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The OUTRAGE  作者: hygirl
97/126

97話


 リクトが《オーバーロード・ギア》を扱える大きな理由、その理由について気づいたとするトウマはヒロムたちにトウマ自身も関係があるとする過去の件を交えて語り始めた。

 

「まず今分かっているのはあのギアが霊脈エネルギーを変換もしくは還元により膨大な力を得ているということです」

「変換も還元も言い方変えただけで同じ……

「兄さん、揚げ足取りやめて!!それよりも重要になってくるのはその霊脈のエネルギーを感じ取れるかどうかというところです」

 

「だなァ。そしてその最有力者がオマエの兄であり現代において異能とも言える姫神ヒロムだァ」

「はい。それは精霊の存在を宿すことによりそれを得ているからと言えます。ですがリクトさんは精霊を宿さずこの資格を得るには至っていません。が……もしこれが過去に外付けで達成させていたらどうでしょうか?」

 

「ありえんなァ。それはアレだろォ?数ヶ月前に一時的に黒川イクトと契約し死別したオマエたちの父親の八神飾音に代わる新たな主を得た異例の精霊のバッツの事を言いたいのかァ?」

「いえ、それは違います。そもそもボクたちは大きな点を見落としています。今回の件、十神シエナが関与している時点で気づくべきでした」

 

「まさか……」

「うん、そのまさかだよ兄さん。ボクとリクトさんは《十神》が完成させた精霊を超える存在として機械天使を与えられていました。ボクは悪意の傀儡にされていた事もあって戦力増強でしたがリクトさんが何故与えられたのかは謎でした」

 

「それは十神アルトという男が貴様とあの男を強くしたかっただけだろ?」

「獅天、この人は《八神》の当主なんだけど……」

「戦地にいる以上対等だろ?」

 

「た、立場とかは気にしないでください。とにかく、話を戻しますが今日まで謎だった事にも説明出来る理由が出来ました」

「その理由ってのは?」

 

「兄さん……多分だけど、リクトさんは兄さんと最後に戦った時には何もかも把握していた可能性がある」

「……は?」

「どういう事だァ?報告ではやつが姫神ヒロムに負けて姿を絶ッたとなッて他の確たる情報はないがァ?」

 

「ボクたちは兄さんの話からそう考える他ないと思っていました。でもそれだとおかしいんです」

「何だ?オレが嘘ついたって言いたいのか?」

「違うよ兄さん。兄さんがリクトさんと機械天使を倒した時点でどうして新たな機械天使を生み出して《角王》の他のメンバーに渡そうとしなかったのか、どうしてリクトさんとボクだけが与えられたのかって」

 

「っ……!!」

「たしかにその通りだなァ。死獅王ゥ……いやァ、獅天の言う通りの仮説だとしたら個人のみに戦力増強を施すのは不自然だもんなァ。なら八神リクトに機械天使が与えられた事にも意味があるッて事だなァ」

 

「はい。その理由を紐解くカギは……

「血縁関係か」

  

 トウマの言葉と説明、それを整理するように話す葉王の言葉から何かに気づいたヒロムは過去を振り返って何かを思い出したのかトウマの言葉を遮るように呟き、ヒロムが呟いた内容についてトウマと葉王は聞き逃すことなく反応し、2人が反応した事からヒロムは自身が思い出した事から今回の件に繋がるであろう内容を口にした。

 

「《八神》の血筋において精霊を先天的に宿していたのはオレとリクトの姉のホタルさんだ。父さんはどうか知らねぇけど、オレとホタルさんが兄、姉として精霊を宿した事実があるのならその弟にあたるトウマとリクトがその資格を持っていてもおかしくない。だからトウマだけでなくリクトにも渡したんだ」

「だが覇王、それでは肝心の説明が出来ていない。何故機械天使とやらが2人の人間に与えられたのかという謎は……」

「与える必要がなかったからだ。機械天使は単なる戦闘面における増強措置による提供ではなく、精霊を宿さない2人の人間が機械天使を介することでオレやホタルさんのように霊脈のエネルギーを正しく感じ取れる資格を持つ或いは得られるかを試すための試験台でしかなかったんだ。だから他のやつらには提供しなかった……いや、そうする必要性がなかったからトウマの傀儡化を強化するという名目で複数の機械天使を与えていたんだ」

 

「なるほどォ。それなら説明がつくなァ」

「だけど、もしそれでボクやリクトさんが機械天使を扱えなかったら……」

「それは無いと思う。というか、ここまで来るとオレはリクトを疑うしかなくなってる」

 

「え?兄さん?」

「姫神ヒロムゥ、まさかだァ……オマエもその考えに辿り着いたのかァ?」

 

 リクトを疑うしかない、ヒロムの言葉の意図が分からないトウマに対して同じような考え方に達したであろう葉王はヒロムに尋ね、葉王の言葉を受けたヒロムはそれに対する返事として頷くとトウマの方を見るなり彼に向けて自身が辿り着いた考えについて話した。その内容は……トウマにとってあまりに衝撃的なものだった。

 

「アイツは記憶の改竄なんてものは受けてない。アイツは最初から……十神アルトの傀儡にされていたオマエをも利用していた悪党、アイツは十神アルトの協力者だ」

 

 

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