09.夜明けの旅立ち
大分更新が遅れて申し訳ありません!
テスト期間終わったと思ったら修学旅行が直ぐありまして……
あれよ、あれよの間に日々が過ぎ去っておりました。
ですが、今日からまた更新開始します!
今回はミナトが街を出る所からスタートです。
どーも、眠いです…
じゃなかった、ミナトです…
ふぁ~あ、眠い。
今私はギルドの集会所のカウンターでギルド登録をしている。
受付の美人な女の人から用紙を渡され記入をしている。
書ける所だけ書いてく。
む、名前か。
どうしよっかな?
『どうしたのじゃ、何故名前を記入せんのだ?』
『偽名どうしよっかな~と思っておりまして。』
『本名でよいではないか?』
『それはそれでいいんだけど…出来れば素性を知られたくないんだ。その為にわざわざローブ被って鎧のバイザー部分見たいなやつで顔隠してんだから。』
(鎧のバイザー部分見たいなやつは本当に鎧のヘルムからバイザーを取ったようなものです。それを眼の辺りだけを隠せるようにカットしたものです。)
『確かに、それには一理あるの。何せ城から抜け出してきた身故、痕跡は残したくないしの。』
そう、出来れば足取りがつかないようにしたい。
私の存在を公に出すことは無いと思うが、万一の事を考えてだ。
よし、偽名はこれにしよ!
「ファントム・ノワールっと…」
『ふぁんとむ・のわーるとは?』
『今からの私の仮の名。』
『ほぅ、何か意味でもあるのかえ?』
『その通り。まずかっこいいから。次に私の世界にある、とある国の言葉で、ファントムは幻や亡霊といった意味で、ノワールは黒や暗黒を意味する。それで私の魔力は闇。ピッタリでしょ。』
『なるほどの。確かに良いかもしれぬ。』
そんな感じでテキトーに書いていく。
「それではこちらが身分証明となる、ギルドカードです。」
さすがEランクカード、素朴です。
「ギルドカードの更新については受付の者に見せればできます。依頼についてですが、此処で受注した依頼を別の街の集会所でも達成を報告し、ギルドカードさえ見せれば報酬が貰えます。」
とりあえず、ギルドについてのレクチャーを受けた後、依頼が貼ってある掲示板を見る。
何か護衛の依頼があればいいのだが……
そうすれば依頼ついでに別の街にいけるし。
やっぱり都合よくあるわけないか。
仕方ない。
此処から一番近い村か街近辺の依頼はあるかな。
ふむ、此処から南にいった所にあるアイルーン王国とファルシオン王国との国境沿いに出現するグレイウルフの退治か。
まぁ、確かにこっから国境までは近いし、これといった行く場所の目的もないからいっかな。
「この依頼を受けたい。」
「かしこまりました。依頼内容はファルシオンとの国境沿いに出没するグレイウルフの退治、報酬は3000ゴールドですね?」
「はい。」
「では、頑張ってください。報酬はファルシオンのギルド集会所でも貰えますので。」
それでは頑張って国境沿いのグレイウルフ退治に行きますか。
そういえば、グレイウルフについて説明しなきゃな。
グレイウルフというのはその名の通り、灰色の狼のことだ。
魔物の中では雑魚に入るのだが、集団で狩りをしたりするので、囲まれると結構危険だったりする。
それに数が多く、彼方此方で被害を出している迷惑極まりない魔物なのだ。
でも雑魚には変わりないのでルーキーの腕試しでよく狩られている。
次にファルシオンについて。
ファルシオン王国はアイルーン王国の南に位置する国だ。
海沿いに国がある為か、水や風の魔法を得意とする者が多いらしい。
船による貿易や漁業が盛んで其処で獲れる魚はとても美味しいそうだ。
私的には刺身にして食べたい。
そういえば、こっちに刺身ってあるのかな?
だが、最近は魔王の軍勢によって船が消息を絶ったり、沈められる被害もある。
さらに海賊による襲撃、陸路ではやっぱり魔物や盗賊や山賊に狙われたりする為、相当苦労しているそうなのだ。
それとこれは噂なのだが、ファルシオン王国にユウスケとは違った勇者がいるらしい。
どうも、勇者が召喚された噂が流れたらしく、ファルシオンもまたそれに習って力や勇気のある若者を選んで勇者にしたとか。
ついでに言うと、ユウスケの事が世界に発信されたのは王との謁見後すぐだ。
それから数日後にファルシオンが勇者を選んでその事を発信。
因みに私については知られていない。
だってそうだろ。
王様の前で堂々と勇者を断ったんだから。
その為に監視が私だけ多かったのだ。
とにかくこんな感じ。
おわかり?
わかんなくてももう説明しないけどね♪
そんなことより、さっさとこの街を出よう。
そうして私は朝焼けの街を一人後にした。
「…ミスだ!私のミスだ!!」
何てこった。
まさか、まさか…!
現実は余りにも冷たい。
『主よ、それは大袈裟じゃて。』
『大袈裟じゃなーい!』
念話で叫んではいるが、実際に叫んでもいたりする現在の私。
さっきから現状が分からない方もおりますでしょうが、今はとにかく!
叫ぶ!
「面倒だーーーー!」
―――5分後―――
どうも、ミナト改めまして、ファントム・ノワールです。
ファントムでもノワールでもどちらでもいいです。
先程は大変お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありませんでした。
これで謝罪は終わり!
とりあえず、さっきの事について説明しようと思う。
私はあれから街を出た後、南の国境沿い目指して進み、森の中に入った。
しかし、不運な事にそれはもう不運な事が起こった。
途中吊り橋があるはずだった。
しかしながら、其処には橋が架かっていなかったのだ。
おかげで遠回りしなくてはいけなくなってしまったのだ。
この吊り橋以外にもルートはあるのだが…
何せ遠い。
来た道を一旦引き返さねばならないし、道が酷い。
これを面倒と思わずにはいられない。
はぁ~…
迂回するにしてもこれじゃ目的地に着くまでに草臥れてしまいそうだ。
何処かで馬車か何か欲しいな。
―――ジャリッ
「へへっ!」
「かもが来たぞ!」
およ?
何かと思ったらいつの間にか後ろに山賊と思しき輩が十人程いるぞ。
「どうやらこいつ一人だけのようでっせ!」
「あぁ、そうらしいな。」
「ひひひ!」
「おい!其処の人間!金目の物を置いてきな!そしたら命は助けてやる!」
「…………」
「おい!聞いてるのか!?」
「…………」
「聞こえてるのか聞いてんだよ!ぶち殺すぞ!」
あ、無視してたら怒り出した。
仕方ないな、返事だけしておくか…
「……聞こえてる」
「ったく!さっさと金目の物だせ!それとローブとバイザーも取れ!」
注文が多いな。
とりあえず従っておこう。
とりあえずバイザーを取って、ローブのフードを脱ぐ。
「ほぅ、いい女じゃねえか…!」
「こりゃいい!」
うわっ、急に山賊の目が変わったよ。
女って分かった途端に。
下品で現金な奴ら…
「女!気が変わった。命は助けてやるが、その代わり俺達の相手をしろ!」
相手?
『えっちぃ行為のことじゃ。』
『えぇい!いちいち言わんでいい!』
まったく。
それより一つ聞いときたいことがあったんだった。
「その前に一つ聴きたいことがある。橋はお前らが落としたのか?」
「そうだ。退路を断って逃げられないようにな!」
そうか、そうか。
よ~くわかった。
決めた♪
全員血祭りにあげよう♪
「そんことよりお―――」
「嫌だ!」
「そうか…野郎共!あいつをぶっ殺し―――」
「頭!」
「き、貴様ー…!」
「殺す…!絶対に殺す!」
その台詞はこっちだよ。
それよりこれで後、九人。
それとさっき喋ってたのはいい加減面倒になったので、買ったばかりのH&K USPに似てるやつで眉間を打ち抜いた。
それにしてもH&K USPなんて名前めんどいし、それその物じゃないから名前変えよ。
そうだな……H&KとUSPを合体させて、HSKとしよう。
よし決定!
「全員でまとめてかかれー!」
「おぉー!!」
さて、USP改めHSKの試し撃ちをさせてもらおうか。
「死ねー!」
前方から四人程が突っ込んでくるのを空中に跳躍し回避。
そのまま山賊の上空で素早くもう一丁のHSKを抜き、身体を捻りながら撃つ。
「!」
「ぐわっ!」
「ぎゃっ」
「ぐへっ」
これで後五人。
しかし、身体が軽い、軽い。
どうも肉体強化が自動でかかってるみたいだ。
召喚の副産物かな?
まぁ、いいや。
それより、今は目の前の事に集中。
着地後、止まることはせずに一気に走り、残りの5人に迫る。
「くそ!」
「こいつ、できる…!」
「接近戦に持ち込め!相手は古代兵器、近距離じゃなかなか使えまい!」
甘いな。そんなことで封じられるものじゃない。
それに体術もある。
前方の相手の袈裟斬りを紙一重で躱し、相手の背後から心臓と頭に一発ずつ撃ちこむ。
後四人。
「もらったー!」
「ちっ!」
横一文字斬りに対し、その場で伏せてやりすごし、左手に持った一丁を素早くホルスターに閉まって腰から剣を抜刀。
そのまま、相手の喉に突き刺す。
「ごふっ」
「残り三人…!」
「つ、強い…!」
「雷よ、あらゆるものを貫き、焼き切る槍と成せ、雷の槍!」
おぉー!無事に魔法詠唱もできた!
「なっ!魔法も使えるのか!?」
えぇ、使えますとも♪
とりあえず、剣を地面に突き刺し、サンダーランスを握る。
これで残り二人。
そのまま、それを投げる。
「ぐわぁー!!」
腹を貫き、感電し、人の焼ける臭いが微かに漂う。
「む、無理だ…!勝てねぇ…!」
「泣き事言ってん―――」
あと1人。
「ひぃ!」
「さよなら」
山の中に戦いの終わりを告げる銃声が木霊した。
✝
「私って、結構血も涙もない人間なのかな…?」
『む、むぅ…そんなことは無いと思うぞ?』
今現在、私は、山賊が使っていたと思われる馬車を使って移動中だ。
あのあと、山賊の亡骸をそのままにしとくのもあれなので、道の端に並べて置いた。
それとさっきのやり取りはあれだ。
私は人を殺めたにも関わらず、特に何も感じないのだ。
普通なら、ここで吐いたり、震えたり、泣いたり、etc.
そう考えると、私って冷めた人間なのかなって考えちゃうわけです。
はぁ~…
まぁ、いっか。
戦ってる最中とかになったら隙だらけだし、考える所はあるが、気にせん!でもやっぱり気にする!
さっさと目的地に進んでしまおう。
予想以上にタイムロスしてしまった。
今日はこの辺で野宿かな。
そういえば、ユウスケの奴、手紙に気付いたかな?
あの手紙で追跡を考えたりしないよね?
いや、寧ろ連れ戻そうと考えるかもしれないな。
やっぱり、早くこの国を出よう。
今日は色々とありすぎた。
西日が眩しい。
ファルシオンとの国境沿いまでまだまだだな。
疲れた……
ども!unkonownです。
本当に遅れました!
どうも、すんませんでした。
次はもう少し早く更新したいと思います。
次回は、ミナトがファルシオン王国に着いた物語です。
では、また次回会いましょう!