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第六話 いと慌ただしき停車場のこと
いと大きなる箱停まりて戸開かば、行き交ふ人のいと多し。翁、長き腰掛に座してその様眺むるに、いみじき音鳴れり。男、階の上より「疾く駆けよ!あれなむ乗らざればいつ乗らむや!」なむ叫びて、若者これに答へて駆けたり。翁、「あな、心短しや」なむ嘆けり。心短き男、いざ駆け込まむとするに、まめなる者これを留め、「や!な駆け奉りそ!扉閉むるに駆け込みたるや危うし!」なむ言ひける。心短き男、まめなる者に楯突きたるや、いとはしたなし。
いと大きなる箱停まりて戸開かば、行き交ふ人のいと多し。翁、長き腰掛に座してその様眺むるに、いみじき音鳴れり。男、階の上より「疾く駆けよ!あれなむ乗らざればいつ乗らむや!」なむ叫びて、若者これに答へて駆けたり。翁、「あな、心短しや」なむ嘆けり。心短き男、いざ駆け込まむとするに、まめなる者これを留め、「や!な駆け奉りそ!扉閉むるに駆け込みたるや危うし!」なむ言ひける。心短き男、まめなる者に楯突きたるや、いとはしたなし。