表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The OUTRAGE  作者: hygirl
29/126

29話


 フレイたちがマンホールの先で見つけた分厚い本と写真、その写真にはシェリーと名乗り死獅王や刺客のそばにいたシェリーが写っていたと発見したフレイから伝えられ、ヒロムはフレイから写真を取るとそれを確認しようとした。

 

 写真は寺の門の前で撮影したと思われる集合写真であり、写真の中央には十神アルトが道着を着た少し老いた男性と肩を並べるように写っており、その十神アルトの隣にらフレイの言う通りシェリーが写っていた。

 

 ヒロムの前に現れた時は花魁を思わせるような格好だったが写真に写るシェリーはそれとはかなり異なるスーツ姿の身なりの整えられた状態で写っていた。

 

 同一人物かどうかを疑いたくなるような差のある事が気になりながらもヒロムは葉王に見せるようにタブレット端末の方に写真を向け、写真を画面越しに見た葉王は眉をひそめ険しい顔となるとヒロムに写真に写るシェリーに関して確認をするかのように質問を口にした。

 

『姫神ヒロムゥ、この女がいたのは間違いないんだなァ?』

「ああ、間違いない。知ってるのか?」

 

『写真にこの女の名はシエナでェ、この女は十神アルトの実の妹だァ』

 

「何!?」

「衝撃、あの女が十神アルトの妹だったとは……!!」

 

「只者ではないと思ってたスけどまさか《十神》の血筋だったとは驚きスね」


『それにこのジジィ、覚えてるぞォ。コイツは何度か十神シエナと会ってる所が確認されてたァ。たしか武術の繁栄がどうとか宣ってたなァ』

 

「レイガ、このじいさんに見覚え……」

 

 師範です、と葉王の話から何かを察したヒロムの言葉を最後まで聞かずにレイガはそう答え、レイガの答えたその一言である程度察したヒロムは何かを理解したのか「ふざけてるな」と口にした。

 

「……レイガや死獅王となる前の獅天、それに殺された他の門下生は全員このじいさんと繋がってた十神アルトに利用されるために育てられてたんだな。《十神》の兵力を確保するため、アイツを傀儡にし他の当主すら利用したその裏で気づかれることなく進めていたなんてな……!!」

 

『……精霊フレイ、オマエたちは何を見た?』

 

 レイガに技を教えた師範は十神アルトの協力者であり十神アルトによる《十神》の戦力確保のためにレイガはもちろん他の門下生、そして獅天だった頃の死獅王な技を伝授されたのはあくまで《十神》のためであると確証のない今の情報だけで考えられる可能性についてヒロムが言葉にする中、事を重大と判断したであろう葉王はマンホールの内部に進入した3人の精霊を代表させるかのようにフレイに報告させようとし、葉王に名指しされたフレイは葉王は当然として調査を指示したヒロムやクロトたちにも伝わるように全てを話し始めた。

 

「このマンホールは偽装のためのものでした。入口から降下直後はマンホールの形をしていましたがそこから先は全くの別物、二手に分かれるような構造となっていて片方の道の先には左右に牢獄の並ぶ通路となっており、もう片方は直進した後に1つの部屋に辿り着けるようになっていました」

 

『牢獄の方には何かいたのか?』

「いえ、あったのは白骨化した遺体だけでした。その通路の先には部屋ではありませんが人の手足を拘束するかのように鎖の繋がれた枷があり、その中心にはそこで人を殺したであろう大量の血痕が乾いた跡がありました」

 

「追求、もう片方の通路の先の部屋は?」

「その部屋はおそらく隠し部屋……本が無数に並べられた本棚と2人の持つこの本が置かれたままになっていた机と椅子、そしてこの写真が壁に貼られていただけで目立つようなものはありませんでした。本棚に並べられた本はほとんどが図鑑だったのですが……ラミアとマリアの持つ本は本の見た目をした日記、記録帳のようなものでした」

 

『何が書かれているゥ?』

 

「そこからは中身を見た私が話すわ。マリアの持ってる方は率直に言うなら名簿と手記ね。書いたのはおそらく師範、中身は門下生たちの成長についての記録に近いものだったわ。そして私が持つこの本には……レイガに関する事が書かれていたわ」

 

「オレに関する……?」

『続けて報告しろォ』

 

「……あまり勧めないけど、気になるならざっくり話してあげるわ。ここに書かれている内容……それはレイガや数人の門下生の戸籍情報の抹消と身内の殺害状況、そして……レイガ含む門下生数人を『被験体』と名付けた記録が記されていたわ」

 

「被験体……?オレが……?」

 

「ええ、そして……

「待てラミア。まだ何も言うな」

 

「マスター?」

『姫神ヒロムゥ、邪魔するなァ。これは死獅王を……』

「追跡し倒すためならここはオレに一任してくれ。葉王、一旦キラをオマエのもとへ帰らせる」

 

「ボス!?話止めるためにオレを生贄にするんスか!?」

「キラにはフレイたちの見つけた情報の全てを預けてオマエに渡すようにする。これでキラの自由をある程度許してくれるよな?」

 

『姫神ヒロムゥ……何を考えているゥ?』

「取引だ葉王。オレたちはフレイたちが確認した所で止めて全てをオマエに譲渡する代わりにオマエからの依頼である『死獅王の始末』を『死獅王の追跡と十神シエナの拘束』に切り替えさせてくれ」

 

『何ィ……?』

 

 突然のヒロムが持ち掛けた取引。死獅王の始末という依頼を変更しようとここで得た情報を手放そうとするヒロム、その真意は……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ