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017.Back To Life

 いつもの校長室。


「えっ、今度は警察に協力ですか?」


「そう。入国管理局経由で話が来てね、キャスパーが君を推薦したってわけ」


「という事は、外星人絡みですか?」


「そうとは言い切れないけど、厄介な案件をまとめて押し付ける部署が出来たみたい」


「ニホン政府も黒服機関みたいな組織を、立ち上げるつもりなんですか?」


「そういうグレーな用途に使える予算が無いから、規模的に無理じゃない?

 恒星間通信すら、電気代で自由に使えてないし。

 まぁ小さいセクションを作るのが、精一杯じゃないかな」


「規模が小さいのに、ずいぶんと前のめりに協力するつもりなんですね」


「だってさ、こういうのが迫害のネタになったりするじゃない?

 それなら最初から関わっておいて、担当者をちゃんと教導しておかないと」


「他に、超適任が居ると思うんですが」


「……エイミーとシンのコンビは、あまりにも忙しすぎてアサインは不可能だね。

 特にエイミーは各国首脳から相談を受けることが多くて、世界中を飛び回っているしね」


「あの二人をコンビにしたのは、ノーナの彗眼ですね」


「今となってはそう言えるけど、シンの秘匿された能力は戦略級どころじゃないからなぁ」


師匠(シンさん)はいつでも精神状態が安定してますから、若かりし頃ならともかく今はそういう心配は要らないでしょう」



                  ☆



「ああ、アキラ。これから警視庁の担当者2人を、顔合わせでそちらに連れて行くから。

 お茶くらいは出して上げてね」

 キャスパーの音声連絡は、いつも直前で唐突である。


「もう夕食の時間で料理が並んでますから、お茶だけお出ししてお預けっていうのは無理なんですけど」


「……食事を出して上げても良いけど、かなり図々しい二人だから気を付けてね」


「ニホンの警察官で、そんな図々しい人って居るんですか?」


「まぁ本人達に会って、判断してくれる?

 相性があまりにも悪ければ、入国管理局経由でこの話は無かった事にするから」


「はぁ……仕事なのに相性ですか?

 何か間違っているような気がしますけど」


 ⁎⁎⁎⁎⁎⁎


 妙齢の美女二人を残して、キャスパーは玄関先で帰っていった。

 室内に漂う様々な料理の香りに、彼女が鼻をぴくぴく動かしていたのはここだけの話である。


「警視庁特殊案件課の馬原です」


「同じく曽根です」


 二人とも170cm前後の身長の、警察官とは思えない華やかな美女である。

 タイトなパンツ・スーツは女性SP特有の服装であるが、グラマラスな二人が着用していると何かのコスプレに見えてしまうのが面白い。


「アキラです。宜しく。実は家は夕食の時間帯でして。

 あの良かったら仕事の相談をする前に、食事を一緒に如何ですか?」


「はいっ!喜んでご馳走になります!」

 食い気味に返事をする曽根は、かなりの食いしん坊なのであろう。

 大テーブルに並んだ大皿を眺める目が、爛々と輝いている。


「これからホームパーティでもやるんですか?」

 馬原は冷静な口調で訪ねてくるが、これらの料理はケータリングか何かで用意したと勘違いしているようである。


「いいえ。これは家の通常の夕ご飯です。

 この配膳用の大皿を使って、好きなだけ盛り付けて下さいね」


 スープポットには出来たての豚汁が、業務用の三升炊き炊飯ジャーには炊きたてのご飯がスタンバイされている。


「おおっ、どれも美味しそう!。

 私の大好物の炒米粉(チャオミーフエン)や、蚵仔煎(オアチェン)まで!」


「曽根さん、タイワン料理に詳しいですね?」


「ああっ、菜脯蛋(ツァイプータン)だ!

 私は本場の中華料理が大好きなので、良く弾丸ツアーで台北に行くんですよ」


 旧中華連邦は焦土と化し復旧の目処は全く無いので、今や本場の中華料理というのはタイワン風の中華料理の事を指している。


 大皿にたくさんのおかずを盛り付けて、彼女はモリモリと食べ始める。

 大食漢の割には食べ方が綺麗で、彼女の育ちの良さが窺える。


「これだけ美味しそうに食べて貰えると、僕も嬉しいですね。

 いつでもこんな感じの大勢の夕食ですから、自由に食べに来て下さいね」


「えっ本当ですか!毎日来ても良いですか?」


 曽根のハイテンションな様子に馬原は顔を顰めているが、口を挟んではこない。

 二人で行動している割には、お互いのプライベートには干渉しない間柄なのであろう。


「馬原さん、味は如何ですか?」


「私は彼女みたいに料理には詳しくないけど、この炒飯は美味い!

 あとこの豚汁も」


 ユウから伝授された昔ながらの豚汁は、ミーナの担当である。

 彼女はアキラと一緒のタイミングで料理を習っているので、地道に料理の腕前を上げている。


「馬原さんは競馬が好きなんですか? 

 それじゃチャンネルを、GCHに変えますね」

 アキラはテーブルに放置されている競馬新聞を、ちらちらと見ていた馬原に気がつく。

 いつもはCNNを流しっぱなしのテレビ番組を、アキラはマニア向けの競馬番組にチャンネルを変える。


「へえっ、視聴契約してるんだ。

 珍しいね」


「ここのケーブルテレビは、この惑星上の全てのテレビ番組をカバーしてますから。

 ドバイとかマカオの競馬番組も見れますよ」


「おおっ、海外の競馬番組って、興味があるんだよな」

 

お読みいただきありがとうございます。

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