表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The OUTRAGE  作者: hygirl
92/126

92話


 全ての黒幕、そう表現してもおかしくは無い状況で明かされたリクトの裏切り。

 

 十神シエナだけでなく牙堂詠心すらも操っていたと思われるリクトが隠していたものを明かそうとするとヒロムは彼を信用する思いを捨てきれず、それ故に何故このようなことになったのかをリクトに問おうとした。

 

「どうしてだリクト!?オマエはあの時、オレの思いを理解して復讐も悪意も無い道を選んでくれたんじゃなかったのか!?」

 

「オマエに言われて……いや、オマエとの戦いに負けてオレはオレの持つギア・シリーズの《ラース・ギア》はもちろん与えられていた力を失って戦う術を失いオマエの言葉を聞き受けるしかなかった。戯言と思ったオマエの言葉の中には信念と覚悟があり、その言葉に偽りが無いと分かったからこそオレはオマエの言葉を理解しオマエに対する怒りも恨みも捨ててやり直すつもりだった」

「だったらどうして……

「オレ1人が光を受けいれ改めたところで何も変わらない、それが現実と知ったからだ。ヒロム……オマエの考えに賛同出来る人間が世界に溢れていると思っているのか?」

 

「どういう意味だ?」

「オマエの言葉や行動で改心したとしても過去は変わらない。過去に犯した罪は死を遂げるまでその人間の命の1つとして残り続けその罪と過ちは世間に知られ遺される。1度過ちを犯せば人は堕ちるところまで堕ちる……オマエが考えるように都合よく改心しない人間がほとんどだ」

 

「人間だれもが綺麗に考えを改めるなんて思ってはいない!!だけど……だけどオマエは!!」

「オマエがオレの全てを理解出来ていると思うなヒロム。オマエでは……オレを理解など出来ない」

 

「リクト!!」


 やめておけ、とシンクはリクトを説得するような発言を口にしようとするヒロムを止めるべく彼の前に立つとリクトを睨み、シンクに睨まれたリクトはやれやれといった様子でシンクに視線を向けた。

 

「オマエも理解してるはずだシンク。罪を犯したものは裁かれるべき、他に道は無いってな」

「その考えに至るのは勝手だがオレはともかくヒロムやトウマを巻き込むな。トウマは過去を変えられないからこそ今を必死に生きて示そうとしている。オマエの身勝手で邪魔するようなことはやめろ」


「身勝手?違うなシンク。これは世界の在り方を変えるための革命……変革の一歩だ」

「変革だと?」

 

「オマエたちの言いたいことはよく分かるが腐敗した輩が残ったままでは罪と過ちは繰り返されるだけだ。だから腐敗した何もかもを消すためにオレは変革を起こそうと決めた」

 

「まさかオマエが海外に渡航してまで《八神》の情報を知るかも分からない人間を殺していたのは……」

「そう、かつて傀儡とされていた《八神》を利用した人体実験に加担していた人間及びその一端に触れていたとされる人間だ。あの事件によって《十家》が崩壊して関係のある人間は次から次に雲隠れしようとした。後ろ盾が無くなれば逃げる、そんな卑怯な事を許せるはずがなかった。だからオレはオレのやれる範囲で殺し続けた。それが未来のためになると信じてな」

 

「オマエ……それは単なるエゴでしかない!!」

「理解はしている。だが、実際ヒロムの考え方でどれだけの人間が改心した?ギルドの人間ですら逆恨みするような現実、それを素早く変えるには劇的な変革を起こすしかないのも事実だ」

 

「なら答えてくれリクト!!どうしてオマエは十神シエナや牙堂詠心を利用する際にレイガと獅天を巻き込んだ?この2人はオマエの変革には関係の無い人間だろ!!」

「ああ、関係がない。だから利用した。牙堂詠心は《十神》に関与し過ぎたが故に力に固執しているし、十神シエナも兄たるあの男を盲信して手段を選ぶつもりもなかった。ただ、その程度では弱かった。だからオレは2人の悪党を始末するために2人の人間を利用し、そして仕向けたんだ……不完全な《キング》と《クイーン》を使うようにな」

 

「……は?」

「今何て……」

 

 何故レイガと獅天を巻き込んだのか?ヒロムのこの質問に対する回答としては中身が質問の内容に噛み合わないリクトの発言を聞かされたヒロムたちは何を言ってるんだという気持ちを抱きながらリクトの最後の発言に疑問を持ってしまい、そしてヒロムたちが疑問を抱いたのを確認したリクトが指を鳴らすと《キング・ギア》と《クイーン・ギア》が妖しい光を帯び始める。

 

「2人の愚者を始末するためには道化が必要だった。単なる道化ではなく覇王という存在を動かし事を大きく発展させられるだけの道化となれるのはそこにいる獅天とレイガだった。そして愚者が道化を利用しデータを得ようとすればそこにヒロム、オマエが介入する事も想定出来ていた」

 

「まさか……オマエ、あの2人を殺した上でそのギア・シリーズを完成させようとしてたのか!?」

「そうだ……が、少し違う。あの2人に全ての敵意を収束させるように仕向ける事でオマエたちの力が高まりヒロムは内に眠る精霊の力を取り戻させる過程で必要だったものをこの2つのギア・シリーズで補っただけだ」

 

「必要だったもの?」

「《角王》に与えられていたギア・シリーズと王と女王の名を冠するこの2つのギア・シリーズはある1つの原点から派生した一点特化型の武装でしかない。オレは変革のためにその原点を必要とし、そしてヒロム……この原点をオレが掴むにはオマエが不可欠だった」

「何の話だ?」

 

 見せてやろう、と何やら言動に一貫性が欠け始めたリクトが言うと妖しく光る2つのギア・シリーズが稼働すると共にリクトの頭上に強いエネルギーを放射させ、2つのギア・シリーズからそれぞれ放射される強いエネルギー同士がぶつかり合うと彼の頭上で王冠の形をした何かが誕生しようとする。

 

「何だ……アレは……!?」

 

「全てはオマエのおかげだヒロム。オレの変革、理想のために不可欠な原点の力……全てのギア・シリーズの祖となる武装!!これでオレは変革を始められる!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ