第三話
変化が訪れたのは、彼女が5本目の動画を投稿した時だった。素人目では、何が良かったのか分からない。けれどもその動画は今まで以上に再生されて、高評価も多くついた。
「お前のおかげだよ、ありがとな!」
彼女はそう言って笑ったが、私としては戸惑うばかりだ。私の助言は、どこでも聞けるようなものばかりで、伸びたのは彼女の努力があってこそだと思うのに。
(だいたいあいつ、3週間も経ったのに止めてねえし)
飽き性の彼女が、毎日とはいかずとも定期的に投稿を続けているだけで奇跡だ。試しに、手元の画面に表示されている検索ボックスに、彼女の配信者名を入れてみる。いくつかのTwitterアカウントと、個人ブログがヒットした。
(……固定ファンも付いてきてるな)
少しずつだが、幼馴染はネットの世界で認められ始めている。そう感じて、私は何となく嬉しくなった。
(せっかく、あいつがやる気を出しているんだ。評価されてるなら、それに越したことはないよな)
もう、自分にできることはない。そう思いながら、私はスマホをしまって顔をあげる。幼馴染は目の前で、机に突っ伏して眠っていた。
「こら伊東。授業中に、堂々と寝るな」
教師が彼女を揺り起こす。慌てて謝罪をしている彼女は、昔と何も変わらない。その姿に、私は思わず笑ってしまった。
(何やってんだ。……まあ、多分。伸びた動画でやってたゲームで、ハイスコアが出るまで寝ずにやってたんだろうけど)
次の動画は、〇〇するまで終われません系かな、なんて。他愛もないことを考えながら、私は彼女を見つめ続ける。彼女はそんな私のことなど知る由もなく、教師に向かって何度も頭を下げていた。




