あやまち
主人公が犯した『罪』とは何か?
それを考えながら読んでいただけると幸いです。
ああ、また――――
また、やってしまった。
友人が、
恋人が、
みんなが止めたのに。
許してなんて言えないけれど。
僕に出来るのは、
せいぜい謝ること、
それぐらいしか……
ごめんなさい、
すいません。
でも、どんなに
言葉を重ねたって……
誓いを連ねたって、
この罪は消せない。
永遠に染み付き、
汚れとなるだろう。
どんなに『ごめんなさい』
と言ったところで、
この体は依然として
罪に蝕まれたままだろう。
いくら『すいません』
と言い繕っても、
罪の記憶に
未だ手は震え始めるのだから。
嗚呼、神よ。
願わくば僕を
罪の深さを知らなかった
あの頃に――――――
――いや、結局はまた
『すいません』だの
何だの言いながら
その言葉とは裏腹に
甘美な誘惑に耐えかね、
つい手を伸ばしてしまうのだろう。
なにせ、この罪は
僕の親から、
いや、もっと大勢から
受け取ったもの。避けることは難しい……
いや、そんなの言い訳にすらなっちゃいないか。
小学時代。
罪のことを知り。
中学時代。
罪の味を覚えた。
それからは――――
もう、止められない。
この世界は罪人に厳しい。
ルールで差別され、忌み嫌われる。
別に、僕らの中にも
やり方……マナーを分かってる人は
たくさんいるんだ。
目立つのはごく一部。
僕らは悪くない、と思う。
……でも、それでも、
この罪からは
逃げてはいけないのだろう。
ごめんなさい、とか
反省したフリをして、
すいません、とか嘯いて。
はっきりしないから、
恋人には逃げられた。
家族からは煙たがられた。
会社からは絞め出された。
こんなのじゃあ
人生、つまらない。
ここはきっぱりと『罪』を絶ち、
清く、正しく、健康な
そんな真人間として、
恋人にーー君に
会いに行こう。
会ったらまず何と言おうか。
『本当にすいません
また一緒に――』
……いや、違うな。
もっときちんとしなければ。
そう。例えば、
『気づいたんだ。
この世界の何より、
大切なものがあるってことに』
うん。
こんなところだろうか。
よし。
台詞は決まった。
登場人物は僕と君。
舞台は――――君と出会った公園なんてどうだろうか。
よし。そうと決まれば
君を呼び出して――――
ああ、ひとつ忘れてた。
こんな小道具は、もう要らない。
これからの舞台には。
長い付き合いだったが、お別れだ。
罪は、もう犯さない。
そう考えて、僕は
『煙草』をゴミ箱に突っ込むと
公園へ駆け出した。
『スイマセン』
『すいません』
『吸いません』
以上、禁煙を決意する話でした。
作者は未成年なので、喫煙者の方々の気持ち心情ポリシーは
まだ知りませんが、頑張って書きました。
読んでいただきありがとうございます。




