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俺のショートショート

3つの話

作者: ジオ

ごく普通のサラリーマンの田村は会社の友人と居酒屋に飲みに来た。

その友人とは同期で仲が良い。仕事の息もピッタリ合う。

だが毎日、仕事が夜遅くまで続くので、飲みに行ってプライベートの話をすることはほとんど無かった。二人で飲みに行くのに至っては、初めてだった。

この日は二人とも仕事が早く終わって、飲みに行こうって話になったのであった。

「いや~仕事終わりのビールは旨いなあ~♪」上機嫌で友人は言う。

「ああ、そうだな」と田村は答える。

「なあ聞いてくれよ田村~今日上司がよ~わけわかんない事言ってきやがんだぜ。こう言ったんだぜ………」と友人の愚痴が始まった。

「それは大変だな。俺も前にさ……」と田村も日頃の愚痴を吐きまくった。

仕事の愚痴の話はそれなりに盛り上がった。やっぱりお互いストレス溜まってるんだなと田村は思い少し微笑んだ。

しかし一通りお互い愚痴をはき終えて、話題が無くなった。


居酒屋のテレビには政治の話題がやっていた。

田村はこれだと思い話を振ってみた。「なあ、お前最近の政治どう思うよ?」

すると友人は「ああ、どいつもこいつもクソだよな!消費税増やすとか、定年延ばすとかふざけんじゃねえよ。あいつら高学歴の癖に頭悪いよな~

特に○○党がおかしい。あいつら頭腐ってるよ ハハハハハ」と赤い顔で言った。

田村は「そうだよな」と引きつった顔で言った。

○○党は田村の支持政党なのだ。

選挙ではその政党にほとんど入れる。

今の日本を変えてくれてると信じている。

やっぱりこの話題を振ったのは、間違ったと思った。



テレビはスポーツニュースの野球コーナーに変わっていた。

それを観た友人は「あ~あまた阪神負けたよ。しかもあの巨人に。ストレス溜まるな~。今年は調子悪いな。でも強くても巨人みたいにはなってほしくない。あいつら金でエースや4番買うような低俗球団だもんなあ。なあ田村?」

田村は「まあそれは…しょうがないんじゃない?選手は条件いい所いくし。」とトーンを落として言った。

友人は「そうかあ?まあ一理あるけど。でも巨人に入るようなやつは根性腐りきってるよ」

「確かに」田村は暗めに言った。

田村は巨人の大ファンなのだ。自分の大好きな球団を否定されてうれしいはずがない。実に不愉快だ。

それにいい選手に金を積むのはどこでも同じではないか。何も知らないくせに根性がどうかとか言うな。

顔には出さないが、田村は怒っている。


このままでは、友人を嫌いになりそうなので、仕事の話に戻そうとした。

「それはそうとさあ、この前、営業で行った会社が妙に怪しかったんだ。なんか気持ち悪いなあと思ったら、後でわかったんだけど、そこオカルト教団だったらしいんだよ」


「そういうのあるよなあ。でもまだ怪しいぐらいならましだぜ。もっと気味悪いのがある。田村、○○っていう宗教知ってるか?あれは日本の中で一番やばい宗教だぜ。あれに入ってるのは頭おかしい奴。」と友人が言う。


田村の表情が険しくなる。田村は○○の宗教に入ってるのだ。田村は怒りを抑えながら「その話はいいからさあ。今日上司がさ~」

と話題を替えようとした。

しかし友人は「まあまあ聞けって、○○はまじでおかしいんだって。

俺、○○に入ってるやつは全員軽蔑するよ。いやその兄弟、親まで軽蔑する。だってあれなんだぜ……」と調子よく喋る。

田村はもう聞こえてない。自分ならまだしも、家族まで馬鹿にされたのだ。

拳には力が入ってる。

「おい、田村?聞いてる?○○はやばい事件起こしてるんだぜ。あの事件とか○○の仕業らしいよ」田村は堪忍袋の緒が切れた。


「いい加減にしろ!!!!!!!このクソボケえええ!!!!」と言うのと同時に拳を振り上げ、友人に殴りかかる。

ゴンッと鈍い音がして、友人が椅子から落ちて倒れる。

友人はゆっくり立ち上がって

「何すんだよ!!この野郎!!」と応戦し取っ組み合いの喧嘩になった。







取っ組み合いになってる間、田村はある言葉を思い出した。

それは丁度この会社に入る前の夜に親父が言ったことだった。

「いいか、会社では絶対に政治、野球、宗教の3つの話はするなよ。絶対だぞ!もめるもとだから」



もう手遅れだった…

もっと早く思い出していれば…


皆さんも会社の人と飲む時は気を付けて頂きたい…


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