69話
そして……
死獅王と対峙し、死獅王の言動の違和感から1つの謎を見つけてしまったヒロムとクロトが困惑する中でレイガは死獅王を睨み、レイガの視線に気づいた死獅王は首を鳴らすとどこか鬱陶しそうに舌打ちをすると睨んでくるレイガを睨み返し彼に向けて冷たく言葉を発した。
「貴様も大概しぶといな。今の貴様は自分の能力もまともに扱えない半端者、そこにいる覇王と同行者に並ぶことすら出来ぬ実力で何をしようと言うのだ?」
「正しさを証明することは出来る。オレが今こうしてオマエや師範を止める事が出来れば……オレはオレの選択が間違いで無いと示せる」
「師範はもういない。それに示して何になる?
貴様が犯した罪はその程度では消えん」
「なら聞く。オマエがオレを生かしておけないと殺そうとしたのは何故だ?」
「単純な事、貴様が師範の教えに背きながらも生きているからだ」
「それがオレの意思とは関係の無い仕組まれていた事だとしてもか?」
「はっ、ここに来て言い訳か?そこまで言うならオレを倒して証明してみろ。オマエがオレよりも強いという事実を持ってな」
「そのつもりだ……死獅王!!」
レイガは《獣身武闘拳》の不殺の掟を破った、だから生かしておけないと語る死獅王にレイガはそれは仕組まれた事だと先刻の戦いにて知らされた事実に触れるようにして語ろうとするも死獅王は聞こうとせず実力で示せと告げ、そして……
死獅王を倒し真実をハッキリさせるためにレイガは先陣を切るように走り出し、ヒロムとクロトも違和感に関して思考するのを一旦止めるとレイガの後に続くように動き出す。
「考えるのはあとだクロト。とにかく今はやる事をやるぞ」
「了解、オレはヒロムとレイガの支援を引き受ける」
「ああ、援護頼む!!」
クロトに援護を任せたヒロムは地を強く蹴ると加速して一瞬でレイガを追い抜かして死獅王へと真っ先に接近して飛び蹴りを放ち、ヒロムが飛び蹴りを放つと死獅王はそれを右手で振り払うようにして弾き防ぐと拳を構え反撃しようとした。
死獅王の反撃に対してヒロムは着地すると同時に冷静に対処しようと受け流し、死獅王の反撃の攻撃を受け流したヒロムは死獅王の胸ぐらを掴むと一気に距離を詰めると同時に頭突きをして敵を怯ませてみせた。
あまりに突然過ぎる予想外の一撃に反応出来ず受けて怯んでしまった死獅王に対してヒロムは腹を蹴る殴るを繰り返して追撃をし、ヒロムが死獅王に確実に攻撃を決めている中でレイガは死獅王へと接近すると加勢するように拳撃を死獅王の顔面に向けて放ち叩き込んでみせた。
「はぁっ!!」
「っ……!!」
「「はぁっ!!」」
顔面へと叩き込まれるレイガの拳を受けて死獅王は大きく仰け反るように倒れそうになってしまい、ヒロムの攻撃に続く形で叩き込まれたレイガの一撃が見事に決まるとヒロムとレイガはまるで打ち合わせでもしていたかのように同時に一撃を放って同時に死獅王へと叩き込んで敵を吹き飛ばしてみせた。
手応えあり、同時に一撃を決めたヒロムとレイガは確かな手応えを感じ、2人の攻撃を受けた死獅王は一度は勢いよく倒れてしまうもすぐに立ち上がると全身に魔力を強く纏わせるとその力を乗せるように拳で空を叩くと2人に対して衝撃波を打ち放って反撃しようとした。
が、この衝撃波に対してクロトは2人の前に出るなり短剣を構えて素早く斬撃を飛ばす事で相殺してみせ、クロトが死獅王の一撃を相殺するとヒロムとレイガは流れに乗るかのように再び死獅王へ迫ろうと走り出した。
「反転、攻め時に攻めろ」
「ナイスだクロト!!」
「一気に行きますよヒロムさん!!」
「ああ、このまま……
「調子に乗るなよ……愚か者共が!!」
やるなら今だ、ヒロムとレイガは死獅王を倒すならこの流れを無駄には出来ないとしてさらなる攻撃を仕掛けるべく敵に接近しようとするが、その中で死獅王は冷たく重い口調で言葉を発すると全身から殺気をヒロムたちに向けて放ち、さらに死獅王は殺気を放つ中で黒い風と雷を纏い始める。そう、死獅王で纏ったのは以前の戦闘にてパラディン介入がなければヒロムたちに対して放たれるはずだった死獅王の力だ。
「前回は余計な邪魔が割り込んだが今回は違う。今回ヒロム何の障害もなく貴様らを……
「おいゴラァ……何語ってんだ?」
以前はパラディンに介入されて邪魔されたが今回は違うと語り続きを口にしようとする死獅王の間合いへとヒロムは一瞬で間合いを詰めると死獅王が纏う力などお構い無しに敵を殴り、殴られた死獅王は纏う力の影響なのか先程までのような反応はなく耐えてみせ、ヒロムの一撃を耐えた死獅王は反撃しようとヒロムが逃げられぬように彼の拳を右手で掴むと同時に左手に黒い風と雷を強く纏わせながら彼の体へ叩き込もうとした。
「この一撃を耐えたか」
「安易に接近するべきではなかったな覇王。貴様の敗因はオレに接近し過ぎた事だ!!」
「まぁ、一撃は耐えれるわな。この『一撃目』は」
ヒロムに対して彼が既に負けているかのように発言した死獅王、それに対してヒロムが何やら意味深な言葉を返し、そしてヒロムの言葉が死獅王へと返された次の瞬間だった。
突然何かがヒロムの拳と死獅王との間で輝きを発すると同時に炸裂し、炸裂した何かが衝撃となって死獅王に襲いかかると彼はヒロムの拳を掴んでいた手すら引き剥がされるほどの勢いで吹き飛ばされて研究施設の建物壁面へと勢いよく叩きつけられてしまう。
「な、何……!?」
何が起きたか分からない死獅王がフラつきながらも構えようとするとヒロムは首を鳴らし、そしてヒロムは死獅王に向けて中指を立てると彼に宣言した。
「オマエの能力が何かはどうでもいいがハッキリしておいてやるよ。今のオマエがオレに勝てる確率は……ゼロだ!!」