43話
シェリーの自信満々の防御を奇策で突破したヒロム。彼ならではの奇策で突破したヒロムは謎多き敵の目的と嵌められたアスランのために真相をハッキリさせるために全て吐かせようと歩を進め迫ろうとし、ヒロムの拳の一撃を受け殴り飛ばされ倒れていた状態から立ち上がったシェリーは身を守るかのように魔力を纏うとヒロムを睨み、シェリーが警戒する中でヒロムは抵抗しようとする彼女にもう一撃決めようと拳を構えようとしながら聞き出すべき事を順に吐かせようと問い始めた。
「まず最初に……何故オマエは死獅王と行動している?何故《十神》は獣身武闘に目をつけた?」
「……答えるわけがないわ」
「そうかよ。まぁ、オマエが素直に吐くとは期待してなかったから別にいいが……いつまでも黙秘を続けられると思うなよ?」
「好きに言ってなさい……!!」
「なら次だ。何故アスランを巻き込んだ?アイツは単なる殺し屋のはずだ。なのに何故アスランを巻き込み海外で罠に嵌めた?」
「……ああ、あの男か」
死獅王と行動している理由、《十神》が『獣身武闘』に目をつけた理由を問うも答える気のないシェリーはまともな答えを返さず、彼女の強気な態度がいつまでも続くと思うなと警告したヒロムが話題を変えるようにシェリーに殺しの依頼を持ちかけられ、海外に渡航した挙句密入国者殺人事件の犯人とされたアスランについて問うと、これについては答える気があるのか魔力を纏った状態を維持したままアスランについて語り始めた。
「アイツは私にとって都合が悪いのよ。それなのに私の作品を次から次に壊して……かなり迷惑だったからパラディンと手を組む条件に利用したのよ」
「作品……それは獣獣身武闘の門下生だったやつらのことか?」
「ええ、あの人が《十神》のために育て上げた逸材を更なる高みへ強化して私たちの求める戦士に仕上げていたのよ。ただ、その戦士の何人かが殺害されてね」
「オマエの作品を殺したのがアスランってわけか?」
「まさにそうよ。しかも私の傑作を次から次に殺してくれて……腹が立って仕方なかったわ。これ以上私の作品に手を出されたくない、だからパラディンが海外に逃亡したある人間を追いかけるのを利用させてもらう形で彼に一芝居行ってもらい情報を偽装して踊るように仕向けたのよ」
「ふーん、そうかよ」
(アスランは情報に疎い部分が多いのはさっき話しててわかつた。おそらくパラディンはこのクソ女の頼みを受けてその辺を把握してアスランが疑うことなく受け入れるように偽装したのか。そして、予想でしかないがパラディンが追いかけていたとかいう人間も単に巻き込まれた被害者だろう。しかもわざわざ《八神》の名を出してトウマとシンクに接触させて死獅王について探られないよう処理するあたり手慣れてやがるな)
「何はともあれオマエらがクズって事は改めてよく分かった。その上で聞くが……死獅王もオマエの作品か?」
「は?何を言うかと思えば……
「答えろクソブス。コソコソ隠れて他人に頼らなきゃ何も出来ない十神アルト以下の三下如きがオレ相手に偉そうに物言えると思うなよクソが」
「オマエ……オマエだけは殺す!!」
「殺れるもんなら殺ってみろクソブス。オマエの情けない兄上同様醜態晒させてやる!!」
「黙れぇぇぇえ!!」
必要な情報を聞き出したヒロムはもはや相手が女性だろうが気にすることなく彼女は単なる敵として暴言と同義に等しい汚い言葉で煽り続け、そのヒロムの数々の暴言に等しい言葉を聞かされたシェリーは彼を屍に変え黙らせようと魔力を一点に収束させると同時に光線のように強く解き放って仕留めようとするがヒロムを守るかのように精霊・フレイは立つと大剣を力強く振り下ろして彼女の放った攻撃を両断させる形で消し飛ばしてみせ、そしてヒロムはフレイがシェリーの攻撃を大剣で対処した裏でいつの間にか駆け出し加速しシェリーの背後へと移動を遂げていると敵に反応される前に頭蓋を砕き潰そうと何度も高速で回転し勢いを生み出すと共に蹴りを放とうとした。
ヒロムの言葉に冷静さを失ったシェリーの視界にははもはや光線を当たり前のように防いだフレイだけが捉えられ、そして背後に迫るヒロムの気配にすら気づけない彼女はヒロムが背後から来ていることすら気づかず彼の蹴りを受けるかのように見えた。
シェリーはまだ反応していない、ヒロムもそう思っていた。しかし……
シェリーの頭蓋を砕くべく蹴りを放とうと背後から迫ろうとするヒロムの全身が突然言葉に言い換えられないような何かを感じ取り、その何かを警戒したヒロムは蹴りを放つのを止めシェリーから距離を取るように素早く後ろへと大きく跳ぶと彼女をヒロムから守るかのように天から2mは越えていると思われる巨躯の男が落下するように現れ、巨躯の男の着地により軽い地震でも起きたかのような揺れが生じる中でヒロムの前にシェリーを守るように現れた巨躯の男は雄叫びのような奇声を発し始める。
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「何だ、このデカブツ……!?」
「自分の名は岩鯨。姫の敵を駆逐する者だ」
「姫?そのクソ女のことか?なるほど……粗大ゴミを隠してたってか。まったく、ゴミの始末は面倒なんだよ!!」
突然現れた巨躯の男・岩鯨を名乗るその人物を前にしてもヒロムは怯む様子もなく倒すべく挑もうとし、そして……