探索者協会
ある日、道の真ん中に本が現れた。
その本は現代では見ないような革製の古い本で、出版社名も作者も書いていなく、表紙にタイトルだけが書いてあった。
その本を開くと、最初のページには、【あらすじ】が書いてあり、それから【推奨技能】、【注意事項】、【難易度】、etr.....と、まるでゲームの説明書のようなことが書かれていた。
次のページには、【この先から、物語が始まります。よろしければページをめくり、貴方たちの物語を始めてください。どうか、貴方たちにとって良い結末を迎えることを祈っています。】
この本を初めに見つけた人は2人の学生だった。下校中、2人は本を拾い、面白半分でその場で次のページをめくった。そして目の前で光と共に消え去った。
3日後、本と共に彼女は現れた。
泣きながら、服を握りしめ、手に持っていた本を地面に叩きつけた。
叩きつけた拍子に、本が開く。
最後のページには、トゥルーエンド【世界のための少女】と書かれ、崩壊する世界に1人残された女の子の姿がページに描かれていた。
その日から世界中に、本が出現するようになった。
その本は人を飲み込み、試練を与える神出鬼没の本として、世間から騒がれた。本の物語をクリアすると報酬として、様々な恩恵が得られたのだ。
ある人は、人が変わったかのように意志が強くなった。
ある人は、特技や技術が向上した。
ある人は、人間離れした身体能力を発揮した。
ある人は、魔術を使い、非科学的な事象を起こした。
ある人は、狂い、この世のものでは無いものを崇めるようになった。
本の報酬やバットエンドによる消滅。その危険性から国々の政府が介入し、存在を隠蔽しようとするが、どこに現れるかも分からず、隠蔽工作は意味は無かった。
そこで政府は、危険な本を集め、保管するする施設を建造した。誰も読まなければ問題は無い。破壊することができない本を、政府は見つけ次第回収し隔離することにした。
しかしその1年後。事件が起こる。
保管していた本がいきなり光り始め、近くにいた人を取り込み始めたのだ。施設の受付や看守、職員は全て消え、また、施設から1番近い街の人口が3分の1、本の光に飲み込まれた。
調査したところ、本が出現して1年以内に物語を終わらせないと、無差別に近くの人を取り込むことが判明した。
この事件の被害者はおよそ1万人を超え、戻って来れた人は半分もいなかったという。
それから政府は、本に人を送り込み、物語を終わらせ、本を不活性化させる組織を立てた。
それにより、本の被害者は劇的に減っていき、やがてその組織は政府から独立し、世界規模の協会を作り出し、国と同等の権力を持つようになった。
本に入り、物語を進め、クリアを目指すこと。
人々は、それを探索者と呼ぶ。
そして、その機関は、探索者協会と呼ばれた。




