表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/25

第8話:ただ、触れてもらうだけで大丈夫です。

「やりましたね、ご主人ーーーー!」

 さくちゃんは大喜びの様子で二人の周りを飛び回る。


「安心するのは早いよ。取りあえずは姿をくらましたみたいだけど、本当に倒したわけじゃないからね……」


 白夜様は不安そうな顔のままだった。


「はる、ありがとう。……着物が、汚れてしまったね」


 晴は首を横に振った。


「いいえ。龍神様にお(つか)えするのが、私の勤めですから……」


「取りあえず、かくりよに帰りましょう!かくりよならば、ご主人もゆっくりお休みできます」


「そうだね……。僕もくたくただ……」


「白夜様……!」

「ご主人……!」


 再び晴とさくちゃんの声が重なる。


 白夜様は、力を使い果たしたように、その場に倒れてしまった。


「困りましたね……晴様、もし良かったら、少しだけワタシにも、力を与えてはくれませんか?」


「え、え……っ?力をって……どうしたらいいの?その、く、口づけとかって、そう言うこと……?」


 晴はどぎまぎした。

 さくちゃんにも白夜様にしたみたいにすればいいんだろうか。

 蛇だけど……。


「と、とんでもない……!そんな勿体無(もったいな)いことをしたら、白夜様に怒られてしまいます」


 さくちゃんはバタバタと慌てたように小さな羽を振り回した。


「ただ、触れてもらうだけで大丈夫です。もし良かったら、ぎゅっと、この辺りを、握ってもらったら……」


 さくちゃんはバタバタしながら自分の鎌首の辺りを示す。

 この辺りと言われてもどの辺りか全く分からなかったけど、晴はえい……っ!とさくちゃんの鎌首と羽が生えた胴の間辺りを右手でぎゅっと、握った。


 蛇に触るのは初めてだった。

 ひんやりとした感触がなんとなく気持ち悪い……と思っていたら、目の前に、真っ白な肌、黒髪おかっぱの女の子が立っていた。


 お、女の子……?

 白地に赤い模様の入った着物を着た、女の子なんだけど、少しツリ目で、瞳孔(どうこう)が縦長なのが、完全に蛇の雰囲気だった。


「もしかして、あなた、さくちゃん?」


「えっへん……!さくちゃんなのです……!」


 さくちゃんはどや顔で胸を張った。

 まさか、女の子だったとは……!

 なんとなく、男の子を想像してたんだけど……。

 こうして目の前に女の子の姿で立たれると、先ほどの一部始終をこの子に見られていたのかと、急に恥ずかしくなった。


「ご主人の力が戻れば、ワタシも自由に変化(へんげ)できるようになるのですが……」


 そこで言葉を切ると、さくちゃんは縦長の瞳で晴を見上げ、深く頭を下げた。


「晴様……改めてお願い申し上げます。ご主人には晴様のお力が必要なんです。どうか、この先も、ご主人のお(そば)に居てはもらえませんか……?」


 もちろん、晴はうなづいた。


「もちろんです。この先も、白夜様が力を取り戻せるように、私にできることがあれば、なんでもするわ」


「ああ、さすがは瑞守の姫巫女様……感謝にたえません……!そうと決まったら、かくりよに行きますよーーーー!久しぶりの我が家だなあ、ワタシも嬉しゅうございます」


 さくちゃんは嬉しそうに言うと、倒れている白夜様をひょいと横抱きにした。


「さ、さくちゃんすごい!力持ち……!」


「そうなのです、さくちゃん、こう見えて力持ちなのです……!なんたって、神使(じんし)ですもの……!」





 こうして晴は、龍神様の神使(じんし)さくちゃんに(いざな)われ、浮き世を離れてかくりよ……つまり、神様の住まう神域へと、向かったのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


生け贄の少女と、少女に手を出そうとしない龍神様のお話、楽しんでいただけているでしょうか?


ページの下にある、星評価、ブックマーク、感想などいただけたら作者の励みになります!


本作品は毎日更新中で、3万文字前後で完結する予定です。


龍神様と晴の食べる食べないの攻防と、二人の心の交流を、この先も見守っていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ