111話
精霊の支援、精霊による連携攻撃によりリクトに対して優位性を見せたヒロムは確実に倒し勝つためにリクトに接近して勝負を決めようとし、そんなヒロムの諦めの悪さに辟易しているリクトは彼を迎え撃ちこれ以上の抵抗など出来ないようにしようと全身に闇を纏い妖しい光を身に纏うとヒロムと拳を交えようとしているのか拳を強く握りながら構えると同時に加速し動き出した。
「……っ!!」
(パターンを変えてきた!?)
「下手な小細工も何も要らない……ヒロム、オマエ相手には力をぶつけるのがわかりやすい!!純粋な力、純粋な強さでオマエの何もかもを壊してやるよ!!」
「いいね……まだ残ってたんだな、人間らしさが!!」
ヒロムを倒すのに小細工も何も要らない、必要なのは力をぶつける事だと口にしたリクトに対してヒロムは姿をどれだけ変えようと彼の中には自身の知るリクトという人間について、彼の人間らしさが消えていない事を垣間見ると嬉しそうに言いながら間合いを一気に詰めてみせる。
ヒロムが間合いを詰めた、これによってヒロムとリクトは両者共にどちらが先に仕掛けようが等しく拳を叩き込める状態に入り、この状態に入ったと同時にヒロムはリクトを倒すために拳による連撃を叩き込もうと動き出した。
先に動いたヒロム、そのヒロムが叩き込もうとする連撃に対してリクトは小細工は要らないと発言した自身のその言葉を体現するかのように闇を纏わせた拳で連撃を放つ事で両者の連撃をぶつけ合い相殺させる形で防ぎ、さらにリクトは全身に纏う妖しい光の力を高めさせると自身の動きを見加速させてヒロムの連撃を上回る速度での攻撃を放とうとした。
加速するリクト、そこから放たれる攻撃が迫る中でヒロムは白銀の稲妻を纏いながら敢えて間合いを積めるように踏み込むとリクトの攻撃を白銀の稲妻で受け止めた上で自身は攻撃を受け流すかのように、今より深く間合いを詰めるように最小限の動きでリクトに迫るとそこから急激な加速を見せると一気に後ろに回り込んでみせ、リクトの攻撃を受け流し背後に回り込んだヒロムは回り込んだと同時に背を向けたまま左足で地を強く踏み込み、右足に白銀の稲妻を纏わせながら振り向くと勢いよく右足で回し蹴りを敵の頭へと叩き込んでみせた。
ヒロムの一連の動き、回し蹴りに至るまでのこの流れに反応出来なかったリクトはヒロムの回し蹴りを頭に叩き込まれ、そして蹴りが叩き込まれると白銀の稲妻が彼の頭で炸裂し強い衝撃を起こす事で蹴りの威力を高めるかのようにリクトを吹き飛ばし、回し蹴りと稲妻の炸裂を受け吹き飛ばされたリクトは勢いよく地に倒れてしまう。
……が、リクトは倒れるも妖しい光を強く発すると体を浮遊させる形で起き上がり立ち上がろうとした。
まだ終わらない、それを表すかのように立ち上がろうとするリクト。そのリクトの往生際の悪さにたいしてヒロムは……ただ指を鳴らすだけだった。
周りから見れば意味の分からない小さな行動、だがしかし……
ヒロムの鳴らした指の音と共にヒロムの戦いを援護していた精霊の少女たちが一斉にリクトを倒そうと光を纏いながら接近しようと走り出した。
「まさか……っ!!」
「小細工不要って思ってんなら正々堂々来い。ただし、オレはオマエを倒すためならくだらないプライド捨てて容赦はしない!!」
リクトを倒す、そのためなら小細工不要と発言したリクトのその言葉を無碍にする事も厭わないとするヒロムは彼の言葉にある意図を『くだらないプライド』と言い切ると自身はそれを捨てると断言しながら全身に白銀の稲妻を強く纏いながらリクトを倒すべく敵に迫ろうとするフレイたちと共に全てを終わらせるべく自身も迫るべく走り出そうと1歩踏み出そうとした。
だが、ヒロムが踏み出そうとしたその時……リクトは不敵な笑みをヒロムに見せると瞳を妖しく光らせ、リクトのその笑みに気づいたヒロムは同時に危険を感じ取ると白銀の稲妻を自身の前方に集中させようとするが行動を起こそうとしたヒロムの体は目に見えぬ何かによって動きを封じられ、さらに動きを封じられたヒロムは重く強い力にぶつかられたかのような勢いで吹き飛ばされると地を転がるようにして倒れてしまう。
「がっ……!!」
「マスター!!」
「構うな!!オマエらはリクトを……
「そう、オマエならこの流れに乗ると信じていた」
吹き飛ばされ倒れたヒロムの身を案じようとしたフレイに自身の事など構うこと無くリクトを倒すように伝えようとするヒロムに彼ならばそうするだろうとリクトは彼の思考を把握していたかのように言うと全身から闇を溢れ出させ、溢れ出た闇を一点に収束させヒロムのいる方へと素早くその力を高めさせながら撃ち放ってみせた。
ヒロムの向けられ放たれたリクトの闇の一撃、どうにか出来ると判断したヒロムは白銀の稲妻を纏いながら対応しようと立ち上がって構え、フレイたち精霊はヒロムを信じリクトを倒す方に注力しようと一斉に攻撃を仕掛けようとした。
が、この瞬間、リクトの顔はまた不敵な笑みを浮かべた。
同時に彼の放った闇はヒロムから逸れるようにゆっくりと軌道を変えながら加速し、ヒロムはそれを単なるリクトの攻撃ミスと捉えそうになった。だが……ヒロムは気づいてしまった。いや、リクトに意識が向けられていた事で『忘れていた』事を気付かされた。
「しまっ……
「トウマに後方を任せた時点でオマエがオレに専念するのは理解していた。だからこの瞬間を待ち続けた。オマエの意識から……あの女共の存在が外れるのをな!!」
ヒロムがリクトにより気づかされた事、それは後方にてトウマに守りを任せる形で彼に身の安全を託す事となったユリナたちの存在が意識下に強く浮き出たヒロムは加速し力を高めながら後方に進行を続ける闇の一撃を止めようと白銀の稲妻を纏いながら加速して止めに向かおうとした。
「間に合え……!!」