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The OUTRAGE  作者: hygirl
79/126

79話

 その頃……

 

 同じ施設内のある部屋……

 

 大型モニターが三面の壁に敷き詰められるように無数に設置されたその部屋の中央にデスクを設けPCの操作をするパラディンはモニターの1つに映されるシェリーの姿を見るなり何やら不満があるようなため息をついてしまう。

 

「……完成形とはいえ最新型となるそのギア・シリーズを早々に解放するのは早計過ぎるな十神シエナ。そのギアでの長時間の戦闘は心を壊してしまう」

(とはいえ《クイーン》のデータが集計出来れば私としては大きな成果となる。十分なデータの集計が出来れば私は……)

 

「本能と衝動を刺激し解き放たせる《クイーン》、開発段階でプロトタイプとしての形にされるだけで終わったアレを完成させていたとはな」

 

 モニターに映るシェリーに対して何か思うところがあるらしいパラディンが企むかのような不敵な笑みを浮かべる中で部屋の扉が開かれてリクトが中へと入り、中に入ったリクトがシェリーの発動した《クイーン・ギア》について知ってるような口振りで話すとパラディンは素顔が割れている現状で鉄仮面をつけ顔を隠すという何の意味があるのか分からない行動を取るとPCの操作を一旦止めてリクトの方を向いて彼と会話しようとした。

 

「流石は《八神》の負の部分と言える存在となっていた……今は《八神》の負の存在として滅された部隊である《角王》の一角となる《斬》の名を与えられていた斬角となっていただけの事はある。当然、自分たちに支給されたギア・シリーズについても把握しているんだな」

「当然、だな。この時代においてあってはならなかった武装でありそれが設計されたせいで失われたものが多過ぎるのだからな」

 

「だがキミはそれを使っていた……違うか?」

「生み出したものだけを非難するつもりはない。ラース・ギア、オレがアレを与えられ使用した事実はオレが贖うべき罪だ」

 

「立派な思想だな」

「だが、そんなオレでもオマエの方が罪深いと思っている。何せ十神シエナが使っているあのギアは……発動すれば使用者が死ぬまで解除されない毒、そんなものを渡してデータ収集に利用してるんだからな」

 

「やはり……私だけの知る真実とはならなかったか」

「元がつくとはいえギア・シリーズの使用者だからな。オレの《ラース》、狼角の《フェンリル》といったようにそれぞれのギアには使用者の持つ力を最大限に発揮する性質を持ちながらそれに適応するための適合率という選別の仕様がある。だから本来は他者のためのギアを他の人間が扱えるわけがないし、部隊の一員になろうと必ず与えられるとは限らなかった。が、それらの仕様と問題点を解決した問題作が《クイーン・ギア》、人間の魂に関与し精神を汚染し異常を引き起こす『精神干渉汚染』を引き起こし最終的に は廃人にして命を摘み取る傲慢な女王を象徴するかのようなそのギアは開発段階でのプロトタイプのテスト段階で打ち止め、設計図と共にプロトタイプも破棄された……はずだったのに何故それが残っていた?」

 

「おかしく思うかな?」

「ああ、おかしいな。何故オマエがあの《クイーン》の存在を知れた?そして何故、獣身武闘拳の師範の牙堂詠心がギア・シリーズを調整出来る?」

 

「……それは、私がギア・シリーズの開発に関係しているからだ」

「どういう……

「敵の言葉に耳を貸すな」

 

 パラディンの言葉に対してリクトが疑問と共に真相を知りたいという興味を抱く中で声がするとリクトの入ってきた入口が爆発が起きたかのような勢いで破壊され、破壊され入口諸共壁が崩れるとその先……部屋の外からシンクが冷気を纏いながら調査員を引き連れる形で現れる。

 

「……オレが巻き込まれたらどうするつもりだった?普通に入れないのか?」

「オレの氷程度で死ぬオマエじゃないだろ?それに入ろうとしたらロックが掛けられたから壊すしかなかったんだよ」

 

「そうか。で、何故ここに?」

「オマエがくれたマップ、それを頼りにしながらここに辿り着いた。ヒロムの方が上手く動いてくれてるらしくて道中の調査は捗ったしここも調べようってことになったんだよ。それより……」

 

 シンクの派手な登場、理由があったとはいえあまりの派手さに呆れるしかなかったリクトは彼の言い分に理解を示し、リクトの経緯を話したシンクはリクトが対峙していたパラディンの後方の壁のモニターに映る異形と化したシェリーを見るなり色々と察してパラディンを睨みながらリクトに確認しようとした。

 

「確認だがアイツはヒロムが終止符を打った人体実験を再開させたのか?」

「部分的に見るならそうなる」

「……そうか。ところでリクト、ギア・シリーズ無しのオマエに戦力として期待しても構わないよな?」

「当然、そのつもりで同行している」

 

「なら手を貸せ。あの男を……倒すぞ」

 

 パラディンが過去の忌むべき非道な行いを繰り返そうとしている、それを止めようとシンクは敵を倒すためにリクトに手を貸すよう話しリクトも応じるかのように頷いてみせた。

 

 だが……

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