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The OUTRAGE  作者: hygirl
11/126

11話


 ヒロムはクロトとたった今取引の成立に伴い死獅王追跡の一員となった羅国キラの2人と共に空蓮の襲撃の際に現れた女・シェリーと側近のように立つ男・鉄千を倒して目的達成へ近づこうと応戦体勢となり、ヒロムたちのやる気を前にした鉄千は軽く息を吐くなり首を鳴らしながらシェリーを守るように前に立つとヒロムを見ながら何かを語り始めた。

 

「空蓮を倒した男……そこの赤毛が姫神ヒロムか。なるほど、対面し気を感じ取るだけで分かってしまえる。この小僧は手練だ」

 

「ちょいと、鉄千!!アンタは空蓮より強いんだからあんなのに負けるはずないんだから強気で行きなさいよ!!」

「それは野暮ですぜ姐さん。空蓮はちょっと自信過剰な面があったわけですが冷静になれる人間なら下手に動くのは自殺行為になる。この小僧はかなりの手練、冗談抜きで死獅王様に匹敵しかねない潜在能力を秘めているかもしれませんぜ」

 

「あんなガキがあの方に匹敵するわけないでしょ!!変な事言わないで!!」

「落ち着いてくだせぇ姐さん。あくまでかもしれない、て話であって断言してる訳じゃねぇので勘違いしないよう頼みたい。あくまで潜在能力があるかもしれない……逆に言うならその潜在能力が引き出されていないのならばまだこちらの敵ではないという事です」

「ならさっさと倒しなさい、いいわね?」

 

「……任してくださいよ」

 

 ヒロムを前にして鉄千は彼がただならぬ実力を持ちヒロムたちの追いかける死獅王に匹敵する潜在能力があるかもしれないと語り、鉄千の言葉に言葉が乱暴になるシェリーに対して鉄千はあくまで可能性があるだけだと念押すると彼女の命としてヒロムを倒そうと拳を鳴らしながら構え、鉄千が構えやる気を見せるとヒロムは鉄千とその後ろにいるシェリーを視界に捉えながらクロトとキラに現状で取るべき行動とこの場の戦いでの自分たちが目指すべき勝利について伝え始めた。

 

「今オレたちの手元に死獅王の情報は何も無い。だから今何よりも優先するべきは確実な情報を持つ敵の捕獲と尋問による情報の獲得だ」

「把握、オレたちは間違っても相手を殺害する事は避けなければならないな」

 

「ああ、そうだ。とはいえ最初に襲ってきた刺客(?)の男を殺してるオレが言えたことじゃないかもしれないが、死体になって何も語らなくなるのだけは避けたい」

「補助、ヒロムのアレは仕方ないことだ。あの時点で死獅王に関する依頼を引き受けるかどうかハッキリしていなかったのだからアレはノーカンでいいだろ」

 

「そうだな……とりあえずのフォーメーションだけ伝える。オレとクロトで敵の動きを封じてキラはタイミングを見て相手をキューブの中に閉じ込めろ」

 

「承諾、引き受けた」

「ボス、命令はそんだけ?」

 

「とりあえずだ、とりあえず。どうせ相手の手の内も分からないんだなら行き当たりばったりで対応するかもしれない。だから一応の形だけ設けるから後は状況に応じて好きに動け……っていうだけのことだ」

「つまり、敵の捕獲を命令されてるけど自由にしていいって解釈でいいのか?」

 

「ああ、それで構わない」

「いいねボス。こうなってくるとアンタと取引した事がプラスに思えてきたよ」

 

「そりゃどうも……話は終わりだ。油断はするな」

 

「当然、当たり前のことだ」

「オレの自由のためだ。下手なミスはしないさ」

 

「じゃあ……いくぞ!!」

 

 クロトとキラの2人に今伝える事を伝えたヒロムは敵を倒すべく2人よりも先に前に出るべく走り出し、ヒロムに敵の動きを封じるよう指示されたクロトは短剣を構えながら彼の後ろを追うように走り出す。

 

 ヒロムとクロトが走り出す中でキラは動く事無く2人のその走る姿を観察するように見ており、2人だけが向かってくるのを確認した鉄千は拳を強く握ると迎撃するべく走り出しヒロムとクロトへ迫ろうと動き出した。

 

「小僧が2人で来るか。後ろの1人は様子見か知らんが……最初から本気で行かせてもらう!!」

 

 鉄千はヒロムとクロトとの距離を詰めようと走る中で全身に魔力を纏わせてその恩恵で肉体の力を高めさせると加速して先ずヒロムへと接近し、ヒロムへ接近した鉄千は彼を倒そうと素早い拳の突きを連続で放つことで彼を追い詰めようとした。対するヒロムは鉄千の放つ連続攻撃を余裕があるような動きで全て躱し、連続攻撃を躱したヒロムはお返しと言わんばかりに拳の一撃を放って叩き込む事で鉄千を殴り飛ばそうとした。

 

 連続攻撃を放った直後で隙があったのかヒロムの拳は見事に鉄千に叩き込まれるが、ヒロムの拳の一撃が命中するも鉄千は何故か殴り飛ばされるような事はなく軽く押し返される程度で一撃を耐え、一撃を命中させたヒロムはこの鉄千の反応に違和感を感じていた。

 

「……あ?」

「ふむ……やはり油断ならぬ力だ」

 

「今の……」

(手応えはあった。拳が当たり一撃が相手の体に叩き込まれる感覚は確かにあった。なのに……どうして感覚とは違う受け方になった?アイツは単に魔力を纏ってるだけ、能力者の基本技能の1つを実践してるだけにしか見えないのに……)

 

「その基本技能が卓越してるってか……?」

「ほぅ、見かけによらず冷静に思考と観察する事も可能とはな。空蓮を殺した野蛮な男と聞いていたがどうやらこちらの期待値を大きく超えてくれそうだ」


 鉄千への攻撃の手応えと相手の反応の差異からヒロムは1つの答えについて辿り着き、辿り着いた答えをヒロムが呟くとそれを聞いたであろう鉄千は彼の冷静さとその観察力の高さを前にして自身の抱く期待を超えると嬉しそうに語りながら構えて拳撃を放とうとした。

 

 鉄千の放とうとした拳撃に対してヒロムは難無く躱し、攻撃を躱したヒロムは今度は反撃しようとせずに軽く後ろに跳んで間合いを取ろうとした。

 

 このヒロムの行動に対して鉄千は嬉しそうに軽く笑みを浮かべ、鉄千の浮かべた笑みを目にしたヒロムは少し面倒そうな顔をしてしまう。

 

「……戦いを楽しんでやがるな、コイツ。こっちはそんな気はねぇのに」

(あのアバズレ女との話し方からしてもう少し大人しいタイプと思ったが思った以上に好戦的な野郎だな。基本技能の卓越に加えてこの身のこなし、それだけで面倒なのに戦いを好むってなると楽には終わらねぇな)

 

「……仕方ねぇか」

 

 鉄千が好戦的である事が基本技能の卓越に加わると面倒だと感じたヒロムは何かを決め、そしてヒロムの瞳は何やら鋭いものが宿ったようになり……

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