84話
パラディンを倒すべくやる気になるヒロムとシンク。それを表すかのようにヒロムは白銀の稲妻、シンクは冷気をそれぞれ全身に強く纏いながら構え、対峙するパラディンも2人のやる気に対して迎え撃つ意志を見せるかのように闇を強く纏い始める。
沈黙に包まれる空気、静寂の中張り詰めピリつく空気の中……
パラディンが先程ヒロムに殴り飛ばされ激突した壁面の一部が崩れ、それによって小さな瓦礫が地に落ちた瞬間、落下した音を合図にするかのようにヒロムとシンクは走り出し、ヒロムとシンクが走り出すとパラディンは2人を迎え撃ち倒すべく動き出そうとした。
パラディンが動き出すとまずヒロムが加速して敵との間合いを詰めようとするが、ヒロムは間合いを詰めると攻撃に転じるのではなく何故か右側へ跳ぶようにして軌道を変えようとし、ヒロムのその軌道変更に対してパラディンの視線が奪われ、そちらに意識が向けられるといつの間にかヒロムとは反対の左側へと走っていたシンクが無数の氷柱を生成・掃射させてパラディンを襲撃しようとし、ヒロムに意識・視線を奪われ向けていたパラディンは迫り来る無数の氷柱に気づくとそちらに意識を向けるように切り替えると同時に闇を強く放出させて氷柱を全て破壊してみせた。
シンクの放った無数の氷柱のその全てを対処してみせたパラディンだったが、そのパラディンの意識がシンクの攻撃に向けられ行動もそれに対しての対処として確定すると今度はヒロムがシンクに対して向けられた意識の裏を狙うようにして白銀の稲妻を纏わせた拳で連撃をパラディンの体に叩き込み、ヒロムの連撃が叩き込まれたパラディンは為す術なくもなく全てを直で叩き込まれてしまうと大きく仰け反ってしまい、パラディンが大きく仰け反るとヒロムは素早く切り替えるかのようにその場で回転して勢いを生み出すと回し蹴りを放ってパラディンを蹴り飛ばそうとした。
このまま受ける気は無いパラディンは大きく仰け反ってしまいながらも立て直そうと闇を全身から強く放射してヒロムにぶつけることで反撃しようと試みるが、パラディンが闇を強く放射しようとするとパラディンとヒロムの間に氷壁が現れて敵の放射した闇を防ぎ止め、氷壁の妨害ご結果としてヒロムを闇の放射から守りきる形で終わり氷壁が崩れ落ちる中でヒロムは止まることなく回し蹴りをパラディンの顔に叩き込んで衝撃と共にパラディンを蹴り飛ばし、パラディンが蹴り飛ばされヒロムから離れようとするとシンクが指を鳴らし、シンクが指を鳴らすと同時に敵の頭上に巨大な氷塊が出現すると同時にすぐに降下し、降下する氷塊はヒロムの回し蹴りで蹴り飛ばされたパラディンを勢いよく落とし潰してみせた。
ヒロムとシンク、パラディン相手に息の合った連携を見せて確実に追い詰めてみせた2人だったが、その2人の連携を受けても終わりを見せる気のないパラディンは氷塊を砕き潰し飛散させながら姿を現し、現れたパラディンは闇を纏うとその身に受けたとされるダメージを治癒させ始めた。
パラディンが氷塊を壊し現れたことに対してヒロムとシンクは別段驚く様子はなく、むしろこの程度のは倒れるはずがないと分かっていたのでは無いかと思わせるように2人は舌打ちをして構え直そうとした。
だがこの時、このパラディンとの戦闘状況について芳しくないとシンクは思っていた。
「……」
(ヒロムとオレで何とか足止め出来る相手になってるだけで状況的に見るならこちらが劣勢……!!とくに、ヒロムは温存するのをやめてるとはいえ消耗してる分が邪魔して全力で立ち回れる状態じゃなくなってる。おそらく、今のヒロムはフレイたち精霊との連携も組み込む前提で突破口を見つけようとしてるはずだが……そのパターンだとヒロムは今より消耗した状態での決行を強いられる事になる。つまり……突破口を見出すにしても時間はかけられない!!)
ヒロムの状態、それを考慮すると時間はかけられないとシンクは考え冷気をより強く纏うかのようにその力を強くさせようとするが、シンクのその行動が何を意味するのかを見抜いたパラディンは楽しそうに手を叩くとシンクの行動について指摘しようとした。
「おやおや、時間に余裕がなくなってきたのかな?」
「っ……!!」
「キミ……というよりは姫神ヒロムの方かな、余裕が無いのは?
ここに来るまで連続での戦闘、気休め程度の休憩ではまともに休まらないだろうからな……そんな彼のために早々に決める気なのだろう?」
「だとしたら何だ?そんな事、オマエには関係……
「貴様が覇王の身を気にする必要など無い!!」
パラディンの言葉にシンクが反論しようとしたその時、シンクの言葉を遮るようにどこからか声が聞こえてくると黒い風と雷、そして緑色の炎と雷鳴が飛んできてパラディンに襲いかかり、突然の攻撃にパラディンは闇を放出させて防ぎ消すと攻撃が飛んできた方へと視線を向ける。
パラディンの視線の先には……
レイガと死獅王……否、獅天が立っていた。
「キミたち……!?」
「決着をつけに来たぞ師範……いや、牙堂詠心!!」
「貴様の遊戯に付き合うのはここまでだ。このオレの誇り、そして……オレの信頼する弟分の運命を踏みにじった愚行の償いをさせてやる!!」




