携帯は震える
「気づいて」
思わず口からもれた本音。
でもどうせ、言葉にしたって誰にもとどかないんだろう。
いつもと同じ。
まぁ、別にいいんだけど。
締め切った部屋のカーテン。昼間だと言うのに、私の部屋は薄暗い。
まんがばかりが並んだ本棚の上に置いておいた携帯が、ブルブル、ブルブル、と震え、本棚から床へと落下。
私は手をのばし、いまだに震え続けている携帯の画面を確認。
携帯画面には、非通知の無機質な文字。
非通知…?誰だろう。
私は不審に思いながらも、通話ボタンを押した。
「志音…?」
聞き覚えのある声。
「しゅん…?」
「ねぇ志音?」
私のことなんてお構い無しに話始めるしゅん。
内心軽く呆れつつ、しゅんの言葉に耳を傾ける。
「空が、きれいだよ」
うん、だからなに
「外へ行こう」
……。沈黙。
しゅんにはどうも、勝手にきめてしまったりする癖があるらしい。
「じゃあ、今から迎えにいくね」
その言葉を最後に、携帯がぶつりと切れる。
でも、たまにはこう言うのも、いいかもな。
私は、ため息をひとつ吐き、出掛ける用意をするために立ち上がった。
初投稿です。
こちらは、昔かいたものの、リメイクとなっています。
あなたのカーテンは、開いておりますか?