103話
リクトを倒すべくクロト、アスラン、レイガ、獅天は敵の行動に対して連動するような飯能と対応を見せることでリクトに意外性を感じさせ、同時にそれは彼らの行動にヒロムの思考により導かれた答えが大きく関係していると察したリクトはヒロムの思考など構うこと無く目の前にいる彼らを倒そうと迎え撃つ意志を見せようとし、クロトたちが受け身を取り構え直そうとする中でリクトはまず獅天の方を見ると彼に接近しようと動き出し、リクトが獅天を狙い動き出すと狙いにされた獅天は迎撃しようと構えるのは当然ながらリクトを倒すために手を尽くそうと考えるクロトとアスラン、レイガは獅天を狙おうとするリクトに攻撃を当てるべく接近しようと走り出した。
「狙いはオレか」
「どうやらオマエはオレの攻撃……《オーバーロード・ギア》の攻撃に反応出来るらしいな。おそらくは危機感知強化の『見動気』の力、獣身武闘拳の技自体は脅威ではないにしてもそれを巧く扱うオマエは正直面倒でしかない」
「やはり『見動気』を知っていたか。だが……そんな事は何の問題にもならない!!」
リクトが何故獅天を狙うのか、その最大の理由が獅天が1度彼の攻撃に反応し防御しようとしたきっかけとなった危機感知能力強化の『見動気』にあると語り、獅天リクトが当然のようにその技を知ることに獅天は驚く素振りは見せずとも倒すことに変わりは無いとして全身に纏う黒い風と雷を高めさせて攻撃を放とうとした。
「来い、八神リクト……!!」
(貴様のその《オーバーロード・ギア》の力は引力と斥力がカギとなっている事、それを用いた反発での発散での衝撃が目に見えぬ攻撃の正体だとオレたちは把握している。いくら『見動気』の事を認識していようとそれはオレが危機感知能力を高められるという事を理解出来たということでしかない。ならば対応は……
「なるほど、引力と斥力を利用した相対する力の反発の利用と応用までは把握しているのか」
リクトと《オーバーロード・ギア》の攻撃の絡繰、それを理解している事と『見動気』を把握されていようと単にそれは相手がこちらの危機感知能力を高めていると認識することしか出来ないと獅天が頭の中で思考していると近づこうと動き出したばかりのはずのリクトが何故か獅天の背後に現れ、リクトの背後への出現に獅天が気づくと接近しようと動き出したリクトは塵となって消えてしまう。
「バカな……!?」
「危機感知能力を強化してるとしか認識していない、という解釈は少し語弊があるな。オマエ視点から見ればそれだけだろうがこちらからすればそれはオマエを倒す上での選択肢が増えたのと同義でしかない」
「この……っ!!」
「その考え方がオマエを終わりに向かわせる」
背後に現れたリクトに対して反応し振り向こうとし、その振り向こうとする際の勢いでリクトを殴ろうと獅天は拳に力を集め叩き込もうとした……が、獅天が振り向こうとしながら拳を叩き込もうとするのを予見していたかのようにリクトは闇を纏わせた右手で彼の拳を掴み止めた上で軽く力を入れると獅天の黒い力を消失させてしまう。
「なっ……
「オマエは強い。だが、オレには及ばない」
驚く獅天の拳を掴む手を話したリクトが瞳を妖しく光らせると獅天は刃のように鋭く尖った稲妻に脇腹を貫かれてしまい、稲妻によって脇腹を貫かれた獅天が痛みに抗い反撃しようとすると彼の体は目に見えぬ力により吹き飛ばされてしまう。
「獅天!!」
「バカな……!?貴様の力は引力と斥力によるものじゃなかったのか!?」
「それだけなはずがない」
獅天を貫いた稲妻に驚きを隠せないアスランがそれを表すかのように言葉を発するとリクトは彼らが事前に共有していた情報だけが全てでないと伝えようとするかのような言葉と共にアスランと背合わせになるように彼の背後に現れ、敵の出現に対してアスランは先程の獅天が受けた攻撃を警戒してか剣を逆手に素早く持ち直す形で迎撃を試みようとするがアスランが剣を逆手に持ち直し迎撃しようとするよりも先にリクトの影から無数の黒い刃が出現して彼の体を次々に貫いてみせた。
「がっ……!?」
「オマエの能力は1度当てれば優秀だが理解さえしていれば何の苦労もなく対応出来る。何より……オマエの身体能力ではこの戦いは役不足でしかない。何の使命感を抱いたかは敢えて聞かないが……オマエのその使命感は無意味なものだと理解しろ」
「ふざ、け……」
さよならだ、とリクトがアスランの背中を押すと更に多くの刃が放たれてアスランが串刺しにされ、無数の黒い刃に刺されたアスランは出血多量の重傷となりながら倒れてしまう。
獅天に続きアスランまでもが倒された、戦闘開始から2人が倒されるまでの時間は僅かな時間であり、2人が倒れたという事実を前にしてクロトとレイガはこのまま仕掛けるのは得策ではないと判断したのか足を止め警戒するかのように構え纏う力を強くさせ始めた。
「……いい判断だ、2人とも。そうでもないと長生きできないからな……せいぜい、今この瞬間を噛み締め後悔のない選択をしてみせろ」
獅天とアスランを倒したリクトは浮遊すると闇を纏いながらクロトとレイガを倒すべく素早く飛行し、リクトが迫ろうとするとクロトは短剣を強く握ると同時に魔力を短剣に纏わせながら一閃を放とうとした。
「集中……!!やれることをやるだけだ!!」
「……無駄だ」
迫り来るリクトを倒すべく魔力を強く纏わせた短剣を強く振ると共に一閃を放つクロト。しかし……
彼の一閃を無駄と一蹴するかのように冷たく言葉を発したリクトが瞳を光らせると空間が歪み始め、クロトの一閃は突然生まれた歪みに飲まれ消えてしまい、そして……
クロトの周囲に粒子のようなものがいくつも現れるとクロトが反応するよりも先に炸裂して爆撃に変化し、爆撃に対して対応出来なかったクロトはそれに襲われるとひどい火傷を負うダメージを受けながら倒れそうになってしまう。
が、クロトはそれで終わろうとしなかった。
クロトはリクトが起こした爆撃により立っているのが奇跡と言われてもおかしくないようなダメージを負いながらも倒れまいと耐えてみせ、さらにクロトは短剣を強く握り直すとリクトを睨み……
「継続……まだ、倒れん!!」
「しぶとい野郎だな、黒月クロト。だが、オマエたちだけではもうどうにも……」
「禁物……オレ、だけじゃない……!!」
「何?」
クロトの言葉が何を意味するのか分からないリクトが不思議に思っているとクロトにリクトの意識が向けられるのを待っていたかのようにレイガが迫ろうとし、そして……