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The OUTRAGE  作者: hygirl
31/126

31話


 鬼桜葉王と依頼内容の変更のための取引をしてでも新たに固めようとしたヒロムの死獅王追跡に関しての今後の方針。死獅王の誕生してしまった謎を明らかにするというヒロムの言葉を聞いたクロト、キラ、レイガはそれに対して賛同するか否かの決断を各自に委ねるヒロムの言葉を受けたことで意思決定を求められ、そのせいなのか思考してるのかは分からないが3人は沈黙していた。

 

 沈黙するクロトたちの意見を待とうとするヒロム、そのヒロムに対してまず発言したのはクロトだった。

 

「……同行、オレはヒロムの決めた方針に従う。今更方針が変わろうとオレの意思を容易く覆す気は無いし、元々オレは《一条》の後ろ盾も何も関係無くヒロムの行動に従うと決めている。今は自分の立場を確保したいがために《一条》を利用してる立場、そのオレが《一条》のバックアップを受けられないというならここからは《姫神》の人間に与する人間として好きに出来るって解釈で同行する」

 

「オマエらしい考え方だなクロト。でも、オマエが最初に言ってくれて助かった」

「当然、そのために今のオレをつくるためにヒロムから離れて《一条》に身を置いた。ヒロムのそばで役に立てなかったこれまでの空白を今埋め合わせする」

「律儀というか重いというか……これまで通り期待しとく」

 

「となるとオレの力も必要になるスよね。まっ、迷う事もなく期待に応えるスから今後とも頼むスよ」

 

 クロトはこれまで同様にヒロムに付き従い協力すると話すと続けてキラが何やら面白そうに話に入ろうとし、自身の力も必要になるだろうと口にしたキラはヒロムの期待に応えると話すと笑みを見せ、クロトに次いでキラも協力してくれる事となったヒロムは言葉にはしないがどこか嬉しく思っているように見えた。

 

 そして、クロトとキラが意思をヒロムに伝えた事でまだ伝えていないレイガは……

 

「ヒロムさん、確認させてもらいたい事がある」 

「何だ?」

 

「もし……死獅王がヒロムさんや《一条》の思っていたような人間じゃなかったとハッキリした時、今のオレの中にある死獅王を倒すって気持ちがその時も消えてなかったら……その時オレとヒロムさん、どっちの意思が優先される?」

 

「論外、そんなものヒロ……

「落ち着けクロト。今それは言うな」

 

「……謝罪、すまない」

 

「レイガ、詳しく聞かせてくれ。その上で答える」

「……正直、師範がオレや獣身武闘を習った同門の仲間を騙すような事していたなんて今はまだ完全に信じられないし死獅王に何かしらの理由があってここを破壊したって事実があるとしてもオレの中にある死獅王の存在は『倒すべき敵』って形でしかない。それはオレの中で強く根付いているし、それがこの先変わるのかオレには分からない。アンタたちの心の強さは理解してるし現実を見て対応を変えられるのは分かってるけどオレにはそれが出来ないかもしれない……だからもし、死獅王の全てをヒロムさんが明らかにした後もオレが納得出来ずヒロムさんが最後に出す決断に納得出来なかった場合、オレはオレの意思に従う事になってもいいかをハッキリさせたいんだ」

 

 十神アルトの妹で今はシェリーを名乗る十神シエナの存在が情報として手元にあることから死獅王が何故誕生したのかについて謎を解明しようと方針を決めたヒロムに対して死獅王を倒すために協力関係となったレイガはこの先ヒロムが死獅王の全てを明らかにしたとしても倒すという気持ちは変わらないと理由を話し、そしてレイガは最終的にヒロムと意見が対立した場合にどうなるのかをハッキリさせたい旨を語った。

 

 キラはともかくヒロムを第一優先と認識するクロトはこのレイガの言葉を快く思っていないらしく冷たい目で睨むように見ていたが、ヒロムはクロトの視界からレイガを外させようと彼の前に立つとレイガの質問に答える前にレイガの考えとその言葉を聞いた上で感じた事を彼に伝えようとした。

 

「出会った時からそうだった。レイガ、オマエは今に至るまで師範や仲間を殺した死獅王を『殺す』と言わずに『倒す』と言っているな。オレは出会った時から死獅王と対峙した後の今までの間にそこに変化がない事に安心してる」

「いや、そんな深く考えたりは……」

「オマエがこの先も死獅王を倒してアイツを止めるってんならオレはクロトやキラと追跡の手を貸すし死獅王の事は完全に任せる気だ。過去の因縁があるのはレイガだ。そのレイガが決着つけたいなら好きにさせるが、オマエが獣身武闘を奮う上で殺しを実行しようとしたらその時は止める。オマエが死獅王を殺せばオマエが体得した獣身武闘はもちろん、その技を研鑽するために時間を共に過した亡き仲間たちの思いを穢すことになる。オレはオマエの心と託されたもののために道を外しかけたら止めるがそれ以外ならオマエを信じて任せる」

 

「ヒロムさん……っ!!」

「……それ以上は語る気は無い。だから、今のを聞いて答えが出せるなら聞かせてくれ」

 

 あくまでレイガの意思を優先する、その代わりに死獅王を『倒す』という意思を後押しするもそれが『殺す』に変わった時は止めるとして決定権を委ねようとするヒロムの言葉を受けたレイガは……

 

「オレを信じて任せてくれるのなる……当然オレは死獅王についての真実を明らかにさせたいヒロムさんのために戦います!!」

 

 ヒロムの言葉を受け、そして死獅王の全てをハッキリさせようとするヒロムの意思を受けたレイガは決意に満ちた瞳でヒロムを見ながら彼の目的のために戦うと強く返す。その言葉を受けたヒロムは静かに頷き、そしてヒロムはクロト、キラ、レイガと共に今後の方針を改め結束を深めると永楽寺院の焼け跡地から去るべく動き出そうとした。

 

 死獅王の全てを明らかにする、そう決意したヒロムにこれから待ち受けるものは一体……

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