私立京都洛中高等学校 古武道部①
一条光の通う私立京都洛中高校は京都の比較的中心部分にある竹林の中にある。
竹の青々とした光の小道を抜けた先だ。
京都の中でも屈指の進学校で、毎年何人も東大や京大に合格する人がいる。
光が教室に入ると一人の少年が話しかけてきた。
彼の名は鬼頭渉という。光とは幼い時から一緒にいる幼馴染だ。
渉は光ほどではないが長身で、筋肉質な体形の黒髪の少年だ。
黒目がちな細い目、通った鼻筋、薄い唇の涼やかなイケメンである。
いつも柔和な笑みを絶やさない。
「おはよう光。例の新入生の話聞いた?」
例の新入生とは、運動神経が良すぎると話題の1年生の事だ。
渉は自分たちが入っている古武道部に誘えるレベルか見に行きたいと考えていた。
「ああ、めちゃくちゃ足が速いって聞いたな。ちょっくら見に行ってきますか。」
光と渉の入っている古武道部は現在部員3人のみ。あと顧問がいるだけだった。
慢性的な部員不足で、いつも部活に入ってくれる部員を探していた。
二人は授業もそこそこに話題の1年生の体育の授業を覗き見ることにした。
二人は3限目になるとこっそりと授業を抜け出した。
話題の1年生の体育の授業がある体育館に向かった。
その1年生のクラスが何限目に体育が何処であるかは光の呪禁の能力で瞬時に分かる。
紙の式神がひらりと飛んで調べるだけだ。簡単な事だった。
体育の授業が始まった。今日はバスケットボールをするようだ。
準備運動と基礎練習を終えて、チーム分けをして試合をするようだ。
その話題の一年生は小柄で短髪の少年だった。
バスケットボールには不利かと思われたが、試合中の動きでそうでない事は一瞬で分かった。
ボールを持った少年はボールをスティールされる時、短髪の少年のあまりの速さに一歩も動けなかった。
そして彼がドリブルで走り去るとき、誰も動けなかったのだ。
あっという間に全員抜いて、どうなったのか分からないくらいの速さでボールはネットを揺らしていた。
渉はそれを見て言った。
「彼はうちの部活にお誘いするべきじゃないかな?」
光もそう思った。
「笑える。人間離れしてる。」
何か尋常じゃない感じがして、光は紙の式神をひらっと短髪の少年の背中にくっつけた。
「誘いにいかないの?」渉に言われたが、光は教室に戻り始めた。
「また今度でいいんじゃない?」
といって踵を返した。
「早くしないとバスケ部とかサッカー部にもってかれるよ」
渉は不足そうに言った。




