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The OUTRAGE  作者: hygirl
89/126

89話


 

 ヒロムとフレイ、ラミアの攻撃を直で受け致命傷を負わされたパラディン。パラディンに致命傷(* 'ᵕ' )☆与えた功績者と言えるヒロムはパラディンへの一撃に全てを賭したのか白銀の稲妻が消えると膝をついてしまい、膝をついたヒロムを守るかのようにフレイとラミアが剣を構えようとするとパラディンは致命傷を負いボロボロになった体をフラつかせ後ろへと数歩下がると膝から崩れ落ちてしまい、そして……

 

 パラディンの体は金色の騎士の姿からリクトの容姿を模倣していた人の状態に戻り、人の状態に戻ったパラディンは《キング・ギア》の使用による反動なのか次第にその体は痩せ細っていき、痩せ細ったパラディンのその姿は惨めとしか言う他なく、レイガと獅天は師範であり自分たちを都合よく利用してきた男の無様なその姿を前にするとこれまでの事から思う事は色々あるようだがあまりに無様で惨めな姿が2人の中に芽生えようとしていた感情を削いだらしく2人はパラディンの末路を見届ける気もないらしく背を向けてしまう。

 

「……くだらんな。こんな男にオレとレイガは利用されていたと思うと自分たちが情けない」

「そう、だな……そう思うとこんな野郎に抱きかけてた怒りも何もかもが消え失せた。オレたちの怒りも恨みも……ヒロムさんがぶつけた一撃で晴れたよ」

 

「ふん、戯言だな。完全に消えたわけじゃないのによく言えたものだ。だが……あながち間違いではないかもな」

 

 少しいいか、とシンクはパラディン撃破の余韻の中で心の中にあったかつての師範へ向けようとしていた感情が消えたと話す獅天に声をかけ、声をかけられた獅天が拒むことなく静かに頷くとシンクは彼に『死獅王』だった頃の事についてヒロムたちの耳にも入るように彼から聞き出そうとした。

 

「オマエが死獅王になったきっかけ、結局のところレイガの改竄されていた記憶での『何かの真実を知って怒りにより死獅王に成った』という認識で止まっているんだが真実を聞かせてくれないか?」

「オレが死獅王になった経緯か?」

 

「ああ。オマエは……いや、死獅王は《一条》から危険人物として指名手配中でもある。だがそれはオマエが自らの意思でそう成ったのならという話、オレの考えの通りになるなら事によってはオマエは軽度の罰だけで済むだろうならな。だから効かせてくれ」

「……」

 

「獅天、オレからも頼む。この人だけじゃない、ヒロムさんたちも真実を知りたいと思っている。それに……オレも獅天の罪が軽くなるのなら、話してほしい」

 

「別に罪を軽くしてほしいとは思わないが……事実を話すのなら、ある男が永楽寺院に来た辺りから記憶が曖昧になっている上に獅天という今のオレと死獅王だった時のオレの意識と記憶が混濁していて思い出せない部分がいくつかある」

「記憶の混濁……それより、ある男とは十神アルトという男か?シェリー……十神シエナの兄にあたる男なんだがどうだ?」

「十神アルトの事は知っている。永楽寺院に飾られていた写真の中にそれに該当する男とその妹がそこでくたばってる師範と撮影した写真があったからな。だが、残念ながらそいつじゃない」

 

「……ヒロム、どう思う?」

 

 オレに聞くな、とシンクに話を振られたヒロムは面倒くさそうに返すとフレイ、ラミアに武器を返すと2人に支えられながら立ち上がり、立ち上がったヒロムは獅天の言葉から『ある男』に関して考えられる可能性を思考の中で絞り込もうとする中で何故か周囲を軽く見た後、獅天に『ある男』について尋ねようとした。

 

「……獅天、1つ聞く。その男は《十家》に属していた人間だったか分かるか?」

「あの男に会った師範の反応から察するに権力者或いはその庇護の下活動してる人間だったのは間違いないだろう」

 

「そうか。なら……それが誰なのか絞れた」

「ヒロムさん!?本当なのか!?」

 

「ヒロム、今の質問だけだと獅天が会ったのが《十家》だということしか分かっていないぞ。今のだけでは憶測でしかない、下手したら冤罪を生むだけで振り出しに戻るだけだぞ?」

 

「同感、シンクの言う通りだ」

「流石にボスのその質問1つで絞れるとは思えないスよ?」

「貴様の考えを否定する気は無いが流石にこれは無茶がある」

 

 獅天に対しての1度の質問、それだけで獅天が出会い死獅王に成るきっかけになったと思われる男が絞れたというヒロムにシンクは無理があるとして異議を唱え、シンクのそれにクロトとキラ、アスランも賛同するかのように続けてヒロムに意見を述べる。が、ヒロムはシンクたちの異議を受けても考えが変わらないヒロムは咳払いをするとシンクたちに対して質問をした。

 

 が、この質問、これを受けたシンクたちはヒロムの言わんとする事を理解させられ、そして一種の恐怖を教えられる事となる。

 

「今度はシンクたちに答えて欲しいんだが……リクトはどこにいる?」

 

「「……っ……!?」」

 

 ヒロムの問い、それを受けたシンクたちは絶句するしかなかった。いや、仮に絶句していなかったとしても……答えられなかった。なぜなら……

 

 

 

 

 

 シンクと共にパラディンに吹き飛ばされるようにしてヒロムたちの前に現れたリクトの姿は……どこにもなかった。

 

 

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