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第5話 占い好きなお嬢様



「ほらビースケ、ご飯だよ~。ビビィ達もおいで」



僕の家にはビードロドリという小鳥がいる。


母さんは騎士団の仕事で家にいないことが多いけど、お隣のクリスさんやこの小鳥達がいるからあんまり寂しくないんだ。




『ぴい!ぴいぴい…』



『かわいい!父さん、この子たちは??』



『こいつらはな、ビードロドリっていうとっても頭がいい鳥なんだ』



『お手伝いをしてくれる小鳥?クリスさんに聞いたことある!』



『そうだぞ~。手紙を届けてくれたりとか、危ないことがあると知らせてくれるんだ』



…そうだった。当たり前のように一緒に過ごしていたけど、ビードロドリ達は昔アイツが連れて帰ってきたんだ。



『おりこうさんだね~…ねえお父さん!みんななんて呼べばいいの?』



『名前か?うーん……ビースケ、ビータ、ビビオ、ビジマル…ってチョロチョロしてるからわからねえか』


『大丈夫!この子がビータで、こっちがビースケ………でもビビオは名前がイヤみたいだよ?女の子なのかも』


『よくわかるなぁ!すごいぞフェンリア、よしよしっと!』



それでビビオじゃなくて、ビビィって名前にしたんだ………どうしてこんなこと思い出してるんだろ…。



「ぴい?」


「大丈夫、なんでもないよビースケ」


「ぴぴ!」


「うん、僕もちゃんと食べるから……あ、ビータにビジマル!たくさんあるんだから取りっこはダーメ!」





お昼ご飯を済ませて小鳥達の食器も洗い終わったし…夕方まで魔法の練習をしようかな。


「ぴい!」


「ん?ビビィ、どうしたの?」


「ぴいぴい!」



ビビィはアステリシア城への手紙を運んでくれる担当の子で、テューラァにとてもなついている。

そんなビビィがこんなに焦ってるってことは…。



「テューラァに何かあったの?」


「ぴぴい!」


「わかった、お城へ行こう」



僕はビビィを肩に乗せて魔導書を開き、転移魔法を唱えた。







「ですから、勇者様に会わせてほしいだけなんですの。何度も言わせないで下さる?」


「要件を聞かずに会わせる訳がなかろう……まったく、なぜ余が見知らぬ者の相手をせねばならぬのだ。」


「あなたが暇そうにしていたからですわ。忙しいのなら私だって声を掛けません」


「無礼な…余は暇ではないぞ」


「あら、おかしいですわね。つい先ほど『暇だ~暇であるぞ~』とぼやいていましたのに」


「な、なにぃ?!余のひとりごとを盗み聞きしおったな!!」



「テューラァ!」


「ぴーぴぃ!!」



アステリシア城の裏庭にある転移魔法陣までワープしたら、ちょうどテューラァが誰かと騒いでいた。



「フェンリア!ビビィも来てくれたのか!」


ビビィはパタパタ飛んでいき、テューラァの肩にとまった。



「何かあったみたいだね、ビビィが気づいて知らせてくれたんだけど…緊急事態?」


「ま、まあ緊急事態と言えなくはないが……この小娘がな…」


「客人を小娘呼ばわりするなんて失礼ですわね」


「お主が名乗らぬからだろう!」


「その子はお客さん?…ああ、だからか」



普段は王子として落ち着いた振る舞いができるテューラァだけど、知らない人に絡まれると人見知りが出ちゃうんだ。



「客人ではない!こやつは城の地下水路から侵入してきたのじゃ!」


「え…珍しいお客さんだね?」


「占いでこの道が吉と出ていましたので実行させてもらいましただけですのよ」



もしかして神父様が言ってた占い師の女の子かな…髪も赤いし。



「私の占いは当たっていたようですわね…地下水路の出口があるこの裏庭に、あなたが現れましたもの!」


「僕、ですか?」


「ええ、お会いできて光栄ですわ。新人勇者さん」


「ど、どうも…はじめまして、フェンリアです」


「ふふっ!もっと気軽に話してもらっていいですのよ、同い年なのですから」



嬉しそうにニッコリ笑う……神父様が言ってた様にかわいい笑顔だけど、こっそり魔力を溜めてる気配がする。


この雰囲気は風属性かな…。



「コラコラ!余を放置して話を進めるでない―」


「母の怨みを思い知りなさい!ウィンドサーベル!!」



僕の顔の横を風の刃が走り…パラパラと二、三本の髪が落ちた。



「フェンリアっ!!おい小娘いきなり何をする!危ないじゃろうが!」


「私の風魔法を避けるなんて、新人でもさすが勇者ですわね」


「いや、あの…直撃しなさそうだから僕は動かなかったんだけど……威嚇するためにわざと外すつもりかと思って…」



「……そうです今のは威嚇であり、ほんの試しうちですわ」


「試しうちにしては迫力があったがのう」


「部外者は黙っててもらえます?」



「不意打ちごめんねっ!カーズスペル!!」


「!?あ、あら??勇者さん、あなた…魔力封じの補助魔法が使えますの?」


「そんな難しい魔法使えないよ。魔法カードの力だ」



魔法カードは魔力を込めるとカードに入れられた魔法を発動できる便利な物。

弱体化のせいで使える魔法が減ったから、強さを補うために色々な効果のカードを常備するようにしたんだ。


今使ったのは相手の魔力発動を一時的に封じる、カーズスペルという魔法が入ったカード。



「判断力はあるようですわね。少々甘く見ていました……ではこちらも、呪い系統に強い解除魔法…ディスペルのカードを使わせて頂きますわ!」


「魔力封じられてるのにどうやって使うの?」



「…………………」


「フェンリアの勝ちじゃな」


「勇者様?よろしければこのカードに魔力を込めて下さる?」


「よろしくないので拒否させてもらいます」


ここまで読んで下さってありがとうございます。

5話まできてようやくヒロインの登場になりましたので、あとがきを書かせていただきました。

自分がまとめ読みをするのが好きなので更新ごとには書かないのですが話の区切りがいいタイミングで書いていきたいと思います。

ギャグがあって時々シリアスにもなるファンタジーストーリーを目指してます、応援頂けたら幸いです。

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