第07章
「レディースアンドジェントルメーーーーーン」
高らかな声が会場に広がる。
その声は、王装武道大会の会場、コロシアムのリングの中心から発せられている。
「本日は、お集まりいただき、まっっっっっっっっっことありがとうございます!!」
ワーーーーっと、歓声が響く。
「これより!!王装武道大会の開会式を開始します!!」
司会者の声に観客のボルテージがグングン上がっていく。
「まーーずはっ!大会のルールの確認から!!」
司会者は、1冊のルールブックを懐から取り出す、サイズはB5版くらいだ。
「基本ルールその1。勝敗はポイント制10ポイント選手で勝利!」
司会者は手元のルールブックをめくりながら説明を続ける。
その頃、裏の控えゾーンでは・・・・・
そこでは12人の少女達が思い思いの場所でくつろいでいる。
「あらら?キノン?もしかして緊張しているの?」
赤毛の縦ロールの少女がキノンへと声をかける。
「あ、キキ。そりゃ緊張もするわよぉ。今日は演舞もあるのよぉ。しかも、開会式の直後だっていうじゃない」
キノンは、腰に王装の長剣を刺して、一振りのカタナを左手に持っている。
「あらら、それね?銘はなんだっけ?」
「え?確か胴太貫だったかしら。兄さんが打ってくれたんだけどね」
「あらら?あのお兄さんも万能よねぇ」
「でしょ?なんたって、自慢の兄さんだからね」
そこへ係員とおぼしき人物がやってくる。どうやら彼女らの出番らしい。
場面は変わりコロシアムのリング上では・・・・
「それでは、選手の入場です!!」
司会者がビシッと、選手入場口を指差す。
「まずは、ヴィカラーラ出身、瞬剣キノン選手!!」
大歓声の中、その歓声に答えるように両手を振り上げ1人の選手が入場してくる。
腰には長剣をに刺し、左手には胴太貫が握られている。
「チャトゥラ出身、水辺の妖精アクア選手!」
小柄な、幼女とも言えるような少女が表れる。
特に武器は持っていない様だが、彼女の回りには拳大の水の塊がいくつも浮かんでいる。
「シンドゥーラ出身、突撃の旋風キャシィ選手!」
一振りのランスを片手に携えた1人の少女が入場する。
彼女の足には奇妙な装飾が施されている。
「マホーラガ出身、破壊の鉄球ベイキャント選手!」
両手にモーニングスターを携え入場する。
鉄球の大きさは直径30センチほど。
「パジュラ出身、無尽蔵の膂力キキ選手!」
まず現れたのは2メートル越える斧。
それを、優々と担いで歩みを進めていく。その歩みはまるで斧の重量を感じさせないほど。
「インドラ出身、鋼の舞姫ライラ選手!」
舞姫の名に恥じない衣装で表れる。
彼女は鉄扇を両手に携えひらひらと舞いながら入場する。
「シャンディラ出身、飛燕スージー選手!」
シャラシャラという、軽快な金属音を響かせながら少女が入場する。
金属音の音源は彼女の腕に幾重にも巻かれた細い金属の輪だろう。
「アニラ出身、音速の鉄拳クリス選手!」
スラっと伸びた長身の少女が入場する。
他のアイドルと一線を画しているのは、なんの飾り気のない衣装だろう。
「アンディーラ出身、装曲の呼び声クラウディア選手!」
死神、彼女の姿はそう表現するのが一番だろう。
ボロボロの黒いローブと、死神を彷彿とさせる鎌を持っているのだ。
「ミヒラ出身、貫けぬ砦ジーナ選手!」
背中に巨大な盾を担いだ少女が入場する。
盾は特に装飾は見られないがサイズは2メートルに僅かに届かない程度。
「ヴァジュラ出身、忍び寄る影リリー選手!」
パン、パン、パンと炸裂音が響く。
音源は彼女の持つ無知が空気を切り裂く音の様だ。
「クンビーラ出身、魔弾の射手イレーネ選手!」
自身の身長をゆうに越えるいわゆる長弓と呼ばれる弓を携えた少女が入場する。
彼女は弓の弦使い、まるでギターの弾き語りの様な風体でその歩みを進める。
「以上!12の都市より選出されたアイドル達です」
彼女たちアイドル12人は円形のリングの回りにまるで中心の司会者を守るようにたっている。
その立ち位置は、王城を守るように配置された都市と同じ場所である。
「かつて、我らの王国は数多の魔獣に襲われていました。今では魔獣戦線と呼ばれています」
まるで遥か昔を思い出すような表情で語り始める。
「その時に活躍したのがアイドル達と、王装と呼ばれる武器でした」
司会者は、アイドル1人1人を指しながら
「ソード、スペル、ランス、モーニングスター、アックス、バトルファン、チャクラム、ナックル、サイズ、シールド、ウィップ、アロー」
司会者がそれぞれの王装を紹介するたび、アイドルは各々の王装を構える。
「我々の祖先は、魔獣の復活の阻止と、もし魔獣が復活した時に戦う力が残るようにと考え、お祭りとして王装武道大会を始めたきっかけとなりました」
司会者は一呼吸おいて、
「ならば、我々は続けましょう!伝統を重んじ、王装武道大会を続けていこうではありませんか!」