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The OUTRAGE  作者: hygirl
81/126

81話


 迂闊、そう言う他なかった。

 

 シェリーに一撃を叩き込もうとチャンスを活かすために接近したヒロムの中にあった確信を狙ったかのように肉体の一部を変異させて打ち出された鋭利な刃がヒロムに回避させることすら許そうとせずに彼の脳天を貫こうとし、予想していなかったであろうヒロムが僅かな可能性を模索しようとし、クロトとラミアは脳天への直撃まで数秒も無い時間の中で何とかヒロムを助けようと考えた。

 

 が、現実は残酷であり彼ら彼女の思いを無視するかのようにシェリーの打ち出した刃がヒロムの脳天へ命中しようとした。

 

 

「終わりよ、姫神ヒロム!!」


 勝利を確信したシェリーが声高らかに終わりを宣告したその時だった。突然ヒロムの姿がシェリーやクロトたちの前から消えてしまい、ヒロムが消えてしまった事で彼の脳天を貫こうとした刃は空を切るようにしてどこかへ飛んでいってしまう形で消え、勝ちを確信していたシェリーは起こるはずのないありえない事態に狼狽えるしかなかった。

 

「な、どうなっている!?どこに……

「ボスを先に仕留めるとかさせねスよ」

 

 シェリーが狼狽え激しく動揺する中で聞き覚えのある声と気の抜けたような口調の話し方が耳に入り、クロトが声のした方を見るとそこにはキラの姿があった。

 

「増援……キラ!!」

「派手にやってるようだから遊びに来たよクロト。それと……プレゼントも届けにきた」

 

 キラの登場によりクロトは何が起きたのか理解する中で 加勢する旨の言葉を口にしたキラが指を鳴らすとシェリーの頭上にキューブ状のエネルギーが現れると同時にその中から血のようにも見える魔力で構築した 剣を構えたアスランが現れ彼女に斬り掛かろうとした。

 

「アスラン、アンタも来たのね!!」

 

「精霊、オレは貴様の主である姫神ヒロムに恩義がある。ならばこそ姫神ヒロムと彼奴の宿す精霊の加勢は当然の事だ!!」

 

 アスランの出現にラミアが驚く中で彼はこの状況に加勢に現れるのは当然だと語りながらシェリーを斬ろうとするが、アスランの魔力の剣による攻撃と彼の能力たる《呪傷》について知識のあるシェリーは受けるはずもなく目に見えぬ何かを用いてアスランの攻撃を止めてみせた。

 

「ほぅ ……」

「オマエの能力を理解して受けるわけないだろうが!!」

「ああ、その通りだ。そして、それを求めていた」

 

「な……

「ダラァッ!!」

「はぁっ!!」

 

 アスランの攻撃を受ける気は無い、そう語るシェリーに対して防御する事を望んでいたとアスランが語った事でシェリーの思考にノイズが生じて思考が乱れ、シェリーのその思考の乱れを待っていたかのように消えたはずのヒロムがフレイと共に現れると彼は白銀の稲妻を纏わせた拳を金色の光を纏うフレイの大剣と共に敵の体へと叩き込んでみせた。

 

「しまっ……

「「吹き飛べ!!」」

 

 ヒロムとフレイ、2人の接近どころか2人の攻撃に対して気づくことも出来ず何の対処も出来ぬ状態で叩き込まれたシェリーが「しまった」と一言口にするのを待つことも無くヒロムの拳が叩き込まれた際のインパクトに呼応するようにして白銀の稲妻が炸裂して衝撃をシェリーの肉体に叩き込み、さらにフレイの大剣の纏う金色の光が輝きを強くさせると巨大な斬撃と共に解き放たれてヒロムの一撃と共鳴するように強力な一撃となってシェリーを吹き飛ばしてみせた。

 

「あぁぁぁぁあ!!」

 

 ヒロムを仕留めたと慢心した瞬間から1分にも満たぬここまでの流れで確実な一撃を受け吹き飛ばされたシェリーは全身をひどく負傷しながら倒れてしまい、シェリーが倒れるとヒロムのもとへクロトたちは集まろうとした。

 

 自分のもとへ集まろうとするクロト、キラ、アスラン。そんな彼ら……とくにキラとアスランに関してヒロムは気になる事があった。

 

「オマエら、クローン培養技術の使用阻止のための装置破壊を頼んだはずだよな?何でここに?」

「あ〜……なんかこっちの方が騒がしかったんで気になったら来てたんスよね」

「貴様の指示に従いたかったが装置破壊は《八神》の調査員の作業終了後でないと出来ない、それを待つ間が暇だから来ただけだ」

 

「ったく……問題児共が」

 

「それ言うならボスもスよ?温存するように言われてたのに破っちゃダメじゃないスか」

「うるせぇ。真面目に従ってたら死んでたかもしんねぇからいいんだよ」

 

「それもそスね」

「ならばオレたちの判断も貴様を手助けしたとして見逃してもらいたいな」

 

「……そうだな。助かったよ2人共」

 

 キラとアスランの指示を無視しての戦闘介入、形と理由はどうであれ助けられたことは事実としてヒロムは感謝を述べ、ヒロムに感謝の言葉を伝えられたキラとアスランが少し嬉しそうにしていると倒れたはずのシェリーがボロボロになりながら立ち上がろうとした。

 

「執拗、素直に倒れればいいものを……」

「そりゃ無理な話だろうな。まぁ、倒れないなら倒すだけだがな」

 

「こ、こんなはずでは……私は……私は……!!」

 

「もう諦めろ十神シエナ。オマエはもう終わ……

「まだ終わりませんよ」

 

 諦めろ、ヒロムがこれ以上は無駄だとシェリーに告げようとしたその時だった。どこからか声が聞こえると研究施設内が大きく揺れ、何が起きてるのか分からないヒロムたちが揺れに対して警戒していると大きな爆発が生じると同時に施設内の壁の一部が破壊され、破壊された壁の瓦礫が飛び散る中でシンクとリクトが何かに吹き飛ばされる形でヒロムたちの前に姿を現すとそれに遅れる形で金色の禍々しい鎧の騎士が出現し……

 

「何だ、アイツは……!?」

「全てはここから、この私が悉くを統べて支配するのです」

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