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The OUTRAGE  作者: hygirl
82/126

82話


 キラとアスランの加勢から一気にシェリーを追い詰めるも敵として立ちはだかる彼女はボロボロになるも素直に倒れようとせずに抗おうとし、あまりのしぶとさにヒロムたちが諦めろと告げようとすると事態は急変した。

 

 突如として研究施設内が激しく揺れた後に爆発と共に施設内一部が破壊され、それだけで終わらずシンクとリクトが吹き飛ばされる形でヒロムたちの前に現れると今度は金色の禍々しい鎧の騎士が現れたのだった。

 

 何者なのか、シンクとリクトの状態からおそらくは敵だろうとヒロムは判断し、シンクとリクトが立ち上がろうとする中でヒロムは彼らに状況説明を求めようとした。

 

「シンク、リクト。アイツは何だ?」

 

「パラディン……もとい、牙堂詠心だ。まぁ、あの姿になった今となってはパラディンの方がしっくり来るかもな」

「まさかだが……アイツも十神シエナのようにギアの力を?」

 

「そうだ。だよな、リクト?」 

「ああ、かつて《クイーン》と共に封印されたはずのギア・シリーズで名は《キング・ギア》……傀儡にされていたトウマがヒロムに苦戦を強いられた場合にと設計と開発が進められていた最低な武装だ」

 

「トウマ専用に……なら何でアイツが扱える?」

「話せばややこしくなるが……」

 

「それは私がギア・シリーズの開発責任者だからだよ姫神ヒロム」

 

 パラディンの荘厳な騎士の姿は十神アルトに傀儡にされていた頃のトウマのために設計されていた《キング・ギア》だと語るリクトに対してヒロムは何故トウマ専用の武装をパラディンが扱えるのかを疑問に思い説明させるべく尋ね、リクトがそれについて話そうとするとパラディンは余裕があるのかヒロムの疑問に答えようと自身がギア・シリーズの開発責任者だと明かした。

 

 あまりに突然のことに容易に信じられないヒロムが疑いの目をパラディンに向けようとすると敵はゆっくりと歩きながら詳しく語り始めた。

 

「十神アルトは能力者力を最大限に引き出し潜在能力の解放を可能にした画期的な装備を求めた。全ては最強の名で知られる《一条》の当主たる一条カズキや最強の家臣の鬼桜葉王を倒すため、そして現代におけるイレギュラーたる姫神ヒロム、キミが彼にとっての最大の障害になる危険性に備えて……来たるべき日本国家の支配を成し遂げるための圧倒的な武力を求めた」

 

「まさか……《八神》を傀儡に選びギア・シリーズをリクトたちに与えたのは……単なる実験のためだったってのか!?」

「そう、《八神》という最大級に憎むべき敵を用意してキミにぶつけ性能を最大限に発揮しそのデータを集める……全ては十神アルトの進化のためだったのだよ」

 

「最初からトウマもリクトも……十神アルトとその加担者は《八神》の何もかもを利用し使い捨てにする気だったのか」

「全ては彼の理想の成就のため、そして彼の悲願達成による世界の一新を果たすためだ」

 

「理想?悲願?あの男の身勝手をそんな風に言えるとはな」

「その理想も悲願もヒロムに阻まれた。つまり、オマエや十神シエナが盲信するあの男の理想とやらは叶うはずのない幻想だったということだな」

 

「そう、だから私はこうしてギア・シリーズの再動を図った。彼の果たせなかった儚く散った理想を実現してみせるため、そのために私たちは今まで暗躍したのだ。だが……残念だ」

 

 自らと十神シエナことシェリーとのこれまでの経緯を話したパラディンの声色が突然冷たくなり、何かあるとヒロムたちが警戒して構えようとしたその時だった。

 

 パラディンはヒロムたちが構えようとしている中で全身ボロボロになりながらも立ち上がろうとしているシェリーの前へと瞬間移動すると彼女の胸部を手刀で貫き、シェリーを貫いた手刀をパラディンは素早く抜かれると同時に彼女の肉体に取り込まれた《クイーン・ギア》を回収するかのように掴んでみせた。

 

「あっ……な、何故……?」

「キミはギア・シリーズに適応する素質はあったようだが戦闘経験が浅過ぎる。だから彼らに勝てなかった。そして……私が求め彼の実現しようとした理想にキミのような人間は不適切、そう、もう不要なのだ」

「そ、ん……な……」

 

 《クイーン・ギア》が体から抜き取られたシェリーはボロボロの状態で元の人間の姿へと戻り、胸部を手刀で貫かれたシェリーは何が起きたか分からないままパラディンの冷たい言葉を聞かされながら倒れ、倒れたシェリーの意識はそこで途絶えてしまう。

 

 仲間であるはずのシェリーを切り捨てるかのように裏切り殺したパラディンは彼女の体から回収した《クイーン・ギア》を自らの肉体の中へ取り込ませ、《クイーン・ギア》を取り込んだパラディンの肉体がそれに適応するかのように闇を濃く強く纏い始めるとヒロムたちは非情でしかないパラディンに殺意を向けると敵を倒すべく動き出そうとした。


 パラディンを倒そうと動き出すヒロムたち、自らを倒そうと動き出すヒロムたちの姿を前にしたパラディンは何故か嬉しそうに笑っていた。

 

「さぁ、始めよう!!私とキミたち、世界の在り方を賭けた大勝負を!!」


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