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半神と神落とし  作者: natu
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一条光

京都のとある一軒家で一条光(いちじょう ひかる)は目を覚ました。

彼はこのボロい一軒家で一人暮らしをしている。高校2年生の17歳だ。

父は政治家をしていて、家族は東京で暮らしている。

何かと口うるさく、堅苦しい実家を離れて気ままな一人暮らしだ。

のそりとベッドから起きだすと、ぼんやりと歯磨きをする。

人型の紙の式神がひらりとやってきて、光の持っている歯ブラシに歯磨き粉をにゅっと付けた。

ぼさ~っと歯磨きを終えると台所に向かう。


テーブルに座ると人型の紙式神がこんがり焼けたトーストとバターを持ってくる。

コーヒーを淹れて出す式神と目玉焼きとサラダの皿を持ってくる式神もいる。

そう、彼は若くして現代を代表する呪言師(じゅごんし)で、式神使いである。

彼は自分の身の回りの家事を式神にさせている、ズボラ呪言師なのだ。

もさもさとサラダと目玉焼きパンを食べると、コーヒーで胃に流し込んだ。

食器はそのままに、洗面所で顔を洗って髪にワックスを付ける。

髪型をこねこね気にしているうちに、紙の式神が使用済の食器を洗い終わっていた。


ちんたらと制服に着替えると、リュックを持って出かけようとする。

「おっとあぶね」

そういうと、目鼻を覆う狐型の半面をつけた。

この狐型の半面は盲点面という。

顔に付けると面は見えなくなり、見た目は素顔のままだ。

しかしこの半面の効果は、身に付けた人の顔を盲点に誘導する。

確かに顔を見ているはずなのに、人々は盲点面を付けた人の顔を覚えていることができない。

一条光は長いまつげの大きな眼、高い鼻、形の良い唇の大変なイケメンなのだが、誰もその顔を記憶することはできなかった。

彼の大きな瞳と髪は銀色で、目立ちすぎなのだ。

余計な危険を避けるためと注目を避けるために盲点面を身につけていた。


高校は徒歩で10分程だ。

光はガラガラと古い玄関の扉を閉めると学校に向かった。

この古い屋敷は光のご先祖が使っていた屋敷で、非常に磁場が良い所なのだ。

ご先祖が張った強力な結界と陣によって何かと有利に力が働くのだ。

平安時代から脈々と受け継がれてきた一条家のホームグラウンドといった感じである。

この屋敷のおかげでこの辺りは平穏に過ごせる地域であった。


高校まで歩いていると、あちこちから声が聞こえてくる。

光の後ろ姿を見た女子達が騒いでいる。

「あのひと、めっちゃスタイルいいんですけど~」

「絶対イケメンですね」

「脚なっが!」

ひそひそ話が絶えない。

スタイル以上に超絶に顔が良い光なのだが、残念ながら誰もその顔を確認できはしない。

彼は身長188㎝、まだまだ伸びそうな気配だ。







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