61話
白銀の稲妻を纏いパラディンを倒すべく動き出し敵に迫ろうと歩を進めるヒロム。全員がヒロムとパラディンの戦いの行方を見届けようとする中で着実にヒロムはパラディンに近づいていた。
が、しかし……
「っ……!!」
何かを感じ取ったヒロムは突然足を止め、ヒロムが足を止めると壁面へ叩きつけられ倒れたの思われたパラディンが姿を現し、壁面へ叩きつけられた衝撃によって負傷したパラディンは唾を吐き捨てるとヒロムを睨み、パラディンに睨まれたヒロムは首を鳴らすとパラディンを見ながら鼻で笑うと敵を煽るかのように言葉を発し始めた。
「なんかウダウダと最強とやらにこだわりを持ってたらしいが利用できると思ったリクトの肉体を模倣して、レイガで色々試すつもりだったらしいがこの程度か。オマエらの目指す最強とやらは……どうやら名前だけの虚言癖のある雑魚を量産する事だったらしいな。その程度でオレを倒そうなんざ……人生やり直してからじゃないと無理ゲーだな」
「調子に乗るな……姫神ヒロム!!キミは所詮精霊の力に頼らなければ私を追い詰めるなど不可能なのに、ふざけた事を……」
「ふざけてるかどうかは試せば分かる。それに……オマエは何も分かっていない」
「いいや、分かっている……強き者だけが生き残り全てを得るのだ!!」
「そうか、そんな思考してるなら……オマエはオレはおろかレイガにも勝てねぇよ」
「キミはともかく……アイツに私が負けるなんてありえない事だ!!」
「そこまで言うなら……かかってこいよ、口だけ野郎」
「イきがるなよ……小僧がァ!!」
ヒロムの挑発の言葉を受けたパラディンは彼の言葉に感情を抑えられなくなったのか闇を纏いながら走り出すとヒロムに勢いよく殴りかかろうとするがヒロムはそれを容易く右手で掴み止め、パラディンの拳を掴み止めたヒロムは絶望に襲われ立ち上がれずにいるレイガの方へ視線を向けると彼に向けて思いを伝えようとした。
「レイガ、まだ苦しみが残ってるなら吐き出せ。オマエがもし過去を捨て前に進むってんなら……道先案内人はオレが引き受けてやる」
「ヒロム、さん……」
「キミが何をしようとアイツは……
「レイガの拳をオマエ如きが分かった気になるな!!」
パラディンがレイガに関して何かを言おうとするとヒロムはそれを遮断するかのように強く叫びながらパラディンを殴り、殴られたパラディンが仰け反るとヒロムは掴み止めていたパラディンの拳を離すと同時に拳撃を次々に叩き込んで更なるダメージを与えようとし、ヒロムの拳撃を受け続けるパラディンを何とかして拳の連続攻撃から抜け出そうと闇を強くさせると拳の一撃を防ぎ止め、攻撃を防ぎ止めたパラディンは纏う闇の力を右脚に集中させるとすかさず反撃の蹴りを放とうとした。
が、パラディンの蹴りが放たれるとほぼ同時にヒロムは地を蹴って跳び上がるとパラディンの蹴りを華麗に躱し不発に終わらせ、そしてヒロムは左手でパラディンの胸ぐらを掴んで逃げれなくすると右手に白銀の稲妻を強く纏わせ、そして……
「歯ぁ食いしばれや、クソ野郎!!」
白銀の稲妻を強く纏わせた拳に力を込めたヒロムは渾身の一撃をパラディンに叩き込み、パラディンに一撃が叩き込まれるとその衝撃はパラディンの全身を駆け巡るように襲いかかりながらパラディンを吹き飛ばし、吹き飛ばされたパラディンは勢いよく地に倒れ全身負傷してしまう。
ヒロムの渾身の一撃を受けたパラディンは全身の負傷のせいか立ち上がれなくなったのか起き上がろうとせず、パラディンが倒れるとヒロムはパラディンにトドメをさそうと近づこうとした……が、敵に近づこうとしたヒロムの纏っていた白銀の稲妻が音もなく消失し、白銀の稲妻が消えてしまうとヒロムは急激な疲労感に襲われてしまい少しフラついてしまう。
「くっ……」
(やっぱ7人が仮契約の形で認めてくれても反動は消せないか。というか……元々の身体能力を極限まで引き上げるこのやり方が悪いのか……?)
「くっ、うっ……」
突然襲い来る疲労感の原因について考えようとするヒロムの裏でパラディンはどうにかして立ち上がろうと地を這うように動こうとし、あまりにも悪足掻きが過ぎるパラディンの姿にヒロムは哀れに思いながら冷たい眼差しを向けながら告げようとした。
「オマエはもう終わりだ。他人を利用し欲を満たそうとした報いを受けろ」
「くっ、うっ……」
「安心しろ。今オレが……
「……シェリー、データは取れましたか?」
「何だと?」
「ええ、十分に取れたわ。このデータなら……最高傑作が完成するわ!!」
パラディンを完全に終わらせようと考えるヒロムが近づこうとしたその時、パラディンは何やらシェリーの名と共におかしな言葉を口にし、その言葉にヒロムが疑問を抱き動きを止めるとシェリーは嬉しそうに報告し、シェリーの言葉の意味を理解出来ないヒロムが声に反応し彼女の方を見ようとしたその瞬間……
ヒロムが彼女の方を見ると同時に彼女の体から溢れ湧き出るかのように闇が吹き出し、吹き出す闇にヒロムが驚かされていると闇の中でシェリーは嬉しそうに笑い始めた。
「ハハハハハハハ!!感謝するわ、姫神ヒロム!!
オマエのおかげで私は兄さんに近づく事が出来たのだから!!」




