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The OUTRAGE  作者: hygirl
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26話


 突然現れたパラディンによって永楽寺院の焼け跡地での戦いは掻き乱され、挙句ヒロムに対して残したパラディンの言葉が彼の思考をも乱しての形で戦いが終わると不完全燃焼なヒロムたちは一旦集まると状況を整理しようとしていた。

 

「何の成果もなく敵を逃したな……悪い、オレの判断ミスだ」

 

「誤解、ヒロムのミスでは無い」

「そうスよボス。あの女を逃がしたのは捕らえるよう指示されたオレらのミスだ」

 

「アイツを逃がした件はオレにも非がある。ヒロムさんの責任じゃない」


「そうじゃない。パラディン……アイツの動きに一瞬でも気圧され距離を取ったのは判断ミスだ。あそこで一撃決めるつもりで動いてれば状況は……いや、タラレバの結果論は時間の無駄でしかないな。とりあえず、この戦いで得たものをまとめよう」

 

 自身の判断ミス、それについて反省しようとするも同時にそれは時間の無駄として割り切ったヒロムは敵を逃がしながらも得た情報……死獅王の実力やパラディンの動きについての情報をクロトたちと共有しようと話題を切りかえた。

 

「まず死獅王だが、オレとレイガを同時に相手にして捌き切れるだけの身体能力は間違いなくあるし、身のこなしや対応力だけで見るなら生半可なやり方では攻略出来ないレベルと思って間違いない」

 

「ボスとレイガが同時に相手で対抗出来るだけの身体能力ってなるとかなり手強いスね」

「脅威、ヒロムにそう言わせるのは危険な証拠だ」

 

「でもヒロムさんの精霊を介入、ヒロムさんの本気にはアイツも対応出来てなかった。だからアイツの対応力にも限度が……

「それはパラディンが現れるまでの話だ。問題はそのパラディンが死獅王との会話で話した内容……アレが事実なら死獅王は万全じゃない事になる」

 

「どういうことスか、ボス?」

「死獅王はオレを相手にする上で本気を出そうとしたがパラディンってのはそれを止めようと現れた。そしてそのパラディンは死獅王の本気になろうとして出そうとした力について今解放すれば身が持たないと忠告していた」

 

「驚愕、それが事実なら死獅王は更に強くなるということになる」

「……てか死獅王が兄弟子にあたるレイガは死獅王の出そうとした力について知ってんじゃないスか?」

 

 死獅王はこの先更に強くなる、それを懸念するクロトの言葉に続くかのようにキラは死獅王を名乗る前の獅天が兄弟子だったレイガなら死獅王が発現させた力について知ってるのではないかとして聞き出そうとした。が、キラに話を振られたレイガは首を横に降ると彼らの思いもしない返事を口にした。

 

「獅天だった頃のアイツは魔力の扱いに長けていただけで能力の有無については誰にも明かしてなかった。でも師範や多くの仲間を殺した時のアイツは黒い何かが渦巻いているかのような力に包まれていたのは覚えている」

 

「質疑、それはつまりレイガの知る死獅王と今回現れた死獅王とで相違があるということか?」

「単純な話だとそうなる」

 

「てことはボス、オレたちの目的である死獅王撃破を最速でクリアするとなると万全になる前の死獅王倒す他ないってことスよね?」

「ああ、そうなる。けど、それを実現しようとするにはパラディンが障害になる」

 

「増援、あの鉄仮面だな。ヒロムの事を恨んでるようだったな」

「ボス、心当たりは?」

 

「……恨みを抱かれるであろう相手は数えられないほどいるからな。過去を振り返るとなると邪魔する能力者や歯向かう人間を次から次に倒してた時期を含めて考える事になるから候補を絞るのも至難だ」

「そういえばヒロムさん、あのパラディンって野郎はアンタのことを大罪人と呼んでいたけど心当たりあるのか?」

「さぁな。候補を挙げ出したらキリねぇし分かんねぇな」 

 

 レイガが尋ねた内容、それはパラディンがヒロムに向けて発した『大罪人』という言葉。それについての心当たりの有無をレイガは尋ねるもヒロムは心当たりの前に思い当たるものを挙げ始めるとキリがないと離し、これによって話は謎のままになるか思われた。その時だった。

 

 死獅王との戦いに加勢した精霊・マリアはヒロムたちの話に入ろうとせず周囲を調べていたのだが、そのマリアは周囲を調べる中である不自然な点を見つけヒロムに報告しようとした。

 

「マスター、これを見てくれない?」

「ん?何かあったのか?」

 

「ええ、ここにある瓦礫の山なんだけどさっきの戦いで少し崩れたみたいなのよ。その際に隠れてたのが見えたみたいなのだけど……明らかに他と違って不自然のよ」

「何がだ?」

 

「ここに積まれてた瓦礫……他と違って自然に出来たものではないのよ」

 

 マリアがヒロムに対して報告したもの、それはヒロムも言われなければ何も思わないほどのものだった。マリアの言う瓦礫の山は先程の戦闘の余波で積まれていたものが少し崩れたような状態だった。その崩れた瓦礫はマリアの言葉を受けてから見てみるとヒロムも不自然さに気づけてしまえた。

 

 マリアが見つけた不自然な点……それは瓦礫の山と呼べるまでに積まれていたものだ。死獅王が寺院を焼いて自然に出来たにしては瓦礫がある程度集まり貯まって出来たような山、崩れたという表現が出来るほどに積まれていた瓦礫が寺院が焼けた後に自然に出来たのかという謎が生じる中ヒロムは1つの可能性を見出すとクロトたちにそれを伝えようとした。

 

「手掛かりがあるかもしれない……これを退けた下に、何かあるはずだ。死獅王がわざわざ足を運ぼうとした何かが」

 

 

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