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The OUTRAGE  作者: hygirl
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58話


 レイガが信じていた師範は今やパラディンという男に変わり、そしてレイガに見せていた……いや、レイガに認識させていた善良な人間の姿が偽りでありレイガが罪として背負い続けようとした過去の過ちが自らが仕向けたと告げるパラディン。パラディンの言葉、外面は違えど中身は信じ続けていた師範だと理解してしまっているレイガは師範に自らを否定された事により絶望を味わい膝から崩れ落ちてしまい、そんなレイガを守り助けようとするヒロムがパラディンの前に立ちやる気を見せるようにここで倒す事を宣言した。

 

 ヒロムの強気な宣言に笑いを隠せないパラディンは少し笑いそうになってしまうが、同時にヒロムの言動と態度が気に食わないのか笑いを上回るかのように怒りに近いものを抱くと笑みを消し殺意を剥き出しにしたような顔へと変えてしまう。

 

「……欺瞞と傲慢を感じずにはいられないその戯言、虫唾が走る。キミのような人間が何故多くの才に選ばれ強さの悉くを掴み取れてしまうのか、理解に苦しむ所が多すぎる」

「オマエが何を言おうが勝手だがレイガを騙してコイツの人生をめちゃくちゃにした事実は変わらねぇし、そんなオマエにオレのやる事をとやかく言う資格なんてない」

 

「資格とはおかしな言葉を用いるのだな。そのような言葉を用いて私を論破するつもりなら先に教えておこう……キミが何をしても今の私には勝てないし何を言おうが戯言となるだけだ」

「リクトの体を模倣して隠れ蓑にしなきゃ何も出来ないようなクソ野郎に何言われても気にもならないな。それに……オマエのその言葉もオレ相手に実現できるかどうかを示さない限り虚言でしかない。白黒ハッキリつけようぜ……パラディン。オマエが強さの目標に定めようとしたオレの実力とそれを目標に小細工を施してきたオマエのどっちが強いのか、をな」

 

「分からない男だな……キミでは私には勝てないと言っているだろ!!」

 

 ヒロムの臆せぬ物言いにパラディンは痺れを切らしたのか真紅の剣を強く握りながら走り出してヒロムを討とうと接近を試み、パラディンが動き出すとヒロムも拳を強く握り構えながら迎え撃とうとし、そんなヒロムのもとへ彼の身を案じるかのように精霊・フレイが彼の隣に現れて加勢しようとした。

 

 だがヒロムはフレイが加勢しようとしているのを拒むかのように彼女の前に立とうとし、ヒロムのその行動にフレイは行動に隠された意図が分からず困惑するしかなかった。

 

「ま、マスター?」

「オレは大丈夫だからレイガを見ててくれ。今のアイツを1人にしておくのは危険だ。頼めるか?」

 

「……考えがあっての命令ですよね?」

「命令じゃなくて依頼だ。この状況を打開した後、レイガを救うためにもな」

 

「承知しました。マスターの頼み、聞き受けます」

 

「ああ、頼むぜ」

 

 ヒロムの頼みを聞き入れたフレイは軽く頭を下げた後に絶望に追いやられるレイガのもとへ駆け寄ろうとし、フレイがレイガのもとへ迎うのを確認したヒロムはパラディンの接近についても認識し臨戦態勢に入れるように集中すると同時にヒロムは意識の一端を己の中の奥底へ向かわせるように深く集中しようとした。

 

「……」

(聞こえるか……ラミア?)

 

『お呼びかしら、マスター?』

(頼みがある。今、テミスやティアーユが説得を試みている7人を含めて全精霊……フレイを除く13人の精霊の力をオレに繋げてくれ)

 

『正気?フレイや私、マリア……レイガたちの前に姿を見せていないテミス、ティアーユ、ステラ、アイリスはマスターの言葉に耳を傾けアナタを認めているから力を繋げてもアナタの助けになれるけど新入りでもあるあの7人はマスターが過去に宿していた精霊……《十家騒乱事件》の際に消滅した精霊の記憶を受け継ぎながらも未だにアナタを理解していない精霊。アナタのさっきの苦しみも彼女たちの理解の無さと主として承認していない影響なのよ?それなのに……』

(それでもいい。むしろ……この状況だからその7人と繋がる必要がある)

 

 心の奥底へと向けた意識の一端で内に存在する精霊・ラミアに語りかけ何かを頼むヒロム、対するラミアはそのヒロムの申し出に異を唱え危険性を示唆しようとするがヒロムには何か考えがあるかのような言葉を口にし、ヒロムがラミアと意識下で会話する中でパラディンはヒロムに接近すると真紅の剣を振り斬り掛かろうとし、ヒロムはラミアとの意識下の会話を行いながらも真紅の剣を華麗に躱し、ヒロムがパラディンと交戦する中で意識下で会話をするラミアはため息をつくなり彼に伝える。

 

『……この状況、下手したら死ぬかもしれない状況で博打を仕掛けるなんて正気の沙汰とは思えないけどアナタが決めたら考えを変えないことは知ってるから引き受けてあげる。けど、万が一の時はすぐにあの7人の繋がりは外すわよ?』

(ああ、それでいい)

 

『なら……始めるわよ!!』


「……ああ、始めよう」 

「はぁっ!!」

 

 ヒロムを倒そうとするパラディンが彼を斬り殺そうと真紅の剣を振り下ろした瞬間、ラミアが頼みを引き受けたのをきっかけにヒロムは意識下での会話を終わらせると同時にパラディンの振り下ろす真紅の剣を白刃取りで止めてみせ、そして……

 

「来い……オレの中の力!!」

 

 真紅の剣を白刃取りで止めたヒロムが叫ぶと彼の全身が稲妻のようなものを纏い始め、稲妻のようなものを纏ったヒロムは両手に力を入れると真紅の剣を砕き折ると共にパラディンを蹴り飛ばしてみせた。

 

「なっ……!!」

 

 蹴り飛ばされたパラディンは受身を取って拳を構えようとし、稲妻のようなものを纏うヒロムは少し苦しそうな顔を見せながらも雄叫びをあげるかのように叫んだ。

 

「ああああああああぁぁぁ!!」


「バカな……キミは精霊の力を扱えないはず……!?」

「さぁ、どうだろうな。とりあえず……派手に暴れてやるよ!!」

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