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The OUTRAGE  作者: hygirl
45/126

45話


 岩鯨が放ったとされる一撃を受けた事で吹き飛ばされ倒れてしまったヒロムに向けてまるで自分が何かしたかのように得意げに語りヒロムを煽ろうとするシェリー。彼女の言葉を聞きたくなくても自然と耳に入り聞かされたヒロムは耳障りに思いながらも立ち上がり敵を睨みながら構え直し仕切り直しを試みようとし、それと同時にヒロムは岩鯨を視界に捉えると巨躯の男たる岩鯨の肉体から何か情報を得ようとした。

 

「クソブス女の雑音が……」

(あのクソ女は後回しだ。あっちはタイミングを見てフレイが逃げないように足止めに動いてくれるだろうからいいとして……あの巨漢、あの野郎の今の技が何なのかをハッキリさせないとな)

 

「手早く仕留める……!!」

 

 岩鯨の攻撃の正体、それを暴きハッキリさせる必要があるとした一方で岩鯨を手早く仕留め対処しようと考えるヒロムは岩鯨に殺気を向けながら駆け出し、駆け出したヒロムは殺気を抑えることも無く加速すると敵の周囲を縦横無尽に走り回って翻弄させようとし、加速するヒロムの縦横無尽に走るその動きを前にする岩鯨は目で彼の姿を捉えようと追いかけている様子はあるものの彼のスピードと動きに反応出来ないのかその巨躯は動きを見せようとはしなかった。

 

「むむっ……」

 

 縦横無尽に駆け回るヒロムは単に岩鯨を翻弄するために高速で動いてるわけではなくこの短時間での自身の動きに対しての岩鯨のリアクションを見て予測出来る敵の情報を手早く獲得しようとしていたのだ。

 

「デカブツが」

(さっきのスピードから機動力はオレと同等くらいで見積もっていいかと思ったが過大評価が過ぎた。機動力というよりは『瞬間的な加速』、つまりは初速が優れてるだけでスピードの伸びと反応速度は高くない。要はデカイ図体に誤魔化された初見殺しがさっきのスピードの謎ってことになる。そこはそれでいいとして問題はオレがカウンターを仕掛ける前にこのデカブツがオレに何をしたのか、だ。能力なのか身体能力なのか……まずはそこをハッキリさせないとな)

 

 岩鯨がヒロムの背後に瞬間で周り込めたスピードのカラクリを予測で紐解いたヒロムはスピードに関しては追求するのを止めると次に自身を吹き飛ばした岩鯨の『攻撃』についての謎をハッキリさせようと次の手を仕掛けようと加速する中で地を強く蹴るように踏み込むと同時に地面の一部を破壊し瓦礫のようなものを作るなり岩鯨に向けて蹴り飛ばし、ヒロムによって蹴り飛ばされたそれが飛んでくる中で岩鯨は息を吐くと軽く構えようとし、岩鯨が構えようとするとヒロムが蹴り飛ばした瓦礫は何かに衝突したかのように砕け散って破壊されてしまう。

 

「なるほど……それが答えか」

  

 ただの1回、ヒロムの行動と岩鯨の判断によるこの一連の流れはヒロムにとって意味のある1回の流れとなり、そしてヒロムは岩鯨から遠ざかるように走り距離を大きく取ると今度は急激な加速を経て岩鯨へ接近してその急激な加速により得たスピードを上乗せするかのように拳の一撃をぶつけようとした。

 

 ヒロムの急激な加速とそこから流れるように放たれる拳に対して岩鯨は構えを取ると右手を素早く突き出し、そして岩鯨が右手を素早く突き出すとヒロムと岩鯨との間で何かが強くぶつかるように衝撃のようなものが生じて2人は引き離されるかのように吹き飛ばされ、吹き飛ばされるも容易く立て直せたヒロムと岩鯨は難無く構え直そうとした。岩鯨が構え直そうとする中でヒロムは首を鳴らすと不敵な笑みを浮かべながら岩鯨の事を見るなり中指を立て、そして敵を煽るようにヒロムは岩鯨の攻撃のカラクリについて触れるかのように語り始めた。

 

「んだよ、デカブツ。オマエ、手の込んだ事してくれた割にやる事ショボイな。いや、ご自慢の兄上殿の優秀さを分けて貰えなかったらしくて残念だったな、十神の女」

 

「何ですって?」

「オマエ、姫の悪口は……

「デカブツ、オマエは大気を振動させるのが得意だろ?」

 

「何……!?」

「はいかいいえで答えるまでもなく反応が答えになってんな。まぁ、答えても答えなくてもどうでもいいけどな」

 

「……何故見抜けた?」

「簡単な話だ。ある程度紐解いて結論を出せばいい。オマエの機動力と反応速度、咄嗟の対応から予測を立てた上で今の一撃のぶつけ合いで最初のオマエへの攻撃が効かなかった理由とオレがカウンターを決められなかった理由をハッキリさせたってだけだ」

 

「しかし、それだけで自分の力を……

「決定的な情報はオマエが姫と呼ぶそこの女が教えてくれてたからな。初見殺しの障壁でな」

 

「姫の防御術から情報を得たというのか!?」

「まぁ、女の自慢の防御から着想を得て見抜いたのはたまたまだ。奇襲代わりの飛礫をオマエが防いだからこそ解決の糸口に繋げられただけだ」

 

「不覚、自分に与えられた『岩鯨』の名に恥じぬよう得意技たる振動攻撃の技を鍛え続けてきたがこのような形で見抜かれるとは。予測してませんでしたな」

「振動攻撃か。能力で放つならともかく体術で大気に振動を伝導させるレベルまで高めるとか暇かよ」

 

「誇り故に鍛え抜いた技……暇などと侮蔑されるのは心外だ」

「はっ、外道に加担するようなデカブツが今更誇りを騙るな。戦士としての誇りを語っていいのは信じた道を進み続ける者だけだ!!」

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