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第17話:私、贅沢になってしまったみたい……
「晴様を返すーーーー!?」
朝食の席に、さくちゃんの叫び声が響き渡った。
「うん。もう決めたことだから。村人には、晴と母君は龍神の寵を享けた者だから、大切に扱うようにと伝える。それから、村の長と、瑞守の家の者には、これからは生け贄は必要がないことを伝えるんだ。そうしたら、もう人間の乙女を生け贄に捧げようと考える者は、居なくなるだろう」
そんな……。
でも、さくちゃんの話を聞いた後だったので、晴も強く反対はできなかった。
「でも、ご主人。大丈夫なのですか?黒龍はまだ生きていて、どこかで傷を癒しながら反撃の機会を狙っているというのに……」
「大丈夫。僕はもう晴に充分霊力をもらったから。神力で村を守るぐらいのことはできるよ。晴には僕の護り刀を渡しておく」
「護り刀……?」
「うん。お守り。万一のことがあったら、これを使って、身を護るんだよ」
濃い緑色の地に、金の装飾の入った美しい鞘に納まった短刀だった。
「綺麗……」
緑と金……白夜様みたいだ。
晴は短刀を胸に仕舞い、母とともに、再び村へ戻ることとなった。




