05.宝具と秘められた力
三日ぶりの更新です!
今回は長い物語です。
では、今回は宝具を下賜され、それによって魔力に目覚める物語です。
それと、めんどくなってきたので、綾瀬湊をミナトとしてこれから書きます。
異世界ですし。悠介も同様に、ユウスケとして書きます。
あ、でも馬鹿で表記するのは変わりません。
こんにちは、私ことミナトです。
ん?何故綾瀬湊がミナトに変わったかって?
前書きを読め。
それと異世界では家名は後で名前が最初なんだ。外国と同じだな。
そろそろこっちに慣れないとな。
ところで現在私とユウスケは謁見の間を後にし、エミリー姫に連れられ宝物庫に足を進めている。
エミリー姫の話によれば、魔法が使えなければ話にならないだの、武器もないんじゃもっと話にならないだの、ぼろくそに言われてしまった。
だが、そんなこと言われても日本じゃ武器の所持は法律違反なんだから武器を所持してる方がおかしいのだ。
だがまぁ、私は、とあるどっかの馬鹿の所為で、学生鞄の中には常に麻酔銃や改造されたエアガンを隠し持っていた。
(エアガンの改造は法律違反だが、こっちは自分の命が懸かってるんだ。気にしない♪それにコネがあるし)
因みに鞄は此方に来る際にあっちに落としてきてしまった。
「着きました。此処が宝物庫です」
物思いに耽っていたらいつの間にか着いたようだ。
「「すげー……」」
私とユウスケは同時に同じ言葉を不本意ながら呟いた。
そこには重々しく巨大な、それこそRPGのボス部屋にありそうな扉が其処にはあった。
「少しお下がりください。今開けますので。」
彼女はそう言うと、手を前に翳し何やら呟いている。
呪文か何かだろう、彼女の手が淡い光を帯びている。
すると、巨大な扉がひとりでに開き始めたではないか。
「すっげ~……」
またしても感嘆と呟くのだった。
✝
「ではどうぞ、此方に」
そう言われて私達は恐縮しながら恐る恐る足を踏み入れた。
其処で待っていたのは、色々な装飾が施された剣や盾、腕輪やグローブとあらゆる物があった。
「ユウスケ様にミナト様、この中からご自分に合った物を一つだけお選びください」
「ちょっと待て。私も選ぶのか」
「え?そうですが?」
至極当然のように言われてしまった。
「私は勇者なんてやらないのにか?」
「え?勇者ほんとにやんないのか!?」
いきなり馬鹿に割り込まれた。
「何度も言わせるな。私はお前のおまけだ。それに仮にも魔王を倒したって帰れないんじゃ困る」
「そ、それは…」
「そのために私は私で行動する。それに私は勇者には向かない」
そう、私は正々堂々などというものは好きじゃない。
戦いで正々堂々と戦っていたら命が幾つあっても足りない。
そもそも勝てない相手、勝てそうにない相手に真っ向から挑むのは自殺行為に等しい。
だからこそ戦略や作戦が在り、奇襲攻撃や伏兵なんてものがあるんだ。
私を卑怯者と罵ろうがどうしようが知らん。
これが私の持論だ。
少し話が脱線しつつあるので戻そう。
「だからやらない。そんな私に宝具を渡していいのか?」
「えぇ、そのことなら大丈夫です。たかが一個や二個、持ち出されても構いませんから。」
「そういうことなら頂いとく。只なものほど良いものは無い!」
✝
「しっかし、これだけあると何にするか迷うな…」
「そうだな、私はあまり大きくないのがいい」
でも、本当にこれだけあるとどれが自分に合うものか分からない。
何せ、見渡す限り武具の山、山、山!
これじゃ、見つけるのに―――
―――ココダ……ココダ……ココニイル……
何だ?この声?
「おいミナト?大丈夫か?ボーっとして」
「ユウスケ、何か声が聞こえなかったか?ここだ、ここにいる、って」
「なに言ってる?頭のネジ大丈夫か?」
―――ドスッ!
とりあえず、馬鹿は適当にハイキックを喰らわせといて。
さっきから私を呼んでる声の源を探そう。
―――ココダ……ココニイル……
また聞こえた。
「確か、この辺から聞こえていたような…」
―――ココダ…ココダ
「これか?」
私をさっきから読んでいたと思われる物は5センチくらいの小さな短剣の付いたブレスレットだった。
見た目はサ○デーで連載されていたメルヘンでヘヴンな世界のアームに似ている。
それに私が触れた瞬間―――
私の世界が歪んだ。
―――ヤットミツケタ
✝
「ここは……?」
目が覚めると、そこは、私が通っていた学校の教室だった。
窓の外を見てみると、星一つなく、満月だけが夜闇を照らしだし、その下には私の住む町がある。
「たしか、私は異世界に召喚されて…そのあと宝物庫で何かに呼ばれて―――」
「妾に呼ばれ、妾に触れ、そして此処に来たのじゃ」
いきなり誰かが声を掛けて来た。
でも周りを見回しても誰もいない。
「此処じゃ、此処。主の足元じゃ」
「え?」
言われて足元を見た私度肝を抜かれた。
だって黒猫が人の言葉で喋ってるんだもん。
驚くなという方が難しい。
それとも異世界じゃこれがノーマルなのか!?
いや、その前に猫がいるのかすら定かじゃない。
そんな事を考えていると黒猫が話しかけて来た。
「主が妾の新たな主か?」
「ほぇ?」
思考が着いていけずに間抜けな返事をしてしまった。
恥ずかしい!
「もう一度問う。主が妾の新たな主か?」
「は?主?何の?何で猫が喋れるの?ていうか此処何処?」
「仕方ないのう、説明してやるから落ち着け…」
私の思考は現在スクランブル状態。
システムオールレッド。
ショート寸前。
そんな状態な私がしばらく五分は続いた。
✝
「なるほど、あのブレスレットにあんたの意思が宿ってて、あんたは適合者の反応を感知して私を呼んだ…」
「うむ、そんな所かのう。」
「それで私があれに触れた途端に此処、つまり私の心情風景が投影された場所に来たわけね。」
「あっておるぞ。」
「で、来た訳は、私と契約する為…」
「その通り」
私は今現在、先ほどいた黒猫に私がどうなったかについてあれこれ質問し、整理している。
あの後、私は一度学校を出て、心を落ち着かせるべくこの公園に来た。
大分心が落ち着いたので黒猫を質問攻めにして今に至る。
「でも何で私なんだ?あの場にはユウスケもいたのに…」
「主殿と一緒に居た者か?あの者は無理じゃ。魔力の属性が妾と対局に位置するものじゃ」
「へぇ~、それでユウスケの馬鹿はどんな魔力の属性何だ?」
「全てを照らし出す光の属性じゃ。」
うゎー、流石勇者として呼ばれた訳だ。
あの性格で更に光と来たか。
うん?待てよ。ユウスケと対局の属性は―――
「主殿のが今考えてる通り、闇じゃ。」
勝手に心読まれた!?
「此処は主殿の心じゃ。簡単な事。」
しかし闇か。
とことん勇者には向かないな。
まぁ、私には向いた力かもな。
「ところで、契約はどうやってするんだ?」
「む?契約してくれるのか?」
「うん。かまわない」
それに、楽しそうじゃないか!
「そうか!ではまず主の中に眠る力を自分の制御下に置く事じゃ!」
妙に輝いてる…
そんなに嬉しかったのかな?
「主!とりあえず自分の力の流れを感じるのじゃ!そして、その力を何かに具現化させるのじゃ」
「具現化って?」
「闇の力を最大限に具現化できるものじゃ。主が一番闇を思わせるものでよい」
そんなこと言われても…
「とりあえずは体内にある魔力をしっかり認識することが重要じゃ。集中し、体中を流れる魔力を感じるのじゃ。しばらくすれば、その存在をはっきり感じられるはずじゃ」
「よし!」
とりあえず、意識を集中し、体中を流れる魔力を感じる。
気のようなものか。
体を駆け巡る何かを感じる。
「ほぅ…もう感じよったか。早い」
何やら感嘆の声が聞えたような気がしたが、私は意識を集中し、それを何に具現化すれば良いかシンキングタイム中だったので気にしない。
何でも良いんだよね?
だったら……。
「これまたずいぶんなものを具現化しよった」
「だって、これしか思いつかなかったんだもん」
「まぁよいか。ではこれから注意事項を話す。よく聞け。自分の制御下に置く事はつまり、早い話、屈服させてしまえばよい。だが、巨大な力程屈服させるのは難しい。下手をすれば己自身が力に呑まれて終わる者もおる。だからあまり迂闊に―――「すごー!どうやって動いてるんだ!?」
「なんと……説明しておる最中に屈服させてしまいおった」
「ん?どうしたの?」
「う、うむ。まぁよいか…」
私は黒い猫が長々と説明してるのを聞き流し、先ほど具現化したものを見ていた。
その姿は禍々しく、死の香りと死そのものを纏い、闇と共に生者の魂を狩る者―――死神だった。
最初は亡霊だったのだか、いつの間にか死神になっていた。
そういや、屈服させろとか何とか言っていたので自分なりにやってみた。
とりあえず、脅しに脅し、最後にあま~い言葉を投げてやったら落ちた。
「しかし、どうやって手懐けたのじゃ?」
「脅した♪」
「お、脅し……!」
「どんな風に脅したか知りたい?聞いても後悔しない?」
「う、うむ、止めとこう…」
賢明な判断だ♪
「それより、早く契約しよう。」
「そうであった。では」
そう言った途端、黒猫は光に包まれた。
そこにはフリルをふんだんに使った黒いドレス―――所謂ゴスロリを着た十歳くらいの美少女がいた。
さらに、髪は腰くらいまである金髪、瞳は紅く、神秘的な空気を纏っている。
「どうした?さっきまであったおやつが忽然と目の前から消えた時のような顔をしおって?」
……例えは今一つ分からんが、私は少し唖然としていた。
まぁ、猫が喋ったんだ、これくらいあってもおかしくないか…
「驚いてもおかしくないか。先ほどまでは猫だったからのう」
「それは、まぁ。慣れるしかないよね」
「うむ。では契約を行おう」
「頼む」
「直ぐに終わる。妾は堅苦しくて長いのは好かんからの」
「同感だ」
「主殿はただ立っているだけでよい。始める」
「わかった」
「―――我、この者と契約せし者、この場をもって汝と契約する!―――」
途端、足元が光り、しばらくしたら消えた。
「これでおしまいじゃ」
「早っ!!」
「因みにあのダガーブレスレットには異次元の中に物など色々仕舞える便利機能付きじゃ♪」
なに通販の商品の紹介みたいにいってるの!?
たしかに便利だけど!?
「イメージしただけで取り出せるぞ!」
「いや、既にそこまでできる時点で便利だから!」
「あ、あと武器の生成もできるぞ!」
「え?何で?」
「昔妾を行使していた者が必要な材料を貯蔵用の次元とは別に入れて、作りたいものを強くイメージし、そして魔力を流し込むことで武器の生成を行っていたんじゃ。その方式が妾に残ったままでの。練習すれば使えるぞ!」
え、何そのチート…
めっちゃ気になる!
やばい、これから先楽しみだ!
「だが、余り期待する出ないぞ。素材にもよるがイメージが纏まっていないと良いものはできぬ」
「わかった。えーっと、名前ある?」
「名前は無い。ならば主が付けてくれ」
うーむ、名前かぁ……。
そうだな……。
「じゃあ、レイシスってのは?」
「レイシス、うむ、良い名じゃ!」
「ただ頭に浮かんだだけ名なんだけど…まあいっか!」
「よろしく頼むぞ!我が主よ」
「こっちこそよろしく、レイシス」
こうして私はレイシスと契約を交わしたのだった。
✝
「おい!大丈夫か!?ミナト!」
「うぅ、此処は…?」
「起きたか!?」
―――ズシャッ!ベキッ!ドスッ!
とりあえず顔が近かったので張り倒しておいた。
「どうも帰ってきたみたいだな」
『主殿、聞こえておるか?』
『うん、さっき言ってた通り聞こえてる。』
『そうか。まだほかにも話したい事はあるが、後日にしよう」
『うん、じゃあね』
こちらに帰ってくる前にレイシスから念話ができると言っていたのでやってみたが成功のようだ。
「いてて、しかし無事でよかった」
「私はそんなに長く眠っていたのか?」
「精々二、三分程度だ。でも気づいたら倒れてるんだ。焦ったよ」
「それは悪かった。大したことじゃない。それよりそのロングソードは?」
「ん?これか?これが俺の選んだ奴だ!何でも全ての災いを祓う剣だとか。」
まさに勇者のための剣だな。
「で、ミナトは何にしたんだ?」
ユウスケが私に同じ事を聞いてきた。
「私はこのブレスレットだ」
「へぇー、随分小さいな。どんな力があるんだ?」
「便利な機能満載だ!だが、教えてやらん」
「ちぇ、ケチ!」
「そういえばユウスケ、お前光の属性なんだってな」
レイシスが言っていた事を思い出し訪ねたのだが、心底驚いた顔をしている。
「よくわかったな。ほかにも全属性の魔法も使えるらしい」
「へぇ~」
『主殿も使えるぞ。』
『ほんとか!』
『うむ。まぁ、魔法についても説明するでの。』
『ありがと。でも今日はいいや』
『わかったのじゃ』
レイシスとの念話を切り、ユウスケとの話に戻る。
「ところで、ミナト。ミナトは何属性何だ?」
「教えてやらん!」
「いいじゃんか!」
「ダメ!」
ユウスケはとても恨めしそうにこちらを見てきていたが諦めたのかこんな事を言ってきた。
「そのうち教えてくれよな」
「そのうちな」
ま、この力といい、ブレスレットの力といい、おいそれと教えられるものじゃないけどな。
「選び終わりましたか?」
エミリー姫が訪ねて来た。
「あぁ」
と、ユウスケ。
「終わった」
そして私。
こんな感じで今日の幕は落ちた。
今日は色々あったが、楽しい一日だった。
レイシスとも会えたし。
もう、今日は部屋に戻って寝よう。
充実した日だった……かな?
どうも、unkonwnです。
いや~、長いです。
無駄に長い!それでも読んで下さった方感謝です。
新しいキャラ?レイシス登場でした。
次からは、ミナトが城からの脱出計画を企てます。
お楽しみに!