悪ふざけが過ぎた』と反省する。
「ありがと。感謝してる。ドグがいなかったら俺は今頃どうなってたか......」
ドグは自分にとっては二人目の親だ。自分達を拾ってくれたのが彼でよかったと心から思う。彼は自分に、見知らぬ世界で生きる術を教えてくれた。
「急にらしくねぇこと言いやがって」
「地球に下りる前に一度言っておきたかったんだ」
ドグはバーベルを動かす手を止めた。そして起き上がり静かに此方に瞳を向けた。
「響生、おめぇ、艦が中立地区に無事着いたら、艦を降りる気か? まぁ、俺は反対はしねぇ。地球はお前がもともと生きていた場所だ。その方がお前にとっても幸せだろう」
それに大きく首を横に振る。
「今はまだ、そのつもりは無いよ。あそこに戻ったところで俺の両親はもういない。そして俺は故郷の者にとっては裏切り者だ。それに......」
自然とドグから逸らされてしまった視線。
「穂乃果の事か...... すまない」
それに再び首を大きく横に振る。
「ドグは精一杯やってくれた。だから......」
今でも心に焼き付いて離れない光景。ウィンドウに映る映像の向こう側で、穂乃果の小さな身体を乗せた透明なカプセルが宇宙へと放たれ遠ざかる。
そのカプセルは三年間、地球を周回し続けた後、大気圏に再突入し、燃え尽きたことが確認されている。
「......だから、後は兄妹の問題だ。これからどう生きて行くのか、悩みながら決めれば良いんだと思う」
ドグがイカツイ顔に不似合いな感情を乗せて瞳を見開く。
「お前、強くなったな」
「パパ、お兄ちゃん、全部聞こえてるよ?」
不意に聞こえた穂乃果の声。
そして、ドグから一メートルぐらい離れた空間に光りが一瞬輝き、それは瞬時に人の形を作り出す。白いワンピースから白く細い手足が形成され、背中に栗色の髪が光の粒子を纏いながら流れ落ちる。
「そういう話をする時は、ネットワーク切らないと。
生憎私は、お兄ちゃんが心配するほど、自分を悲観してないし、勿論パパも恨んでないよ?」
話の一部を聞かれてしまった事を知り、思わず頭を掻きむしる。
「てか、どうしたよ? 昼飯にはまだ早いだろ?」
「どうしたじゃないでしょ? アナウンス聞いてなかった? 早くこっちに戻ってこないと、死んじゃうよ?」
「まだ二十分以上もあんじゃねぇか。飯ぐらい五分もあれば十分だ」
ドグが空中に浮かぶウィンドウを眺めながら言う。
「てか、飯食うのかよ」
「あたりめぇだ。穂乃果、今日の分もあんだろ?」
「作ってはあるけど、本気?」
穂乃果も目を見開きドグを見つめる。
「ああ、いつも通り、食堂で食うから排出機にデーター送っといてくれ」
「じゃあ、そうするね」
穂乃果が半ばあきれながら返事をする。
「......で、お兄ちゃんは?」
「いや、俺は遠慮しとくよ、これから七Gで十八秒の減速だろ? 『箱』の中に食ったもの全部ぶちまけそうな気がする。だから飯はそっちで食うよ。
てな訳で、俺はもう上がるわ」
最後の一言をドグに向かって言うと、歩き出す。その隣に穂乃果が並んだ。
後ろでフィットネスルームの自動ドアがしまる音がするやいなや、穂乃果が口を開く。
「パパってすごいよね」
「すごいって言うか、何ていうか......」
ドアの外に続く通路は狭く短い。とにかく、この船は物理エリアと呼ばれる『人』のためのエリアが殆ど無いのだ。
そしてこの扉の向こうに広がる部屋が、物理エリア最大の空間だ。
自動ドアが開いた瞬間、この空間に動力炉があるのではないかと思えるほどの機械音が重低音で響き渡る。
「じゃあ、また後でね」
これほどの騒音にも関わらず異常にクリアに聞こえる穂乃果の声。それは響生に否応無しに穂乃果が既にこの世にいない事を再認識させた。
彼女の声は肉声ではないのだ。
「ああ」
軽くうなずき、再び歩きだす。
「そうだ......」
言い忘れた事があるのに気づき振り返るが、既にそこに穂乃果の姿はなかった。まるでその空間には元から誰もいなかったかのような光景に、複雑な感情に襲われる。
気持ちを切り替え、開いたままの自動ドアの先にすすむと、入室を感知したセンサーが室内のライトを自動点灯させた。僅か奥行2メートル程のチューブ状の空間。だが、透明な素材で形作られた壁面の向こう側には巨大な空間が広がる。
「照明、消してもらっていいか?」
その瞬間、『了解』の意を伝えるウィンドウが展開し、照明がゆっくりと落ちる。
途端に透明な壁面越しに広がったドーム上の空間。天井の高さは六十メートルを優に超える。
緩衝液に満たされた広大な空間の床や壁、一面に刻まれた幾何学的な信号ラインを、眩いばかりの光が流れていく。光が集まる中心に聳える巨大な塔。表面を覆う発光素子が、複雑な信号伝達経路を可視化する様は、いつ見ても圧倒される。
『量子コンピューター=アマテラス』それは、この船の全てだ。
目の前に広がる光景を意味も無く見つめ続ける。ここに来るとそうせずにはいられないのだ。それは空間が持つ見た目の派手さが原因ではない。アマテラスに抱く複雑な感情がそうさせる。
否応なく巡り始めた思考は不意に後ろで自動ドアが開き、再び照明が灯ったために遮られた。壁面の向こう側は再び闇に沈んでしまう。
「なんだ、まだダイブしてなかったのか、お前」
聞こえた太いシャガレ声。もちろんドグの声だ。
「まさか、もう飯くったのか!?」
驚きに思わず声が上げる。ドグと別れたのはついさっきだ。
「まさか、いくら俺でもこの時間じゃ無理だ。さっさと理論エリアに退避しろって警告されてよ。まったく死霊どもは、俺等『肉体持ち』を何だと思ってんだ。飯も食わしてくれねぇなんてよ」
ドグが只でさえイカツイ顔に、目に見えて不機嫌を浮かべたことで醜悪な顔となる。
「いや、この状況で食おうとする方が......」
と言いかけてやめる。このオッサンに何を言っても無駄だ。
「で、お前は何やってたんだ?」
「いや、特に......」
言葉を濁す。アマテラスを眺めてた等と言えば理由を聞かれるのが落ちだ。余計な心配をかけたくない。
明らかに不振な態度をとった自分にドグは意味深な笑みを浮かべた。
「当ててやろうか? アマテラスを眺めてたんだろ?」
あまりにあっさりと当てられた事に僅かな驚きを感じる。
「え? なんで......」
「フロンティアに関わる俺等『肉体持ち』は、たいてい同じことをすんだよ。もちろん俺もな。親しい奴の魂が、あの巨大な機械の中に在んだ。そりゃあ、複雑な気持ちにもなるってな。
『人によって創造された死後の世界』なんて呼ぶ奴もいる。
『多重理論分枝型 生体思考維持システム』、こいつが生まれて半世紀。常に多くの奴にとって『科学と倫理』の矛盾の象徴でありつづけた装置だ。
でもな、俺はこの装置を否定しねぇぜ? 開発者も尊敬してる。いかにこいつが、今を生きる奴にとって恐怖の象徴でもな」
ドグは言いながら、意地の悪い笑顔を醜悪な顔に浮かべ、響生の背中をたたいた。
「っ痛ぇっな! 何すんだよ!」
思わず悲鳴を上げる。
「まぁ、悩むだけ悩め小僧。でも隠す必要ねぇぞ?」
ドグはそう言って何もかもを見透かし、勝ち誇ったように豪快に笑う。そのせいで僅かな羞恥心が腹立たしさにかわる。
「まったく背中に痣できたらどうすんだ。物理エリアで物理攻撃なんて、虐待のレベルだ。オッサン」
「分かった、分かった。愚痴は向こうで聞いてやる。早くしねぇと俺が飯を我慢してまでここにいる意味が無くなっちまう。
おら、とっとと『箱』だせ。早く退避してほしいんだろ?」
ドグの声に反応するシステム。緩衝液に満たされた壁面の向こう側から、棺にも似た透明なカプセルが迫る。壁面に広がる光の波紋。まるで壁面が液化したかのごとく、透明な壁を通過して、二機の『箱』がチューブ状空間に挿入される。
「寝返りすらうてねぇこの狭い空間が、俺らに与えられたプライベート空間の全てだって言う現実。まったく頭痛がして来るぜ。なのに外に出たがる奴は意外に少ねぇ。よく耐えられるって関心するな」
ドグが『箱』を見つめながら言う。乗員の中にはそれを『棺』と表現する者もいる。
実際それは、穂乃果の身体を宇宙へと葬った棺だ。
同時に緊急時の脱出カプセルでもあり、体調の全てを管理し、必要なら手術までも行う医療ポッドでもある。
「外に出るからその事実を再認識すんだよ。出てこなきゃ、認識しなくて済む。こいつを使う全ての者は裏切り者だ。俺も、あんたも」
そう言い、一瞬だけドグの表情を確認する。
「だから、『夢と記憶』の中で永遠に過ごすってか? そいつは賛成できねぇな。あっちも現実だしこっちも現実だ。その事実は変わらねぇ。どこに逃げようとな」
それには答えず。箱の中に身を横たえる。
蓋が僅かな駆動音と共に閉まっていく。自分は閉所恐怖症ではないが、それでも本能的な恐怖を僅かに感じる。この瞬間が嫌いで、逆に外に出たがらない者もいるほどだ。
この装置には緊急時の脱出や生命維持装置の他にもう一つ大事な役割がある。それは『人々が死霊と呼ぶ者達の世界』と『人』を繋ぐ役割だ。
視界に走るノイズと独特の耳鳴り。脳にシステムが接続される時に起きる独特の感覚。それは直ぐ様なくなり、視界に『CONNECTED』とクリアに文字が浮かぶ。
――Maximum Depth Dive
思考コマンド入力を受けて、システムがコマンド実行条件を響生が満たしている事を確認する。最大深度でのダイブ。死霊達と同条件で彼等の世界を体感するには、自身が一定条件をみたしていることが必要だ。
条件を満たすための代償。
自分は故郷の者に『感染者』と呼ばれ、忌み嫌われる存在だ。やがては肉体を持つ死霊となりはてる。
けど、これは自分が決めた運命だ。穂乃果やアイのように他人によって理不尽に押し付けられた運命じゃない。
『条件クリア』の意を伝えるメッセージと同時に視界の全てが虹色の光に包まれ、それは爆発するかのように唐突に弾ける。
『箱』の中に充満する独特の機械の臭いは消え失せ、代わりに木の香りへと変わる。
心地よい風が頬を撫でる感覚。目に飛び込んでくるウッドデッキに設けられた木製のテーブル。その向こうに広がる木々に囲まれた湖。
北欧の森林地帯をモチーフにしたプライベート空間。そこに設けられたバンガローハウスは、あのドグからは想像も出来ないセンスの良さだ。
出現ポイントを指定せずにダイブすれば、前回ログアウトした地点に出現する。
『箱』の中に横になっている体制から、ウッドデッキに設けたベンチに座っている体制で出現したために、三半規管は混乱し、瞬間的な眩暈を感じる。
だが、この感覚にも大分慣れた。以前は、出現するなり椅子から転げ落ちていた。眩暈から回復するべく一度目をつぶり、深呼吸する。が、
「お帰り、お兄ちゃん!」
すぐ後ろで聞こえた穂乃果の声。次の瞬間、勢いよく彼女に抱き付かれ、結局響生は転倒した。僅か数時間、物理エリアに出ただけだと言うのに、まるで数年ぶりに会うかのようだ。
「暖かい...... やっぱり触れられるのって良いね......」
上に覆いかぶさったまま囁くように言った穂乃果。そしてそっと額を胸に預けてくる。
他人が見たらギョッとするだろう。もしくは恋人同士に見えるのかもしれない。以前から兄妹の仲は良かったが、穂乃果がこのような行動をとることは無かった。
エスカレートしていく一方の穂乃果の行動。それをドグに相談した事がある。
――自分を悲観してない
と言った穂乃果。
けど、この穂乃果の行動は、極度の不安とストレスによるものだ。
肉体を失った者に多く見られる行動。『現実世界で生きる親しい者』に見せる強い執着。
――穂乃果は唯一残された肉親であるおめぇの愛情が、自分に向けられている事を確認したがるんだ。だから穂乃果の不安が消えるまで受け入れてやれ――
ドグの言葉が鮮明に思い出される。
そっと頭をなでると穂乃果は顔をあげた。栗色の髪の間から、大きな黒い瞳が自分を見つめる。
幼い中に女性らしさを宿し始めた穂乃果。本来なら兄妹は微妙な距離を置く年頃だ。穂乃果はどうだか分からないが、自分は妙な恥ずかしさを感じてしまう。
「少し重くなったか?」
それを隠そうとして思わず出た言葉。
とたんに穂乃果は頬を膨らませた。
「気のせいだよ。ここじゃ、体重増えないもん」
穂乃果は言いながら、少しふてくされたように立ちある。
「そんな事無いだろ? まだ育ちざかりなんだから」
さらに出てしまった言葉に、ますます穂乃果の頬が膨らむ。
「そう言う事言ってるんじゃないの! そんなんだから、お兄ちゃんはお姉ちゃんとの距離が縮まらないんだよ?」
その言葉に溜まらず、
「違っ!」
と叫ぶ。穂乃果はそれを無視してさらに続けた。
「お姉ちゃん、最近元気ないよね。気づいてる?」
「.......え?」
穂乃果が呆れた顔をする。
「敏感に気づいてあげないと、本当に嫌われちゃうよ?」
「違っ! 俺とアイはそんな関係じゃねぇって、何度言えばわかるんだって! 俺とあいつは単なる幼馴染で、ちょっと出会いとか特殊ではあるけど......」
自分にとってのアイ。それは自分にしか見えない不思議な幼馴染だった。
五歳の時、亡き父の部屋で初めて彼女に出会った。古いウェアブルコンピュータの中に閉じ込められていたアイ。
起動するなり「トモヤ! サキ!」と永遠と泣き叫んだ。それがアイの両親の名だと知るのは大分後になってからだ。
当時の自分はアイが何なのか理解していなかった。逆に言えば理解していなかったからこそずっと一緒にいれたのだ。
「でも、今は家族でしょう? 家族の心配はしてあげないとだよ? お姉ちゃん私と違って甘えるのとか、苦手みたいだし。たまには話、聞いてあげなよ?」
まるで諭すような表情で自分を覗き込んだ穂乃果。
完全に返す言葉を失い、情けない唸り声だけが上がった。
読者様から、用語説明が欲しいとの貴重なご意見を頂きましたので、入れさせて頂きます。
本来なら、本文中でサラリと説明できれば一番良いのですが、力量不足で申し訳ないです。
後々、何とか本文に入れられないか考えてみます。
用語説明
地球周回軌道:月や人工衛星の用にエネルギーを使わずとも地球の周りを周回し続ける軌道のことです。
物理エリア:戦艦内の現実空間を指します。
理論エリア:量子コンピューター内に構築された仮想空間を指します。
艦橋:艦長やオペレターがいて、船を指揮する部屋です。
量子コンピューター:従来のスーパーコンピュータで数千年かかっても解けないような計算でも、数十秒といった短い時間でこなすことができます。
従来のコンピュータの論理ゲートに代えて、「量子ゲート」を用いて量子計算を行うコンピューターの総称。(byウィキペディア)
マイクロ波:電波の中で最も短い波長域を指します。作中では通販の宣伝で『お腹に付けて電源入れとくだけで、お腹の筋肉が勝手にピクピク動き、数週間後には腹筋の割れ目が!』っていうあれの、全身バージョンです。
ウィンドウ:色々な情報を表示したホログラム。PCの画面がホログラムになってく空中に浮かんでいるような感じです。
緩衝液:外部からの衝撃を吸収し内部に伝えないようにするための液体。作中では『量子コンピューター』アマテラスを守るのと同時に冷却するために用いられています。
発光素子:光る電子部品の総称。現在ではLEDが主流です。作中ではもっと意味不明な発光原理に基づいています(多分)。
感染者:脳に超微細な電子部品を導入することで、仮想空間にダイブする能力を持った者(アクセス者)のうち、『脳への浸食作用を持つニューロデバイス』を埋め込んだ者をさします。
ウェアブルコンピューター:身体に身に着けるタイプのコンピューター。現在ではアイウォッチがそれにあたります。
今話の使用コマンド
――Maximum Depth Dive (最大深度ダイブ)
フロンティアにログインするためのコマンドです。フロンティア内の人々と変わらない解像度とシステムアクセス権でフロンティアにログインできます。『感染者』の専用コマンドです。
後の話で出てきますが『アクセス者』であるドグには使えません。