エピローグ
エピローグ
今から約3000年程前、東の端の島国では農耕を始め、人々は定住し始めた。
すると人々はいつもそこにある大きな自然エネルギーに対し、恐怖し敬い、祈り始めた。
農耕には天候が重要だったからだ。太陽の光、雨、風、土、火。
実際自然エネルギーは人知を超えた、より高位な存在だった。
つまり肉体を持たない、強力なエネルギー体だ。意思もある。
より高位な存在の自然エネルギーを人は神と呼び、祈りを捧げた。
集落ができ、稲作をし、金属の道具や武器が作られ、織物や陶器などの様々な文化が現れた。
やがてリーダーになる人物が現れ、社会階層も生まれた。
ではどのような人物がリーダーになったのか。
それはより沢山の米を作れた人物だ。
その人物はなぜ沢山の米を作ることができたのか?
それは雨を降らせることができたからだ。
長きに渡る祈りの中で、ついに神と呼ばれる存在と意思疎通できる者が現れたのだ。
その者は祈り、舞を奉納し、神と対話した。
やがて神と契約し、その身に神の能力を落とし行使した。
これが雨乞いの巫女の始まりである。彼女は集落の王になった。
後の世で「神落とし」と呼ばれる特異体質だ。
この時期もう一つの特異体質が現れた。
肉体を持って生まれたが、神の魂が入り込んだ生命体だ。
その生命体は白銀に輝き、高度な知性を持ち、人と対話したという。
白銀の鱗の大蛇と、白銀の羽の大烏と、白銀の毛並みの大猿だ。
人々は大蛇と大烏と大猿を神と崇め、社を建てて敬った。
後の世で「半神」と呼ばれる特異体質だ。
人々は神を恐れ敬い、祈り、神を愛した。
だが人の生活と相いれない神もいた。
腐敗、疫病、死などだ。
人々は怖れおののき、そういう神々を「辻神」と呼んだ。