03.異世界『クレイドル』
どうも、3話目です。
今回は召喚されての 物語……
つまり、異世界でのお話です!
はじまり、はじまり~!
こんにちは、私こと、綾瀬湊です。
現在、私は叫び散らしながら真っ暗な場所を落下中です。
「にゃぁーーーーーーーーーーーーー!!!!」
こんな感じ♪
えっ?何故叫びながら落下してるのに普通に状況報告してるの?って?
そんなの簡単な話だ。
それは私が今の現実から逃げてるからに決まってるだろう?
何を当然なことを聞く?
まぁそれより、だ。
かれこれ五分は落下してるんだが、未だに落下が終わらないんだ。
折角、死への心の準備ができたのに意味がない。
まだ死ぬとは決まってないが、死なないという保証もない。
もしかしたら夢かもしれない。そうで無いかもしれない。
これが夢であるのが一番だが……
ん?何だか光が見える。
天国?それとも地獄?はたまた何も無い虚無の空間?それとも夢の終わり?
どっちでもいいや……。
なるようになれだ!
でも最後に万一に備えて一言くらい言ってもいいよね?
てか、言う!
「悠介の大馬鹿野郎ーーーーーーーーーーー!!!!!」
「誰が大馬鹿野郎だーーーー!」
あ、居たんだ。
よもや、最期をこいつと共にしないといけないなんて……。
何たる不幸……。
(最期とも決まってないが。)
そんな事を言ってる内に光が強くなっていく。
さて、生きてるかな?死んでるかな?はたまたいつも通りの景色かな?
「一応、さよなら…私の人生……」
そして私達は光の中に消えた……
じゅうじか
―――ドスッ
「いった~……」
と、私。
どうやら生きてたみたいだ。
―――ドスッ
「いって~……」
ついでに馬鹿も無事らしい。
ちっ…そのまま消えてくれればいいものを。
とりあえず私も含め、こいつも生きていたことが分かった。
此処が死後の世界でなければだが……。
だが、そんなことより、今一番しなくてはいけない事。
それは……、
「444回死ねーーー!!」
「のわっ!?」
ちっ!ギリギリで私の回し蹴りを回避するとは。
認めたくはないが、流石は悠介といったところか。
だが!甘い!その動きでは次は回避できまい…!
回し蹴りの勢いを殺さず、次の回し蹴りに突入しようとした刹那ーーー
―――チャキッ!
私と悠介の喉元に銀色に輝く、鋭利な物があてられている事に気付いた。
その鋭利な物体から伝わってくる冷たさから、それが剣であることを理解した。
振り上げていた足を下ろし、今の状況を確認した。
悠介はまだよく分かってない様子だ。
何処に居るか確認してみると周りが石の壁でできており、部屋の中央には私と隣に馬鹿、目の前にはズラリと並ぶ
、騎士の皆様方。
その後ろに、明らかに空気が違う、白いローブを被った少女。
そして、部屋の隅には魔術師か神官と思しき者たち…
明らかに日本人ではないし、日本でもなさそうだ。
それから、此処に来る前に見たあの魔法陣…
察するにあれだ、うん。
漫画やアニメ、小説の世界によくあるアレらしい。
まさか本当にあるとは……。
どうやら私達は異世界に来てしまったらしい。
これほど条件が揃ってるのだ。
まず、間違いないだろう。
そろそろ真面目に考えないと、取り囲んでる騎士達に斬られそうで怖い。
なので、行動に出てみる。
「暴れたりしないんで、そろそろ剣を下げて貰えませんか?」
「っ!?」
急に周りがざわつき始めたぞ?
そんなに喋ったのが意外だったか?
ていうか、言葉が伝わってるのか?
「剣を降ろしなさい。失礼ですよ」
「し、しかし!?」
「降ろしなさいと言ってるのです」
「…わかりました」
どうやら、分かってくれたみたいだ。
つーか、言葉が伝わってるし。
それに理解もできる。
好都合だ。
因みに、悠介は未だに理解できていない。
「助かりました。すみません、さっきはいきなり暴れて…」
「いえ、此方こそ、呼び寄せておきながら、剣を向けてしまい…ですが彼らは私を守ろうとして行った事なのです!
どうかお許しを……!」
「大丈夫ですから。な、悠介?」
まだ理解できてない馬鹿が可哀想になって来たので話を振ってみた。
「えっ?あ、あぁ大丈夫だ」
「ですから大丈夫ですよ。それより此処がどこで、貴女が誰か教えて下さい」
本当は全然大丈夫ではないが、こうでも言わないと騎士達からの殺気が怖い。
「はい。まず、ここはルカ大陸の南西にあるアイルーン王国です」
うん、やばい。
私の異世界説確定要素が出てしまった。
「そして、私はこの国の王女、エミリー・アネット・クラシス・アイルーンと申します。エミリーと及び下さい」
「私は綾瀬湊です。えーと、置き換えると、ミナト・アヤセです」
「俺は桐生悠介、こっちだとユウスケ・キリュウだ、よろしく」
―――ポッ
あれ?エミリー姫とやらの顔が赤くない?
もしかして、馬鹿がまたフラグ立てたんじゃ…
「よ、よろしくお願いします…!ユウスケ様///」
うん、決定!
後で殺す♪
面倒事増やしがって。
「ところで、何で私達は呼ばれたんだ?」
理由は難なく想像がつくが、敢えて聞いとこう。
「はい、それが……」
✝
どうやら、エミリー姫の話を聞く限り、最近魔王と名乗る者が現れ、魔物達が暴れているらしい。
それに合わせて、コルト王国とやらが何やら不審な動きを見せているらしい。
ただでさえ魔王の軍勢と戦うだけで精一杯らしく、もし、他国に攻め込まれようものなら、滅びるのは間違いない
だろう。
そこで王様、つまりエミリー姫のお父さんが試行錯誤した末、王家に古くから伝わる、魔術、勇者召喚術を使った
そうだ。
そうして呼ばれたのが私達なわけ。
なんてテンプレなストーリー。
そしてなんと傍迷惑な話だろう。
自分達の事は自分達で解決してほしいね。
しかし、これで決まった。
此処が異世界で魔王を倒すために呼ばれたのだと。
なんて面倒な……。
仕方ない、とりあえず話を進めよう。
「エミリー姫さんとやら、ところで私達のどっちが勇者なんだ?」
「えっ?」
「えっ?じゃなくて、勇者が二人は変でしょ?どっちが勇者?」
「勇者に選ばれた者は、何か声が聞こえたはずですが…?」
「声?」
「あっ!声だったら確かに聞いたぞ!なんだ湊、お前は聞かなかったのか?」
「私は知らん!お前が私の髪を引っ張って道連れしたんだろうが!」
どうやら私は巻き込まれたらしい……。
「帰る。どうも私は巻き込まれたらしい。なら私が此処に居る意味はない」
「なんだよ、助けてやらないのか?放っておけない。手伝ってくれよ」
「お前一人でやれ。私は無関係だ」
「それは…できません」
「何?」
「あの魔法陣は此方に召喚する為に在るだけであって、戻すことは……」
やっぱり……。
薄々はそうだと思ったさ。
ちょっと期待してみただけなんだからな……。
はぁ。
「わかったわ、とりあえずしばらくは此処に居る」
「本当か!?」
「本当ですか!?」
悠介とエミリー姫が同時に言う。
「まぁね。でも、私は帰る方法を探す為に協力するだけだからね」
「「そんなぁ~」」
ハモって言うな。
「とりあえず、この世界はなんて言うの?」
「はい、この世界はクレイドルといいます。ようこそクレイドルへ」
クレイドルね。
「湊、これから頑張ろうな!」
「勝手に一人でやってろ、それと鬱陶しい!」
一々、肩を組もうとするな!
「ふふ、それでは今日はお疲れそうなので、部屋まで案内させますね」
「そうして、今日は色々在り過ぎたから」
「ワクワクするな!」
いいな、馬鹿は元気で…
私は早く寝たい。
「明日は、謁見の間にて、私の父に会っていただきます」
「これから先の事はその後に」
「ありがとう、エミリー」
「い、いえ!」
この旗男は……。
フラグを立ててる事に気づけよ。
まぁ、今はどうでもいいや。
本当にこれから先の事を考えないと。
こうして異世界での一日目は幕を閉じた。
どうも、相変わらずダメな文ですな…orz
しかしながら!これからも頑張っていきます!はい。
では次回、『王との謁見』です。




