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The OUTRAGE  作者: hygirl
80/126

80話


 一方……

 

 ヒロムたちの連携によりダメージを受けたシェリーが負傷した体から闇を放出させて力を高めようとする中でヒロムとクロト、フレイとラミアは敵を確実に倒すべく構え思考を働かせていた。

 

 ヒロムはシェリーを仕留めるための戦術を、クロトはヒロムならばどう動こうとするか、そしてフレイとラミアはシェリーの力に関して、それぞれがそれぞれの思うところで思考を働かせていた。

 

「……」

(陽動の重ね掛けによる襲撃、この手はもう使えない。多分だがアイツは自分に生じるであろう死角を壊す動きを取るかそれを餌にしたカウンターを仕掛けるはずだ。インパクトの瞬間の稲妻の炸裂、オレ単体が温存を前提に決め手に出来るのはその一手だけ……そうなると、葉王の忠告に素直に従い続けてるのは得策じゃないか?だとしたら……)

 

(思考、ヒロムは多分稲妻の力を温存するか否かで迷っている。死獅王には有効打になったあの技もあの女の目に見える防御の前では無力、となれば全身発動による強化しかヒロム単体があの女を上回る方法はない。あと……これはクロトも気づいてるだろうがあの女には致命的な欠点がある。そこを利用して倒すってんなら、オレがここで取るべきは……)

 

(彼女の防御、アレはどういう性質で機能しているのでしょうか?マスターの攻撃から察するに正面からの攻撃は間違いなく防がれてしまうのでしょうが、それが単方向なのか多方向なのかで次に取るべき行動が変わりますね……)

(現状4人の中であの女の防御を突破して決め手になれるのはフレイ、マスターがマリアや他の子を呼び出せば決め手は増えるけどここに来るまで連戦続きのマスターに魔力的な余裕があっても肉体的な消耗で見ると3人目、4人目を呼ぶよう打診するのは得策とは言えないでしょうね。フレイの一撃を叩き込めるよう私が誘導するか、マスターのあの炸裂と衝撃を直に食らわせるよう誘導するか……どの道、決め手としてあの女の防御を上回る力を放てない私とクロトはフォローに回る他ないわね)

 

「……倒すしかないなら迷うことは無いか」


 4人の思考がある程度進み、そして先ず思考がまとまったであろうヒロムが動き出そうとするとそれに続こうとクロトは思考をやめると彼がどう動くかを敵に悟られず且つ自身は把握出来る方法で確かめようとした。

 

「確認、殴り飛ばすのかぶっ飛ばすのかだけ聞きたい」

「決まってんだろ……両方!!」

 

「理解、なら大丈夫だ」

(両方、つまりは臨機応変で決め手になれるなら出し惜しみせず使う方向、無駄に終わるなら温存で行くって事だろ!!)

 

(確認してきたってことはクロトは決め手になるよりもオレの動きに合わせる方向でシフトしてきたな。あの女の出方でこっちも出す出さないを決める……長期戦になるのは単に消耗するだけ、決めれるタイミングさえあれば確実に決める!!)

 

(実行、だから……)


「「勝負はここで決める!!」」

 

 やる事は決まり思考は共有した、ならば動くのは今だとヒロムとクロトはシェリーを倒すべく走り出し、ヒロムとクロトの会話から彼らが何を狙い動くかを読み取ったフレイとラミアは互いを信頼しているのか無言で目を合わせ頷くと走り出し、フレイはヒロムに、ラミアはクロトに追従するしようとそれぞれ合流してシェリーに迫ろうとした。

 

「クロト、アンタに合わせてあげるわ!!」

「感謝、ならばあちらの好機となる瞬間を用意してくれ!!」

「お安い御用よ!!」

 

 クロトに合わせる、そう口にしたラミアに頼るべくクロトは指示を出すと短剣を強く握りながら加速し、クロトが加速するとラミアは刀を逆手に持ち直しながら加速してクロトより速く駆けてシェリーに一番最初に接近して刀による 連撃を放ってみせた。

 

 しかしラミアの連撃はダメージとして通じないのかシェリーは微動だにせず、ラミアの連撃を受けても傷一つ負わぬシェリーは闇を放出させてラミアの方に集めさせると彼女を吹き飛ばそうとした。

 

 が、この瞬間だった。

 

「迂闊、手薄だぞ」

「それに……悪目立ちし過ぎね!!」

 

 シェリーがラミアを吹き飛ばすべく闇を一点に集めるとそこを狙ったかのようにクロトはシェリーの背後に現れると同時に短剣による一閃を放とうと武器を振り下ろし、さらにラミアは後方へ大きく跳びながら刀を持ち直すと一閃を敵の集める闇にぶつけさせようとした。

 

「背後から……2度も食らうはずがない!!」

 

 クロトの攻撃に対してシェリーは防御ではなく回避を選んだらしく横に飛ぶように躱してみせようとし……たがラミアが放った一閃が彼女が反撃のために一点に集めた闇にぶつけられると闇は暴発を引き起こして近くにあるものを破壊するかのように爆発を引き起こしてシェリーに誘爆してしまい、それを予期していたかのように後ろに跳んでいたラミアが無傷で済んでいる姿を目にしたシェリーは怒りに震えていた。

 

「オマエェ……最初からこれが狙いだったのか!!」

 

「いいえ、ここからよ」

「誘導、行け……ヒロム!!」

 

 ラミアの行動に怒りを抱き彼女が暴発による自滅を狙っていたのかとシェリーが問い詰めようとする中でラミアはまだ終わらないと告げ、クロトがそれに続くように叫ぶと怒りを抱くシェリーにヒロムが接近して稲妻を纏わせた拳を叩き込もうとした。

 

 しかし……

 

「……単純過ぎてストレスなのよ、姫神ヒロム!!」

 

 ヒロムが一撃を叩き込もうとしたその時、シェリーは自滅によるダメージとラミアに対する怒りの中で冷静さを取り戻したかのように言葉を口にすると体の一部を変異させて鋭利な刃として打ち出してヒロムの脳天を貫こうとした。

 

「なっ……」

 

「マスター!!」

 

 一撃を決める、クロトとラミアのつくってくれた好機を逃さぬよう仕掛けようとしたヒロムだったがシェリーの機転の利かせたこれを予測出来ず、そして回避すら間に合いそうになく……

 

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