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The OUTRAGE  作者: hygirl
114/126

114話


 白銀の稲妻が数多の色を得て虹色に到達したその時、ヒロムは以前のパラディンの戦いの中で到達した白の空間の中に立っていた。

 

 が、以前と異なり今回は何故かヒロムだけが空間の中に立っていた。

 

 フレイたちの姿は無い。戦闘の中でヒロムのフォロー・アシストに入ろうとしていた精霊はともかく戦闘に参加していない精霊もがこの空間に存在していなかった。


 フレイたちの姿がないその理由が何なのかはヒロムにとっては些細な事、何よりもまず彼が考えたのは何故こおに自分が居るのかという現状についてだった。


「……」

(明確な理由に繋げられる情報となるものは見当たらない。というか、そもそもこの白だけの空間で確認出来るのがオレとこの空間の存在だけってのが気になる。この空間がオレの精神の中に構築された空間ということは理解してるが……何がきっかけでこの空間が生まれ、何がきっかけでオレがこの空間に誘われた?)

 

『2度目となると面白みがないほど冷静だな』

 

 ヒロムがこの白の空間に自身が立っていることについていくつか疑問点を抱き思考しているとどこからか声がし、声のした方へとヒロムが体を向けるとそこにはヒロムによく似た容姿をした少年が立っていた。

 

 自分によく似た容姿の少年、先程までいなかった少年が今ここに現れたという事実に対してヒロムは驚く様子はなく当たり前のように受け入れようという状態だったが、彼の存在を前にしたヒロムは彼をじっと見つめた後に小さくため息をつくと少し不思議そうに彼に向けて質問を口にした。

 

「……今になって何で現れた?」

『オマエの記憶と認識の中でオレは消えた事になっている。だからその疑問はおかしくない。だが所詮、オマエの記憶と認識はフレイたち精霊から与えられた情報の与えた影響でしかなく、オマエが事の全てを把握しているということにはならない』

 

「質問に答えろ。何で現れた?」

『逆だな。何故、ここに呼び寄せたのか……を聞くべきだろ?』

 

「同じ事だ」

『違う。オマエは自分がここに居る理由をハッキリさせたいだけ、だがオレの提示したものは事態の理解へ関連するものだ』

 

「状況の把握と理解として捉えるなら同じ事だ。話がないなら元の場所に帰してくれ」

『オレが何者なのか……それを聞かなくていいのか?』

 

「分かり切ってる事を聞く気は無い。というより、オレの中でオマエは既に消えた過去の存在になってんだよ。そうだろ……《レディアント》?」

 

 容姿がヒロムによく似た少年が何故現れたのかはさておき彼が何者かを聞かずとも見当はついているとしてヒロムは彼の事を《レディアント》と呼び、その名を聞かされた少年は軽く頷くとヒロムに向けて話し始めた。

 

『認識として間違いは無い。たしかにオレは《レディアント》、あの戦いにおいて十神アルトを倒すための力を与えた張本人だ』

「力?適当な事を言うな。オマエが与えたのは等価交換を求める諸刃の剣だろ?十神アルトを倒す力を得たオレは戦いの後に精霊を失った」

 

『だが後に精霊14人はオマエのもとへ戻った』

「オマエの気まぐれでな。他にいた精霊は記憶だけ受け継がれる形で消え、そのおかげで数人は苦しまされてた」

『気まぐれと評価するか。だがその気まぐれのおかげでオマエは過去の因縁と戦う事が出来、守りたいものを守るきっかけを得ている』

 

「オマエのおかげだって言いたいのか?」

『言葉を違えるな。これは誰のおかげなどというものではない……これはオマエという存在が導き出したものであり、オマエが示した結果であってオレが関与した結果によるものでは無い』

 

「……オレが何かしたってのか?」

『正確さに欠ける。オマエは何かをしたのではなく、オマエという人間の意思を示した。オマエの示した意思がこの空間を生み出し、そしてこの空間はオマエという人間を受け入れるために呼び寄せた』

 

「は?何言って……

『1度目の空間への招待でオマエは精霊との繋がりを改めて結び直した。本来ならばそれでオマエという人間……姫神ヒロムの真価は発揮されるはずだった。が、現実は甘くなくオマエは精霊と繋がりをあらためても稲妻を纏うだけに止まっている。それは何故か……分かるか?』

 

 知るか、とヒロムは自分にそっくりな少年の問いに対して冷たく言い返し、ヒロムの返答を予測していたかのように少年はやれやれといった様子で軽く笑うと指を鳴らし、少年が指を鳴らすとヒロムと彼の間にどこからか飛んできた虹色の光と白銀の稲妻がぶつかり混ざり合うように1つとなり、そしてそれは左右一対のそれぞれ7つの色の宝玉が施された白銀のブレスレットへと変化を遂げる。

 

「これは……!?」

『オマエ自身がいつの間にか両手首に装着していた仮初のものではない本来の霊装……オマエが精霊たちを束ね主として立つために用意されたものだ』

 

「霊装……」

『真の覚醒に至った精霊はその力を認められた時、その力を最大限に解き放つための武装が与えられる。それが霊装……そしてオマエは魂の一部が精霊に変化している事に加えて数多の精霊と繋がりを有している事により人でありながらそれを授かる権利を得た。受け取るといい……これが、オマエの霊装にしてオマエが精霊と共に未来を導く力とする本来の《レディアント》だ』

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