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魔界の姫と緑園の王子

「ヴィル~?ヴィル~??」

「どうしたの?ルーン。」

ルーンは熱を出して苦しそうにヴィルを呼んだ。

「まったく。湖に遊びに行くのは良いけど。水の中に入ったりするから風邪を引くんだよ?ルーン」

「・・・入ったんじゃないもん・・・転んだんだもん・・・」

ルーンは頬を膨らませ唇と尖らせた。

何故ルーンが風邪を引いたかというと


午前中


「ヴィルー!お外で遊ぼー!綺麗な湖があるんだよー!」

ルーンはそう言いながらヴィルの腕をひっぱった。

「わかった、わかった。行こう。そんな腕をひっぱらなくても大丈夫だよ。」

人間界にあるヴィルの故郷ラングールから魔界に来て早ひと月がたった。

ヴィルはすぐ魔界での生活に慣れ始めた。

外に出たルーンとヴィルは城付近にある大きな湖まで手を繋いで歩いてきた。

そこにはあたり一面空の色を写した真っ青で綺麗な湖が広がっていた。

「うわぁ。本当に綺麗なところだね?ルーン。魔界にもこんなところがあるのかぁ・・・。」

「?魔界にも?人間界では魔界はどんなところだと思われているの?」

湖の水を触りながらルーンはヴィルに聞いた。

「そうだなぁ・・・空はいつも曇ってて空気が淀んでて水とかも濁ってて城とかも茂ってて・・・暗いイメージがあったかな」

「・・・・。魔界はそんな暗い所じゃないよ?」

「うん。それが間違っていたことはここに来た時にきずいたよ。」

「良かったぁ!」

そう言いながらルーンは立ちあがろうとすると足元にあった小石を踏みつけ

「え・・・、わっとっとっとっと!!!」

ドボーン!!!!!

という音が鳴り響いた。


そして今に至る。


「ヘクシュッ!!!」

「大丈夫!?ルーン」

心配そうに顔をのぞかせてくるヴィル。

「だ、大丈夫だよ。心配しすぎだよ~。」

頬を真っ赤にしながらルーンはヴィルに笑顔を見せる。

「・・・・ルーン。少し眠りな。ずっとここにいるから。」

「・・・本当?」

「約束するよ」

そう言いヴィルはルーンの寝台横にある椅子に腰かけルーンの手を握った。

ヴィルの手の温かみを感じルーンは安心したのかゆっくりと瞳を閉じた。

(「良い?ルーン。東にある塔には絶対に行ってはダメよ?」

「なんで?母様?」

幼いルーンは愛する母の膝の上で母の顔をのぞくようにして聞いた。

「あそこには禁忌のものがたくさんあるからよ」

「きんき??」

「うーん。使ってはいけない物・・・かしら?だから絶対に入ったらダメよ?」

「・・・・はぁ~~~い!」

その後母はまた体調を崩し寝込んでしまった。母が寝込んでいる間にルーンは東の塔へ足を運んだ。

「・・・・扉・・・・ここ?」

幼いルーンは「ダメ」と言われたら逆に入りたくなってしまったのだ。

母よりも父よりも大きな扉をルーンは「うんしょっ!うんしょっ!」と言いながら扉を開けた。

ギギィィィィィィ

と怪しげな音をたてながら扉は開かれた。

「うわ・・・ぁ。」

中には見た事もないくらいの本が並べられていた。ルーンは部屋の中へと足を進め色々な本を手にとっては開いてみた

「・・・読めない・・・」

でも、本の中は見た事もないような字がびっしり書かれていて幼いルーンにはまだ読めなかった。

ルーンは読むのを諦め中を探索することに集中した。

部屋の奥へと足を進めて行くと不思議な感覚がルーンにまとわりついた。

「・・・?」

ルーンはその感覚のまま奥へと入って行くと黄金色に光を放ち輝いている1冊の本を見つけた。

「本が光ってる???」

ルーンは本を手に取ると開いてみた。

「き・・んきの・・まほう・・・?あれ?私なんで読めるの?」

他の本は読めなかったはずが黄金に光っているその本の中の字だけはルーンには読むことができた

「きんきのまほう・・・母様が言ってたまほうかな?えぇ~・・と・・・「生き返らせの魔法」?なんだろう、それ」

幼いルーンにはまだ言葉の意味がよくわからなかった。)

「ん・・・・・・。夢・・・?」

目を覚ましたルーンは片手で目をこすった。そして腰を起こそうとするともう片方の手を動かせない事にきずきその手の先を見ると。手にはヴィルの手が重なっていた。

ヴィルは椅子に座ったままウトウトしていた。だからかルーンが目を覚ました事にもきずいていないようだった。

(ずっと・・・ここにいてくれたのかな・・・?)

ルーンはヴィルを起こさないように手をヴィルの手から自分の手を離そうとするが、力いっぱいで掴まれているのか振りほどけなくルーンは仕方なくヴィルを起こす事にした。

「ヴィル?ヴィルー?」

ルーンは

繋がれている手を軽くひっぱりながらヴィルの事を呼んだ。

「ん~・・・?あ、ルーン起きたの?体調は?大丈夫?」

ヴィルは目を覚ますとすぐルーンに体調を聞いて心配してきた。

「大丈夫だよー。あの、起きたいんだけど・・・手・・・」

「わわ!!ご、ごめんね!」

そう言いながらヴィルは手を離すとすぐルーンの腰に手を入れ、ゆっくりと腰を起こすのを手伝ってくれた。

ルーンが起き上がると同時に部屋の扉が大きな音をたてて開け放たれた。

バーン!!!!

「ルーン!!!!熱を出したんだって!?大丈夫かい!?」

扉のとこに立っていたのは幼い頃よく一緒に遊んでくれたりした従兄弟のロナルド・クルフだった。


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