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The OUTRAGE  作者: hygirl
55/126

55話


 突如として現れ混乱を招く2人目の八神リクト。

 

 シェリーはこの2人目の八神リクトの登場が予想外だったらしく、さらに2人目の八神リクトは敵対している八神リクトの事を『偽物』と呼称すると赤い雷撃を身に纏おうとした。

 

 2人目の八神リクトが赤い雷撃を纏おうとするとヒロムはただでさえ何が起きてるのか理解が追いつかないような状況の中にいたヒロムは彼のその行動から何かを感じ取ると2人目の八神リクトに向けてどこか嬉しそうに話を始めた。

 

「……オレの提案無視して消えたと思ってたのに帰ってきたのか?」

「提案?オレに《八神》の当主になれって話の事言ってんのか?あんなもん、オマエが冗談だと思って聞き流した」

「あ!?オマ……

「それより、呑気に話してていいのか?オレが敵の増援かもしれないとか思わないのか?」

 

「思うわけないだろ?その赤い雷撃……《憤撃》を何度も見てきたから分かる。オマエは本物の八神リクトで、今のオマエの怒りは……あのパラディンって偽物とシェリーに向いてるってな」

 

 2人目の八神リクトが本物だとヒロムは断言し、ヒロムがそう断言すると最初に姿を見せた八神リクト……つまり、パラディンは真紅の剣を構えるなりヒロムと八神リクトを視界に入れるように構え直そうと動きを見せ始めた。

 

 パラディンが動きを見せるとヒロムとシンク、そしてクロトとレイガ、アスランは敵を倒すべく構えようとし、ヒロムたちが構えようとする中で八神リクトは赤い雷撃を纏いながら前に出るように立つとシェリーの事を見ながらヒロムたちにパラディンに関する新たな情報を伝え始めた。

 

「そこにいる偽物はかつて《八神》を闇に支配するよう陥れた十神アルトが《八神》を隠れ蓑にして行っていた人体実験のデータを十神シエナが回収して他国で禁止されているクローン培養技術に転用する形で生み出した人造能力者人形だ」

 

「人造能力者……つまり、能力者を道具のように作って運用しようとしてるってのか?」

「クローン培養技術を禁止する国が出てくる大きな理由……命を生み出すという行為が倫理に反している、というやつだな」

 


「だがそこの女はそんな倫理観なんて持ち合わせていない。あるのは十神アルトが成し遂げられなかった野望を自らが叶えようという欲望だけだった。そして、そこの女は十神アルトの敗北により行動を開始した。1人の男と合流して、な」

「それが死獅王……獅天なのか」

 

 パラディンと名乗っていた八神リクトはクローン培養技術を用いて生み出された偽物だと語るリクト本人はシェリーがヒロムにより倒された兄・十神アルトの野望を果たすべく動き出したことについても語ろうとし、リクトがそれを語ろうとしてレイガが死獅王の事だと思い反応を見せるとリクトは静かに首を横に振ると訂正するようにレイガへ話した。

 

「……それは違うな、獣身武闘拳の小僧。獅天とやらはむしろこの場合においては『被害者』とされる」

「なっ……何を言っている!?アイツはオレの前で師範や仲間を……

「オマエがどこまで獣身武闘という流派の裏を知ってるかはよく知らんが、その師範とやらは今も生きているぞ」

 

「えっ……!?」

「どういうことだリクト!?」

 

「リクト……あそこにいる偽物の中身は『誰』なんだ?」

 

「「!?」」

 

 レイガの信じている師範は生きていると話すリクトの言葉にレイガだけでなくシンクも驚きを隠せず聞き返してしまうが、リクトの言葉を聞いたヒロムは何かを察したかのようにリクトにある事を尋ね、ヒロムの言葉を耳にしたレイガとシンク、さらにはクロトやアスランが驚愕する中でリクトはため息をつくとヒロムの言葉に対して答えようとした。

 

「これだから天才はやりにくい……順を追って話すつもりが先に辿り着きやがったな」

 

「疑問、ヒロム。何に気づいた?」

「クロト、簡単な話だ。あそこの偽物が他国で禁止されてるクローン培養技術を用いた偽物って話ならあの女は個人としてクローン生成可能とする技術力を有している事になる。仮に無尽蔵に生み出せるのならこれまでの戦いであの女は獣身武闘から離反し悪に走った戦士を刺客とした少数戦力を仕向けるような真似をするよりも圧倒的兵力による制圧を実行する事でオレたちの処理は済んだかもしれない」

 

「反論、だがあの女はクローンによる兵力による攻めをしていない」

「ああ、だから頭の中で考えた。クローン培養技術が何故禁止されたのかを……そんな時にリクトが教えてくれた内容で辿り着けた。クローン培養技術が生み出せるのは器だけじゃないのかってな」

 

「疑問、何故その考え方に達した?」


「リクトは死獅王となった獅天を被害者と訂正し、師範が生きていると発言した。単なるデタラメなら殴り倒したくなる話だが……リクトの発言に確信を得る方法を思い出した」

「ヒロムさん、その確信って……何なんです?」

「オレの記憶が曖昧な覚え方をしてなければ死獅王とあの場に現れたパラディンは立場に差のない双方意見を主張出来てしまえる関係性に見えた。今ここにいるその偽物があの時のパラディンと同一だとしたら不自然極まりない……と思わないか?」

 

「納得……今の話の流れだと、死獅王はクローン相手に対等な関係を気づいていたことになる!!」

「それじゃあ……」

 

 可能性は1つ、とヒロムはパラディンを名乗っていたリクトの偽物を睨みながら敵を指さし、そして……

 

「リクトの話を事実だとして推理するなら……レイガの目の前で死んだはずの『獣身武闘の師範』が生きている事の真偽をハッキリさせる方法、そのカギになるのがあのパラディンって事になるんだよ!!」

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