12.クラムでの出来事
どもー、更新でーす!
どうも、私ことノワールです。
面倒なのでこれからはこれで通そうかと。
今現在私はとても困惑中です。
えぇ、それはもぉ、困惑中です。
水浴びから戻ってくれば、何やら小声で会話してるし。
断片的に聞こえた言葉に対し、聞いてみればいきなり『誰!?』扱い…
さっぱり分からん。
この状況を誰か私に説明してくれ…
「き、貴様、誰だ!」
「いや、誰と言われても…」
「こんな時間に、こんな場所でいったい何をされてるんですか?」
そんな遠まわしに、尚且つ言外に怪しいと言わなくとも…
「さっきまで一緒に居ただろうに」
「あぁん?お前の面なんざ、知らねぇんだよ!」
「さっきまで……?」
「その直ぐキレる性格、直した方がいいと思うぞ…私的に」
いちいちキレられてたらこっちが堪ったもんじゃないしな。
「なんだと!?どこの誰か知らねぇが、さっさと家に―――」
「もしや貴女は、ノワールさんですか?」
「む、やっと気づいたか…」
遅いわ。
さっきまで行動を共にしていたのに気づかないなんて。
普通気づくものだろ。
「やはりそうでしたか。さっきまで一緒に居た、という言葉でピンときましたよ」
「何!?じゃあコイツはあの澄まし野郎なのか!?」
野郎とはなんだ、野郎とは。
これでも一応、女なんだぞ。
もう少しちゃんとした扱いをしてほしいものだ。
「しっかし驚いたわ。年は10代半ばだと踏んでたけど、まさかこんな美少女だったなんてね……」
「えぇ、驚きましたよ。今までローブとバイザーで全然判りませんでしたからね」
そういえばそうだった。
今の私は素の私だったんだ。
確かに驚いても不思議じゃないな。
考えてみれば、素顔を見せたのは今が初めてだ。
まぁ、理由があって隠していたが、多少見せても問題ないな、うん。
「しかしよろしいのですか?訳あって素顔を隠していたのでは?」
「まぁ確かにそうだが…そこまで大層な事でもないからな。別にいいんじゃないか?」
「は、はぁ…」
「しっかしホントに驚いたわ。だから一つ質問するわ」
何がだから?
「その黒い髪と瞳、そしてさっきの居合い斬り、貴女極東の島国の出身?」
極東の島国って言うと、この世界の日本みたいな場所か。
確か倭の国だっけ?
「うぅむ、そうであってそうでないようなところだな」
「なによそれ?」
言える訳ない、私が異界の人間だってことだけは言えないんだよ。
「とりあえず、禁則事項です♪」
「?」
「できればそろそろ食事にしないか…?私は早く食べたいんだ」
もうペコペコだ。
「そうですね。では誰かこの中に料理が出来る方は?」
「…アノール、一つ聞いていいか?今まで一人の時は如何してきたんだ?」
「基本、保存食ですね」
不摂生な…
「リコルさんはまず、出来そうになさそうなので、お二人のどちらか料理はできませんか?」
「おい、おれがまるで料理が出来ない言い草だな?」
てか無理だろ、どう考えても。
想像もできん。
「料理できるんですか?」
「いや、全然できん」
「ではレナさんかノワールさん、料理はできますか?」
おぉ、なんと華麗なスルースキル…
さらに付け加えてのスマイル。
「あ、てめぇ其処は突っ込むかすべろよ!」
「わたしは無理よ。わたしも基本保存食派だから」
「私はできるぞ」
「それじゃお願いできますか?」
「わかった。任せろ」
久々の料理だ、腕を振るおうじゃないか。
こう見えても料理には自信がある。
食材は馬車に積んであるみたいだし、足りない分はDから出せばいいや。
「それじゃ少しの間待ってろ」
クッキングスタート!
「誰か突っ込んでくれよ……」
リコルの悲痛な言葉が聞こえた気がしないでもないが、敢えて気にしないでおこう…
―――食後
「当分は保存食を口にできませんね…」
「えぇ、そうね。あれを食べちゃうと口と胃が保存食を受け付けないわ…」
「お粗末さまで♪」
今回は久々の料理だったから多少気合いが入ってしまったからな。
因みに料理シーンは今回は割愛だ。
「そういえばリコルは?」
「彼ならもう既に寝ています」
「そう、じゃあ私は食器を洗おう」
「あ、それならわたしがやっといてあげるわ」
「だが…」
「料理のお礼よ」
其処まで言うのなら仕方ないか。
「わかった、ありがとう。じゃあ、武器の手入れでもしていよう」
手入れをしなきゃ、剣は錆びるし、銃は弾詰まりを起こしたりするしな。
「では僕は剣の素振りでも」
そう言ってお互いにするべきことを始めた。
「ふわ~ぁ…」
うぅ、眠い…
まだ日が昇ってない所為か、辺りはまだ薄暗かった。
皆もまだ眠ってるみたいだから、もうひと眠りしようかな……
いやいや、だめだ、今から射撃練習とかしなくちゃ。
とりあえず一回着替えよう。
昨日干しておいた黒のレザーコートに着替え、ガントレットを装備、バイザーにローブを着て、後はHSKの入ったホルスターをつけて、剣を装備する。
これで準備完了。
足音を立てないよう慎重に歩き、馬車から大分離れた森の中を目指す。
十五分ほど歩いたから、そこそこ離れたろ。
ここなら大丈夫かな?
『大丈夫じゃ』
『そう、じゃあ始めますか』
とりあえず的に使えそうと思い、持ち出していたフライパンを木に吊るす。
それからある程度距離を置く。
まず体の力を抜き、目を閉じて心を落ち着かせる。
意識を研ぎ澄まし、風の流れや自身の鼓動を感じ取る。
そして一気にホルスターから銃を引き抜く。
それを20回繰り返し行う。
それを終えた後は、まず弾丸をマガジンに詰め込む。
そしてまた銃をホルスターに仕舞い、的を見据える。
また素早く銃をホルスターから抜き、的を撃つ。
これを二挺合わせて32発、だから32回行う。
この行動を終えたら最後に剣の素振りを行って終わり。
大体一時間行って終わりだ。
『主、そろそろ戻った方が良いのではないか?』
『む、もうそんな時間か』
確かに日が昇り始めているな。
それなら少し急がなきゃ。
とりあえずBダッシュ!
しかし本当に肉体強化術が常に掛かってるのって便利だなぁ。
軽く走ってる筈なのに結構速度が出るもん。
そうこうしない内にもう着いた。
おし、誰も起きてないな……
「…うー…ん、もう朝~?」
突然、眠たげなレナの声が聞こえてきた。
「もう朝だ。そろそろ皆起きないと日が昇り切るぞ」
皆の支度が終わったのは、私がそう言ってから一時間後の事だった。
「このまま行けば、今日の昼前頃には着けるでしょうね」
「お前ら、あとちょっとだからって気抜くんじゃねぇぞ」
お前がな。
「そういえばノワちゃん、またバイザーつけちゃうの?」
「うん…っての、ノワちゃん!?それ私のことなのか!?」
「貴女以外誰が居るのよ?」
むぅ、確かにそうだが……でも何でノワちゃんかな~…
はずいよ……
ほらそれに、ほかの二人だって引くに―――
「流石にそれは……」
ほら見ろ!こいつはよく判ってる!
「どうせならファノールさんとかにしましょうよ」
前言撤回……こいつもダメ野郎だった。
てゆーか、愛称とかじゃなくて既に誰かの名前みたいなんですけど!?
クッ…!残るはあと1人。
リコルに賭けるしかない!
どうか、どうかこのくだらない話題をドラスティックに思いきり粉砕してくれ!
「こいつの愛称なんて澄まし野郎でいいだろうが」
…何気に話題参加してた。
つーか、野郎じゃない。
はぁ、こうしてる間にも私の訳のわからん愛称が増え続けていく……
『大丈夫じゃ。ほれ、前を見てみよ』
ん?本当だ。
あれは商業国家クラムの城だな。
「私の愛称云々前にもう着くぞ」
「あれ、ホントだわ」
「仕方ありませんね。この件については何れお会いした時にでも」
いいわ、そんなことしなくて!
ったく、そんなことしてる内に着いちゃったぞ。
「護衛ご苦労。これが報酬の7500Gだ。」
「確かに。」
「それじゃ皆、また何処かで会えることを祈ってるわ~!」
「えぇ、それでは僕もこれで。またいつか」
「んじゃあな」
「それじゃあ」
上から順に依頼者、レナ、アノール、リコル、そして私。
皆其々の事を言って、人ごみの中に消えていった。
さて、私も宿屋探して、街探索でもしますかな。
そこそこふかふかで白い布団があり、尚且つ食事付の安い宿をとった私は、その足で街探査に出た。
いやはやしかしさすがは商業国家。
どこ見ても商人、若しくはそれに準ずる人ばかり。
そして何より、売り物の種類。
食品から日常品、武器に防具、旅道具の他には性的玩具まで……
幅広い物が売られている。
でもさ、一番最後の物だけどさ……
堂々と真っ昼間から路上で、それも小さなお子様からお年寄りまでとかなり広い年齢層が通る場所で売るのはどうかと思うよ?
いやまぁ、人が多くて、色々な人通る方が売れる確率やら何やらがいいのは分かるよ?
でもねぇ…
「ねぇねぇ、あそこで売ってるのってママが夜、パパがいないときにこっそりやってるのと同じ物だねー!」
『ぶーーーっ!!!』
うわ―…皆噴いちゃったよ。
周りにいる人皆だよ。
性的玩具売ってる商人と言った当事者以外皆大変なことになってるよ。
「へ、変なこと言ってないで行くわよ!!」
「あ、まってよ~!」
顔を真っ赤にして物凄いスピードで立ち去って行った。
当分は街中を歩けないだろうな…
とりあえず、街を練り歩くこと数時間。
私は今、人が賑わう通りから外れた薄暗い路地を歩いている。
何故そんなとこにいるかって?
実は私自身もよくわかっていない。
何かに導かれるように気づいたら路地を歩いていたんだ。
此処は一体、それにどうして私はこんなところに?
「ふぉっふぉっふぉ、久方振りのお客は随分とお可愛いのう」
「え?」
いつの間にか、店があった。
あれ、店なんてあったっけ?
それにこの老人は誰?
「そう警戒なさるな。なに、この子がお主を選び、儂がそれを手助けしたまでじゃ」
「この子?」
そのまま老人の目線を追ってみると、そこには黒くメタリックで鈍く輝く物体があった。
全長は約1メートル半くらい。
その隣には二脚が置いてあった。
「お主なら、これが何であるかわかるじゃろう?」
「……バレットM82A1」
アンチ・マテリアル・ライフル。
昔は対戦車ライフルだったが、今は対物ライフルになっている。
主に狙撃や軽車両等に対して使われている。
「お主が此処に来たのは何も偶然ではない。この子がお主を選び此処に導いたのじゃ」
「でもそんなこ―――」
「そんなことありえない?それがありえるのじゃ。現にお主は気づかぬ内に此処に来た」
確かに…
私が気づいた時には既にこの路地に居た。
じゃあ、本当に私はコイツに呼ばれてきたのか?
「さあ、受け取りたまえ。これはもうお主の物じゃ」
そう言って、私にバレットM82A1を渡してきた。
私はそれを受け取りその手に、バレットM82の重さを感じると共に何とも言えぬ馴染みやすさを感じた。
私がそれを眺め回していると、
「それではまた何れ会えることを楽しみにしていますぞ、異界より来たりし者よ…」
異界より来たりし者?それって…
「今何て!」
―――忽然と消えていた。
私が見たときには店も、老人も消えていた。
跡形もなく…
忽然と。
本当に在ったのかすらわからない。
あれは夢か幻だったのかもしれない。
だが、この手にある重さが教えてくれる。
あれは現実だったことを。
このバレットM82が……
おっと、それより戻ろう。
いくら考えてもわからないからもういいや。
異界より来たりし者という言葉が気になるが、あの老人はまた何れ会える様な事を言ってたし、その時にでも聞くか。うん、そうしよう。
「主ー!主ー!」
戻ろうと路地を進んでいると、いきなり見知らぬ女の子突っ込んできた。
「ひゃっ!」
つい変な声を上げてしまう。
「だれ?」
「主よ、妾じゃ!」
そこにはフリルをふんだんに使った黒いドレス―――所謂ゴスロリを着た十歳くらいの美少女がいた。
さらに、髪は腰くらいまである金髪、瞳は紅く、神秘的な空気を纏っている。
あれ、何処かで見たような…?あっ!
「レイシス!?」
「そうじゃ!」
「えっ、実体化できたの?」
「うむ、主の魔力を使えば実体化はできる。じゃが妾の方がまだそこまで回復してないんじゃ」
「じゃあ何で今出来てるの?」
「それがわからんのじゃ。主が路地に入った途端、強制的に実体化させられたんじゃ」
「大丈夫なの?」
「どういう訳か大丈夫じゃ。何かあった時はまた主の中に戻ればよい。それより主よ。
その背中に背負ってる物は何じゃ?」
そう言ってレイシスは私の背中の方を指さす。
うん、その動作だけでもかなり可愛い。
「これ?なんか貰った」
「そうか、それより妾は何か食べたいぞ!久方振りの娑婆じゃからな!」
「はいはい」
いろいろ気になることはあるが、今あれこれ考えても仕方ない。
何れ分かる時が来るまで、今を精一杯楽しむとしますか。
「そんなに急ぐと転ぶぞ」
「大丈夫じゃ!」
どさっ
転んだ。
それも盛大に転んだ。
これからとても面倒な事に見舞われそうなきがするなー…
結局、レイシスの食事代で私の懐は冬とまでは行かなくても、秋ぐらいまでに寂しくなった。
どうも、unkonownです。
いや~、最近暑いですね。
もう暑くて暑くてほんとに暑くて…
全っ然執筆が進まないんですよねー…orz
参っちゃいますよ本当に。
まぁそれでも読んでくれてる人がいるかぎり、頑張ります!
次回はまだ未定です。
新たな人との邂逅物語にするか、若しくは久々のユウスケ登場にすべきか…
シンキングタイム中でございます。
とりあえず次回をお楽しみに!