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The OUTRAGE  作者: hygirl
90/126

90話


 リクトはどこにいるのか?

 

 ヒロムのその問いにシンクたちが答えられなくなっているとヒロムはため息をつくと獅天にパラディンを指さしながら更なる質問をした。

 

「獅天、オマエが会った男は……パラディンに姿を模倣されているか?」

「……ああ、あの男が模倣したあの姿の男だった」

 

「愕然……八神リクトも今回の件に関与しているということか!?」

「けどあの人、十神シエナはおろかパラディンにも敵として認識されてたんすよ?演技してたにしては不自然なくらいに敵対関係しっかりしてたスし……」

 

「ここに来るまでの様子からあの男は少なくとも姫神ヒロム、貴様に手を貸そうとする意思の上で行動していたように見えたが違うのか?」

 

「どうなんだ、ヒロム?」

「落ち着けシンク。この状況だから打ち明けるが……実はリクトが現れてから違和感があったんだ」

 

「違和感?」


「リクトが現れてから今に至るまで……流れとして上手く進み過ぎてると思わないか?死獅王だった獅天の暴走、その過程でパラディンの想定していなかったレイガの覚醒、《クイーン・ギア》の完成と発動、《キング・ギア》の完成と発動に加えて《クイーン・ギア》の取り込みによる強化……ここまでが明らかにスムーズに進み過ぎている気がするんだ」

 

「偶然……で片付けるにしては上手く行き過ぎてるのは確かだな」

「肯定……《八神》の屋敷での一件までは手探りかつ限られた情報で追いかけるしかなかったはずなのが八神リクトが合流した途端に中枢に一気に近づいたと言っても過言では無い」

 

「それにパラディンがリクトの姿を模倣した最たる理由、そこは未だにハッキリしていない。遺伝子情報があったからとかいう曖昧な理由でパラディンは片していたけど遺伝子情報で事足りるような事ならもっと他に選びようがあったはずだし、何よりリクトの消息が《八神》や《一条》ですらハッキリ掴めていないのにパラディンが選んだってのが引っ掛かる」


 

 リクトが怪しい、いくつかの違和感からそう考えるようになったとヒロムが明かしその理由について話すとシンクやクロトたちは異議を唱えることも無く理解してしまい、そしてヒロムはリクトを怪しむ自身の考えについて更なる疑問を伝えようとシンクたちに向けて話し始めた。

 

「そもそもリクトがあのタイミングで現れるってのを予測していたって十神シエナの言葉がおかしすぎた。何故オレはもちろん、シンクやトウマですらコンタクトを取っていないリクトが事情を把握して現れると十神シエナは予測できたのか……そこを突き詰めるとリクトはどうしてオレが死獅王追跡をしている事とあの時はトウマのところに来ていたことを知れたのかが問題として浮上してくることになる」

 

「疑問……それを言われるとその通りだな」

「どうして《一条》すら把握していなかった十神シエナや牙堂詠心の動向を把握出来たんスかね?」

 

「確かにおかしな話だな。仮にリクトが独自の情報網を持ってるにしても《一条》の情報網やオレやトウマの情報網を上回る程のものを個人で得られるのは考えにくい」

 

 ヒロムの言葉によってクロトやキラ、シンクのリクトへの疑念が増す中、ヒロムはさらにリクトへの疑いを確かなものにするべくアスランを見ながらこれまで未解決だった件を紐解こうと衝撃の内容を口にした。

 

「アスランが遭遇したパラディンとオレたちが永楽寺院跡地で遭遇したパラディンは別人……オレたちは死獅王だった獅天と戦っていたあの場に現れたパラディンはそこにいる牙堂詠心だがアスランが遭遇したのはそいつじゃない」

「まさか……リクトがそうだと言いたいのか!?」

 

「疑問、ヒロムの話の通りなら八神リクトは敵の内通者という事になるが十神シエナや牙堂詠心の発言とあの男の発言から考えるとその辺に矛盾が生じると思うがどうなんだ?」

「矛盾が生じるのは当然だ。けど、リクトがアスランが遭遇したパラディンだと辻褄が合う部分がある」

 

「っ……《八神》の情報か!?」

「そうだシンク。アスランが十神シエナに殺しを依頼された件、パラディンは何かを探すようにその男を殺して《八神》の情報を持っているかどうかを口にしていた」

 

「けどボス、それだと牙堂詠心が《八神》の情報を探してた可能性も……

「逆だ。アスランが出会ったパラディンは《八神》の情報を求めていたんじゃない……《八神》の情報を持つ人間を求めていたんだ。今の《八神》の管轄にない人間ならば『数ヶ月前までは富豪だった』とアスランが語れる、つまり……」

「整理、その線で言うなら《八神》の情報を持って生きていられては困る人間を殺していた事になる。《八神》の内情を知っているか知らないか……可能性がある人間を手当り次第殺していた所にアスランが向かうよう仕向けられていたとしたら……」

 

「この状況……十神シエナと牙堂詠心を倒したこの状況をリクトは狙っていた事になる!!」

 

「やはりオマエは油断ならない存在だな」

 

 ヒロムの言葉、そしてそれを整理しまとめたクロトの言葉からリクトがアスランの遭遇したパラディンであると確定し、敵2人を倒した現状をリクトが狙っていた事になるとヒロムが結論を出したそのとき、まるでヒロムたちの会話……推理が終わるのを待っていたかのようにリクトが先程パラディンの出現の際に崩れた壁の向こうから姿を見せるように現れる。

 

 現れたリクト、その彼の瞳にはヒロムたちとここに来る時にはなかった何か冷たく暗いものを瞳に宿し……

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